2010年07月23日

世界が認めるきっかけになるのか

ヨーロッパのほぼ中央、旧東ヨーロッパに属する旧ユーゴスラビア(以下旧ユーゴ)の構成地域の一つだったコソボ(旧ユーゴ在籍当時はコソボ自治州)。

かつては旧ユーゴの構成地域としてセルビア共和国の一部になっていたものの、1981年に旧ユーゴ創設者のチトーが亡くなると、かねてからあった民族対立が表面化
主に表面化したのは、コソボをセルビアの聖地(セルビア国家としての起点)と定めているセルビア人と人口の大多数を占めるアルバニア人(元々はオスマン帝国時代に定住した入植者)とのもの。


その民族対立は、旧ユーゴが1991年から1992年にかけて崩壊する過程で徐々に悪化
1990年代後半(ボスニア紛争終結以降)には、隣国であるアルバニアの政情不安定・セルビア本国の締め付けも合わさってアルバニア人のゲリラ活動が活発化。セルビア人に対しての攻勢も強まったことで、セルビア本国との本格的な内戦に突入。ボスニア内戦ほどではないものの、非戦闘員(アルバニア人)への大規模な虐殺も行われたとされています(もちろん、その逆も起こっていた)。


その後、国際社会(主にNATO(北大西洋条約機構))が動いたことで停戦停戦成立後は国連による平和維持活動で安定を保つという状態になっていました。


そんな中、国連仲介の下でセルビア本国と独立勢力との間による最終地位に関する交渉が行われていたものの、折り合いがつかず、2008年にコソボの独立勢力が政情不安定化を恐れて一方的に独立を宣言することになりました。
それでも、NATO・EU(ヨーロッパ連合)加盟国の欧米諸国(ただし国内に独立問題を抱えるスペインなどでは反対を表明している)は承認。日本も2009年に承認しています。
現在は69ヶ国の国家がコソボ独立を承認しているものの、一部の地域は、国際情勢のバランスを鑑みてどちらにも与(くみ)しない状況が続いていました。

ところが、セルビア本国が一方的な独立宣言は国際法違反として国連総会に要請し、国際司法裁判所の判断を仰いでいた結果が先日出まして、それによるとコソボの独立宣言は国際法違反にあたらない、実質国際社会が独立を承認するような判決が出されました。
この国際司法裁判所の判決は「勧告的意見」と呼ばれるもので、判例にはなるものの、拘束力はないので、こういう結論を出されてもセルビア側は履行することはないと思われます。しかしながら、この結果は国際社会の世論に大きな影響を与えるとされ、同時に民族自決の法則が認められたことから、国内に独立問題を抱える国や台湾のような国際的に承認を求める地域に影響を与えるものではないかと思われています。


個人的には、この判例は意義のあるものだと思います。

歴史的な過程を見ても、独立は仕方のないところまで行き着いていたわけですし、コソボそのものがマイノリティーの保護を掲げている間は問題ないと思っています。
そして、ボスニア・ヘルツェゴビナやモンテネグロ同様に、大セルビア主義・大クロアチア主義・大アルバニア主義というナショナリズムを抑えるための緩衝地帯としての役割を果たせるものと思っています。


この判例がきっかけで、国際社会との協調への一歩が刻めればいいのですが、宗主国になるセルビアの先鋭化が進まないか心配です



Posted by alexey_calvanov at 23:03│Comments(0)TrackBack(0) 真面目なモノ 

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