2011年08月10日

来年のオリンピックは大丈夫なのか?

来年の今頃はロンドンオリンピックがクライマックスになっていて、8/12にはマラソン競技が開催されて閉会式・・・という段取りになっているものと思います。
来年行われるロンドンオリンピックはオリンピック史上初の3回(1回目は1908年、2回目は1948年)開催で、夏のオリンピックとしては記念すべき第30回大会になります。ちなみに、日本は3回目で初めて選手団を送り込む大会になります(日本がオリンピックに初めて参加したのは1912年のストックホルムオリンピック。1948年の際は、敗戦国ということで参加できなかった経緯がある)


ところが、そのオリンピックムードが盛り上がろうとしていた矢先、大変なことになっています

ロンドン北部にあるトットナム地区で、警察官が黒人男性を射殺したことがきっかけで、人種差別だと訴えた人達が大規模なデモを実施。それがインターネット(ツイッターやフェイスブックなど)で拡散されロンドン各地や地方都市(リバプール・バーミンガム・マンチェスターなど)にも拡大暴動だけにとどまらず、一部では放火や略奪行為まで起こっているそうです。
現在は警察官を増員して徹底した抑え込みを図っているようですが、正直どこまで持つのか気懸りです。


ところで、イギリスという国は、いわゆる白人(正確にはアングロ・サクソン系)しか住んでないんじゃないの・・・と思われる方も多いかと思いますが、かつて大英帝国とも言われる広大な植民地を持っていた経緯があることから、主にアジアやアフリカからの移民や難民が多く住んでいます。そのため、今回悲劇の舞台になったトットナム地区は移民の多い貧民街の側面もあります。
そしてイギリスばかりでなく、ヨーロッパ全体で言えることですが、第2次世界大戦後、労働力欲しさに大量の移民を受け入れてきたという背景もあります(特に有名なのが、フランスの旧アフリカ植民地移民、ドイツのトルコ人、イギリスのインド系移民)。それに加え、過去の戦争を教訓にして、EUなどが結成されたため、ヨーロッパでは『多文化共生』が重要なキーワードになっています。

しかしながら、経済の行き詰まりをきっかけに、その反動が現在ヨーロッパの各国を襲っていまして
古くはイタリアの北部同盟(北部と南部の経済格差に嫌気がさした北部の人々で結成。北部独立とEU脱退が当初の目標だった)、フランス・オーストリアでの極右政党の躍進、ドイツのネオナチ問題など。最近ではオランダ・フィンランドでの極右政党の躍進、ノルウェーのキリスト教至上主義者のテロ活動などが記憶に新しいと思います。


今回の暴動は、元々くすぶっていた民族差別や極右的思想が、遂に元々そういった点では穏やかだと思われたイギリスでも表沙汰になってきたという恐ろしい事態でもあります。また、キャメロン首相が多文化共生を「失敗した(政策)」とみなした発言も、今後大きな影響を与えかねません
国内に住む移民にとって保守党(キャメロン政権)が大きな脅威になりかねないのではと推測し、保守党(キャメロン政権)に対して血を見るほどの大規模なアンチテーゼを起こす可能性もあります。さらには、地方分権を訴えるスコットランドの『独立』への動きが加速しかねないばかりか、最悪イギリス崩壊に進む可能性も無きにしもあらずでしょう。


ロンドンオリンピックはテロ対策では万全の準備をしていたんでしょうけど、国内の暴動対策には無策だったのでしょう。既に一部のプレ競技が中止に追い込まれています。


もうロンドンオリンピック開会まで1年を切っています。ロンドンのオリンピック委員会は、テロという外患だけでなく、(サッカーでの暴動の比ではない)暴動という内憂で対策を練らないといけなくなってしまいました。
来年のオリンピックを無事に見たいものです。


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Posted by alexey_calvanov at 23:49│Comments(0)TrackBack(0) 真面目なモノ | スポーツ

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