2020年11月09日

もう4年より、もう嫌だ

11/3(現地時間)に投票を迎え、開票中のアメリカ大統領選挙。現職の共和党のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン元副大統領が、すさまじいほどのデッドヒートを繰り広げました。特に接戦州と言われた地域では、当初トランプ大統領がリードを保ちながらも、期日前投票になる郵便投票が開いてからはバイデン元副大統領が猛追して、遂には追い抜いてしまうところも出てきました
そして先日、バイデン元副大統領が選挙人の過半数を獲得したという報道が流れ、バイデン元副大統領は正式にアメリカの次期大統領に決まったのでした。ただ、トランプ大統領は敗北宣言を行っておらず、郵便投票の不正を訴えて、訴訟の準備に入っている模様で、まだ予断を許さない状況ではありますが、共和党の一部はトランプ大統領の敗北を認めているので、よほどの事態にならない限り、バイデン元副大統領の当選は決まったと思います。


バイデン元副大統領が選ばれたということは、アメリカ人の中に、トランプ大統領にもう4年と思っている人よりも、トランプ大統領はもう嫌だと思っている人が多かったのかもしれません。ただ、得票数で見るとほぼ半々、かつオバマ元大統領の得票数(約6095万票)を大きく上回っている(バイデン元副大統領が約7600万票、トランプ大統領は約7100万票)から、熱烈に支持しているないしは、何としてでも止めるという動きが見られたとも言えます。


トランプ大統領の敗因は、コロナ禍での行動、アメリカ第一主義と称した独善的な行動、そしてラストベルトの失業率を改善できなかったことでしょう。

コロナ禍での行動は、新型コロナウイルスを軽視していたのを見ていれば、何となくわかるかと思います。遂には自身も罹患したにもかかわらず、すぐに治ったことから大したことはないと喧伝し、20万以上亡くなっている事実から目をそらし続けていたのが、特に医療関係者やコロナで家族や友人などが犠牲になった人達の怒りを買ったのではないかと。

独善的な行動は北朝鮮の融和や中東和平の前進など『副産物』を生んだものの、地球温暖化をウソだとぶった切り、多国間との協調を拒否した結果、自国にとって有益なこと以外は全く耳を貸さず、諸外国を呆れさせる事態となりました。このことで中国との対立が先鋭化しただけでなく、中国自身の行動が大胆になったとも言えます。やや世界が無法的になっている感もあります。

ラストベルトに関しては、トランプ大統領の任期中にも工場や炭鉱が閉鎖されたり、新しい企業の誘致ができても、既存労働者に割り振られなかったこともあったそうです。


じゃあ、バイデン元副大統領が新大統領になっても、大きく変わるかというと、そこまではならないと思います。外的要因(上院と下院のねじれ、先述の分断を象徴する差の少ない得票数)もありますが、外的要因もあります。急激に変えてしまえば、支持者からの反発さえ招いてしまうからです。先述のラストベルトに関しても、バイデン元副大統領が就任してもすぐ解決とはいかないでしょう。構造的な問題や新しい産業を育てるにも何年も掛かるからです。
ただ、国際協調路線への復帰は必ずなされるでしょう。地球温暖化対策をきっかけに雇用と需要を生み出して景気を持ち上げる、コロナ禍で諸外国との連携(特にワクチン供給)などで、いい部分は出てくると思います。


そして一番影響が出るのは、諸外国の関係
一番割を食うのが北朝鮮でしょう。
トランプ大統領の時には話し合いまで持って来られたものの、バイデン元副大統領が就任した場合、必ず核問題は解決しないと対話のテーブルに乗ってこないと思います。核問題で金正恩第1書記は妥協できるか、ここがキーになるでしょう。

トランプ大統領の時ほどではないものの、中国も厳しい対応を迫られるでしょう。
経済関係やコロナ対策では、ある程度アメリカが妥協してくれると踏んでいるでしょう。しかし、民主党は人権を重視しているので、チベット・ウイグル・内モンゴルの同化問題や香港の一国二制度崩壊を助長する動きは、必ず突っついてくるでしょう。対応を間違えれば、トランプ大統領の時よりも厳しい事態に陥るかもしれません。

同時に日本・韓国も厳しい対応に迫られるかもしれません。冷たい友好関係が続いている現状を放っておくことは無いでしょう。同盟関係を結んでいるアメリカにとって、両国の対決は中国や北朝鮮を利するだけなので、どこか落としどころを探ってくるのではないのでしょうか。


繰り返しますが、バイデン元副大統領が就任しても、大きく変わることは無いでしょう。しかし、少しずつ確実に変化するでしょう。特にトランプ大統領の時に目立った強引な部分は鳴りを潜め、妥協と協調メインの政策を取っていくかもしれません。じれったいと思うでしょうけど、下手に動いて大やけどをするよりかはいいかもしれません。


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Posted by alexey_calvanov at 23:58Comments(0)

2016年11月09日

実業家からの大統領誕生へ

アメリカの大統領選挙が日本時間昨日(11/8)夜から投票開始になり、今日(11/9)の朝から開票が始まりました
かねてから接戦になるだろうと言われていた中でも、民主党のヒラリー・クリントン候補が勝ち上がるだろうという大方の予想でしたが、それに反し、共和党のドナルド・トランプ候補の当選になりました。


アメリカ国内の目で見れば、大方の予想では、共和党の中でも反トランプの指示を出していた有権者がクリントン候補に流れて差を広げる、ヒスパニック(中南米系)や黒人の支持を集めクリントン候補有利というふうでした。しかし、既存の政治家への怒り・アメリカの現状への不満・所得が上がらない層による変化の欲求が想像以上に強かったことに加えて、クリントン候補のメール問題が最後まで尾を引いたとも取れます。また、これまで選挙に行かなかった層が選挙に行った可能性もあります(このあたりは投票率を見ないとわからないが)。トランプ候補も失言問題で窮地に陥ったこともありましたが、支持者にとってはどこ吹く風、かつバッシングにもブレない人という好印象まで与えていたのではないかと感じています。

そして、私個人が感じたのは、トランプ候補が大統領になれたのは、アジアの2ヶ国の大統領がアメリカに大きな影響を与えたのではないかと。これを見てもしかしたらトランプに・・・というふうな流れになったかもしれないと思っています。

一つは、フィリピンのドゥテルテ大統領
フィリピン南部にある街ダバオの市長を務め、実績を上げた人ですが、過激な言動で物議を醸した人でもありました。大統領選でもそれを披露しながら、当選しています。
就任後、彼の過激な言動はフィリピンに大きな影響を与えるのではないかと不安視していた人が多かったものの、実際は不安定になるどころか、功績の方が現状多く、中国とも対等に渡り歩く、麻薬など社会問題に(やり方には問題があるものの)解決の糸口を付けたことから、就任前より支持が増えたと言われています。
これを見たアメリカ人が、多少言動に不満があっても、きちんとした実績を出せば問題ないと判断したのではないかと思います。それは、トランプ候補が(政治の実績はゼロでも)実業家として名を馳せている点でほぼ共通しています

もう一つは韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領
彼女は現在、長い間の友人が絡む大規模な政治機密漏えい事件と汚職事件で解任の危機に晒されていますが、この問題を見たアメリカ人は、先述したメール問題とオーバーラップしたのではないのでしょうか。
クリントン候補のメール問題も、私的なメールアドレスで国家機密を読んでいたことに端を発しています。長い間の友人は絡んでいませんが、一般の人も読める可能性のある中で自分のメールアドレスを使っていることは大変な問題事項でしょう。ましてやサイバーテロの対象になりかねません持っているスマホがコンピューターウイルスに罹っていたらと思うとぞっとします。プロセスは違えど、問題点は共通しています。セキュリティに対する考えが甘いのです。
そして、女性大統領だったというのも、考えさせられるきっかけになったのではと思います。性差別的と言われるかもしれませんが、恐れずに書けば、女性大統領だからこうなってしまったと捉われても文句は言えないでしょう。懸命に性差別を無くそうとしている人達から見れば、彼女の行動はそれを閉ざしかねない事件だったのです。そんな女性首長のイメージ低下がクリントン候補への不支持に繋がった可能性も考えられます(それをトランプ候補が例として明示しなかったのは不思議ですが、失言や国際問題になったらと思って控えたとも)。


いずれにしても、トランプ候補は大統領として何をやってくれるのかは全くの未知数国際社会も彼が大統領になるなんてと狼狽しているほどです。冷静を装っているロシアや中国も本音では無いと見ていたでしょう。


果たして、トランプ候補はモンロー主義のように、国内にだけ目を向けて、国際的な問題には軽視するのでしょうか、それとも世界の大国よろしく積極的に外国の諸問題に干渉するのでしょうか。それも協力的なのか独善的なのかという問題も含めて


最後に言いたいのは、トランプ候補は『アメリカ合衆国の大統領』として振る舞ってほしいです。決して『アメリカ帝国の皇帝』になるんだというふうには思わないでほしいものです。アメリカ合衆国がアメリカ帝国になった時、世界の終わりがやって来るかもしれません。


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Posted by alexey_calvanov at 22:49Comments(0)TrackBack(0)