2013年01月24日

死人に鞭打つやるせない行為

1/16にアルジェリア南東部、リビア国境沿いにある都市イナメナスで起きたアルジェリア人質拘束事件。これは、イスラム過激派の一派が行い、異教徒である外国人を無慈悲に殺した凄惨な事件として今後語られることになるでしょう。
1/21~1/24に掛けて日本人の死亡が確認され、記者会見が行われました。最初の記者会見(夜中に7人の死亡が確認された)の際に、菅官房長官がプラント建設に関わっていた日揮サイドから、家族の動揺を避けるため、氏名の公表は勘弁してほしいということで非公開にする旨を述べていたものの、一部メディアが全死亡者名を公表してしまったため、結局のところなし崩し的に後悔せざるを得ない状況になり、政府もそれに追随し公開する運びになってしまいました。


確かに、亡くなられた方々の中には、宮城県南三陸町出身の男性や愛知県豊橋市出身の男性の遺族のような、本当に悲惨でやるせない思いに駆られる人達に光を当て、その遺族の方々に同情や憐れみを向けることができるようになったのかもしれません。そして、テロ行為の悲惨さや非人道さを浮き彫りにすることができるのでしょう
それでも、凄惨な事件の中で生き死にがわからないまま焦燥感に駆られながら待っていた関係者に対し、あまりにもむごい仕打ちに見えるのは気のせいでしょうか。確かに知る権利は必要なのだと思います。しかしながら、関係者の意向も無視し、単純に己が誉れのために権利を行使するのはいかがなものかとも思えてなりません。

政府も、今回の件で人命重視で国際社会と共に動こうとした中で、こういった結果に終わったことは仕方ない(つまり、この件で咎を受ける必要はない)と思います。しかし、日揮サイドから公表を控えてほしいと言われていたのに、最終的に公表をしなければならなくなったとはいえ、行ってしまったことは、仕方がないでは済まされません。逆に公表に至った一部メディアに対し、叱責をしても、何らかの処分を下してもいいくらいの重大な出来事であると思います。思想・言論の自由・知る権利といったあらゆる部分に触れる可能性もありますが、一個人のプライバシーには変えられないものだと思います。


今後同じような事件が起こった際、情報公開をどこまで行うのか、亡くなった人の氏名を公開するのか否かは、必ず遺族や関係者のすり合わせを行ってほしいものです。後日(例えば、全容解明が終わった後)改めて公開するでもいいので、性急な公表だけは避けてほしいものです。


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)