今回も秘境駅の紹介です。
まずは、中井侍駅。
為栗駅(してぐり)から南へ4駅目にあり、長野県最南端の駅になります。
ここにあるのは数軒の民家と・・・。
中井侍銘茶と言われるお茶の畑。
そして、地殻変動で使われなくなった旧トンネル(左側の草むらの中にあるらしい)。
ちなみに、かつてここから通っていた高校生のために臨時で快速が止まっていた経緯があり、その時のエピソードがここではないかとも言われているものの、都市伝説(JR側は否定、駅のある天龍村はその存在そのものを知らなかった)とも言われ、詳細はやぶの中・・・。まるで、旧トンネルがあったことをわからなくするかのようです。
しかし、そんな駅でも景色は最高。
民家や大きな道に続く小路を少し登っただけでもこれですもの。列車がいなければ、雄大なパノラマを楽しめることでしょう。
そして秘境6駅の最後、小和田駅。
静岡県最北端の駅でもあり、中井侍駅の隣になります。
秘境6駅の中で唯一駅舎の残っている駅で、1984年までは有人駅になっていました。
その名残なのか、この駅にはすれ違い用のホームが残されており、2008年までは使用されていました。現在は使用されていないため、徐々にそのホームが朽ち始めています。恐らく数十年後には草に覆われていることでしょう。
この駅には3つの特徴があります。
一つ目は、現在の皇太子妃雅子様の旧姓が『小和田(おわだ)』だったため、この駅がフィーチャーされた、いわゆる小和田ブームの場所として。
そのブームにあやかって、当時この駅にあった水窪(みさくぼ)町(現在の浜松市天竜区水窪)がこの駅で結婚式を挙げるカップルを募集したことがありました。それがその時の物の一つで、新郎・新婦を乗せた専用列車のヘッドマークです。
その時の模様は駅舎の中に残され・・・。
当時のにぎわいを今に伝えています。
結婚式の会場になった駅下の広場。
今は見る影もない草の生い茂ったところとなってしまっておりますが、当時は盛大に行われたことでしょう。
それ以外にも、結婚式の行われた記念に設置された「愛のベンチ」。
恋愛成就にちなんだ記念碑が残されています。
もう一つの特徴として、愛知・静岡・長野の3県にまたがる駅として知られています(正確な境界線は天竜川内にある)。
以前にも撮りましたが、改めて紹介する「3県境標識」。
天竜川から見える景色。
今いるところが静岡県、向こうの川岸にある山は愛知県、奥にある山の向こうは長野県になります。
駅舎の中にも周辺案内板があるのですが、この中身も3県にまたがっていることを意識したものになっています。
3番目の特徴としては、ここが文字通りの秘境駅だという点。
最も近い集落まで1時間、橋にたどり着くまでに25分ほどかかります。
ちなみに、駅前にあるのは廃屋(製茶工場跡)くらいです。
そして、この廃屋の下には、佐久間ダム工事の際に転がり落ち、救出を放棄されたとされるミゼットがあります。
かつては、大きく広い道があったことの名残でもありますが、現在はダムの完成に伴い大きな道が沈んでしまって、往年の影はありません。
既にミゼットは人がほとんど来ないこの里の中にうずもれようとしています。やがて、このミゼットも草木の中に覆われ、人々の記憶の中からも消えていく運命にあるのかもしれません。
人家がないところゆえに、今回のようなケースでなければ非常に静かなところなのだと思います。
人によっては、老後はここがいい・・・なんて言う人もいるのかもしれません。
次回もう少しだけ。秘境駅じゃないのですが、途中停車した駅を紹介します。