2022年02月24日

ウクライナが世界的な戦争の引き金にならなければいいけど・・・

ロシアがウクライナに侵攻を始めました。既に実効支配しているクリミア半島と最近国家承認したと称するドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国、そしてベラルーシ国境から侵攻したとの報道もあり、予断を許さない格好になっています。さらにウクライナの各地(主に軍事施設)にミサイル攻撃を仕掛け、空軍施設を壊滅に追い込んだことで制空権を握ったとも報じられ、こちらも予断を許さない情勢になっています。
この緒戦で、ウクライナ兵が40人ほど犠牲になっている他、住宅など民間施設への『誤爆』も起こったようで、男児が亡くなったとの報道もあります。


恐れていたことが遂に起きたと述べておきましょう。アメリカの外交政策が失敗に終わったという見方もできなくはないですけど、それ以上にロシアのプーチン大統領が、したたかで知略家だっただけなのでしょう。用意周到に事を運んで、最大限の利益を得る算段を、もしかしたら8年前のクリミア併合から組んでいたのではないかと思えるほどです。ほぼ同時期に今回独立を認めたドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の範囲を抑え、そこにいる住民の中でロシアにシンパシーを持つ人達を際立たせる(ある意味『純化』)という作業をじっくりと行っていたのかもしれません。それが最近になって、質のいいワインのように、いい醸造となったので事を起こしたとも考えれば、すっきりします。

今後、日本を含めた欧米諸国は一致団結してロシアの行為を明確な侵略と位置付け、国際世論を味方に付けなければならないでしょう。かつ国連の安全保障理事会ではロシアと中国の拒否権で握り潰されると思うので、総会で非難決議を行うべきでしょう。そうなると中国にすり寄らなければならない国々をどう説得するかに掛かってきますロシアとの外交チャンネルは実質絶たれた(恐らく聞く耳を持っていない)と思われるので、中国にすり寄らなければならない国々(第三国)の説得にウエイトを置いた方が得策です。


そして、この間にやらなければならないのは、他に飛び火させないこと
一番の懸念は、中国がこの事態を見て、台湾や香港に何かしらのアクションを起こさないか心配です。前者に対しては軍事侵攻も視野に入れた揺さぶり、後者に対しては一国二制度の撤廃(香港議会で『平和裏』に進められると思われる)し、中国国内の中に組み込んでしまうという動きです。中国が動けば、ドミノ式で北朝鮮も動く可能性があります。ロシアとも関係が深い国ではあるので、一気に東アジアが緊迫化する可能性もあります。決してウクライナは『対岸の火事』では済まされない可能性があり、思いたくは無いですが、第三次世界大戦の可能性も無きにしも非ずとなるかもしれません。


可能であれば、ロシアが苦戦して、ロシア国内で厭戦(えんせん)ムードに持って来られれば、早く終わらせることができるのでしょう。ただ、それはウクライナ軍だけでは無理で、欧米の軍隊による支援を仰ぐ格好となるかもしれません。


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Posted by alexey_calvanov at 23:31Comments(0)

2022年02月16日

死んだふり作戦?

ウクライナ問題が大詰めを迎えているかもしれません。
ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加入したいことから端を発している今回の問題。ウクライナはNATOに入って、ロシアからの圧力を逃れたいのと西側の自由経済圏(あわよくばEU加盟も狙っている?)に入って更なる国の発展をしたい。それをサポートしたいのが欧米諸国なのに対し、旧ソ連の影響力を残したいロシアという対立構図になっております。ロシアとしてはウクライナに民族の起源がある(ロシアとしてはウクライナとベラルーシは同じ血を分けた兄弟の関係)という見方もできる・ウクライナは自身のアイデンティティ確立のためという、ナショナリズムの争いとも言えます。
現在ロシアはウクライナの国境沿いとベラルーシ国内、そしてロシアが占拠しているクリミア半島とモルドバ内にあるロシア系・ウクライナ系が『建国』した沿ドニエストル共和国に軍隊を展開しています。


そんなウクライナでは、2/16にロシアが侵攻してくるのではないかという話が独り歩きし、ウクライナ政府が払拭に躍起になる中、国民統合の日と題し、各地で国旗を掲げ、国の色である水色と黄色のリボンを付けるように呼び掛けました。これまでパニックになるだなの情報戦に屈するなだの言っていた中で、いよいよ一歩踏み込まれる可能性を示唆しているのかなとも取れる方向に向きましたけれども、現状軍事演習中のロシア軍は撤退しているとの情報もあり、この記事を書いている現在では何事もなく2/16は過ぎそうです(ただし、現地との時差は7時間くらいあったと思うので、まだまだ予断は許さない)。


ただ、あくまで個人的な意見ですけど、撤退は『死んだふり』じゃないのかなと思えてならんのですよ。確かに撤退は進めているものの、もしかしたらゆっくり下がっているだけで、時が来たらきびすを返して侵攻するのではというパターン。ないしは撤退はしてしまうものの、別の方法でウクライナに攻撃するパターン(一番オーソドックスなのは主要都市への空爆かミサイル攻撃)もあり得るのです。ことさらロシアのプーチン大統領は交渉をアピールしていますけど、向こうがその線を切ってきたと煽ってアクションを起こすことだって十二分に考えられます。言葉は悪いですが、あの国は狡猾なところを持ってますからね・・・。実際クリミア半島やドンバスと呼ばれるウクライナの東南部を攻めているのですから。


この問題が大きく動くのは、北京オリンピックが終わるあたりではないかとも思えてなりません。オリンピック期間中は停戦を呼び掛けているのもあるからですね。そしてロシア自身が組織的ドーピング疑惑を持たれている(今回もその疑いのないはずの選手にドーピング疑惑が沸いてきた)ので、下手な動きをした場合、国際的なひんしゅくを買い、一気にロシア糾弾の動きを見せる可能性もあるので、2/16は攻めたくとも攻められなかったという見方もできるわけです。そうなるとオリンピック後に事を起こすというのが、一番無難な着地ではないかとロシアは思っているのかもしれません。


さて、ロシアは事を起こすのか。それとも和平に向けて動くのか今後の動き次第では、世界が大きく動く可能性もあるばかりでなく、高騰中の石油価格や小麦価格などがさらに跳ね上がる可能性もあるので、予断を許さないです。


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Posted by alexey_calvanov at 23:12Comments(0)

2014年03月11日

クリミア『独立』待ったなし

ウクライナの南部にあるクリミア半島、この半島のほぼ全域を治めるのがクリミア自治共和国というウクライナにある自治共和国です。
前にも話しましたけれども、元々はロシア領だった土地ですが、それ以前にはクリミア・タタール人というイスラム教を信仰する先住民が住んでいてクリミアハン(汗)国という国を立ち上げていました。クリミア戦争をきっかけにロシア化が一気に進み、スターリンの粛清によって、先住民であったクリミア・タタール人が強制移住させられ、残ったロシア人が主流になりました。
そのクリミア半島は、1955年にフルシチョフの『贈り物』(第2次世界大戦勝利10周年とウクライナ融和策のたまもの)によりウクライナ領に編入され今に至っているのです。

そのクリミア自治共和国は、ウクライナがソ連崩壊に伴って独立した後にも独立をしようと動いたことがありました
1992年にクリミア共和国として独立をしようとし、ロシアも支援したものの、当時同じようにロシアから独立仕様としていたチェチェン共和国の独立を認めなかったことから国際社会よりダブルスタンダードだという非難を受け、独立派の勢いが沈静化妥協案として自治政府設置ということで落ち着き、今日あるクリミア自治共和国となったわけです。


さて、今回の独立運動は、ウクライナ国内の情勢とリンクしています。
ウクライナで親欧米派の野党支持者が、ヤヌコビッチ政権(当時)のロシア寄りの政策を表明(EUとの経済提携調印を土壇場で放棄)したことをきっかけに大規模な抗議運動を首都キエフなどを中心に展開。ヤヌコビッチ政権が大規模な弾圧に至ったことで流血事態になり、この流血事態によってヤヌコビッチ政権が窮地に陥り崩壊。親欧州派による野党による政権奪取が行われました。
この事態はウクライナ人による民族蜂起に至り、ソ連(ロシア)憎悪に至っていると推測される出来事が起こりました。街の中にあったレーニン像の強制撤去です。まるで四半世紀ほど前に起こった東欧革命をタイムスリップして見ているかのように相次いだのです。
これを見たロシア系(ロシア人およびロシア語を母語にするウクライナ人)住民は危機感を覚え、特にロシア人の多かったクリミア半島へロシア軍(と思しき自衛組織)が展開されたのです。

その後、クリミア自治共和国は先鋭化し、議会占拠・一方的とも取れる将来の方向性を決める住民投票の決定にまで至り、その住民投票も、5月の大統領選挙と同日だったのが、3月末、さらに3/16にまで前倒しを重ねる事態になっています。既成事実を積み上げることで、ロシア領であることをことさら強調したくなったのでしょう。

そして今日(3/11)、自治共和国の議会が独立宣言を行いました。これもロシア領であることを強調したい一環で行ったのでしょう。追い返していた欧州安保協力機構の選挙監視団を受け入れるとまで言い出しましたし。


今後、クリミアでは独立がほぼ圧倒的に支持される結末になるでしょう。少数派の意見は抹殺される可能性が高いです。状況によってはロシア系とウクライナ人・タタール人による内戦になる可能性も否めません(それでもロシア系の軍備によって圧倒される可能性が大ですが)。


もはやウクライナを1つに保つには、連邦制の導入も視野に入れなければならないのでしょう。西部・東部・クリミアによる連邦制を敷き、ボスニアのような政治体制を採らなければ、ロシアによって東西分割は避けられない事態になっていると思います。
国際社会も手をこまねくだけでなく、三者を交渉のテーブルに着かせるよう配慮しなければならないでしょう。日本はこういう時にしゃしゃり出ないで何でしゃしゃり出るんだと。ここでロシアに恩を打っておけば、今後の交渉事に有利に働くのではないかというのに・・・。


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Posted by alexey_calvanov at 23:50Comments(0)TrackBack(0)

2014年02月23日

急転直下、ウクライナ

ここにきて、ウクライナが一気に緊迫化してきました


ウクライナという国は、旧ソ連の構成国の一つ(とはいうものの、かつては国連に議席を持つ国でもあった)。ヨーロッパの穀物庫といわれるくらいに豊かな農場が広がる農業国(主な穀物として、小麦およびひまわりの種)でもあります。しかし、東部を中心に工業地帯もあり、そこには主にロシア人(ロシア語を母語にしているかロシア支持のウクライナ人含む)が住んでいます。また南部にあるクリミア半島にはロシア軍の基地もあり、帝政ロシア時代から現在に至るまで戦略的拠点でもあります。その証左として、1954年までクリミア半島はロシア領で、スターリン死去後に就任したフルシチョフが『贈り物』と称してウクライナに譲渡したという経緯があります。さらに、クリミアは現在はロシア人が多い地域ではあるものの、元々はウクライナ人でもロシア人でもない独自の民族(タタール人の一派)が在住していました


そんなウクライナは、再独立(1917年に独立した経緯あり)後、ヨーロッパ協調派と親ロシア派との路線対立が規模の大小関わらず見受けられていました。それが今日暴力を伴う対立にまで先鋭化していったのです。
再独立当初は親ロシア派が政権を握っていましたが、2004年のオレンジ革命でヨーロッパ協調派が政権を奪取一気にEU加盟にまで進もうとしていたのですが、その急進的な政策に危機感を感じたロシアが露骨とも言える経済政策(異常に釣り上げた価格および供給停止)でウクライナだけでなくヨーロッパにも揺さぶりを掛けてきたことから、徐々に親ロシア派が伸長し、2010年の大統領選挙では親ロシア派政権(今回辞任に追い込まれたヤヌコビッチ政権)が再び実権を握りました
それでも、その差は拮抗していたため、ヤヌコビッチ政権は親ヨーロッパ政策を採らざるを得なかったのですが、2013年末に行われるはずだったEU加盟の前段階である政治・貿易協定の調印を拒否したため、民衆が激怒。以降大規模なデモになっていました。しかし、2014年を過ぎた頃から先鋭化をし始めたため、双方休戦で頭を冷やそうとしたところに過激派勢力(極右勢力)が休戦を支持した双方に対し武力で対抗(それをデモ隊が支援)したことから、特に政権側が一気に崩壊する事態になりました。
まだ正式にはヤヌコビッチ政権は崩壊したわけではなく、支持者の多い東部で政権に留まることになるでしょう


ところで、ウクライナは先述の通り、西部にヨーロッパ協調派・東部とクリミアにロシア支持派がいる状況で、仮に西部の支持者がEU加盟を急くことになれば、東部は黙ってないと思われます。そうなった場合、ウクライナの東西分裂は必至で、最悪の場合、正当な政権を巡る内戦に発展しかねないと思っています。もちろん、EUは西部のみの加盟ではなく、東部・クリミアも含めた一つのウクライナでの加盟を求めることでしょう。しかし、そうなれば、親ロシア派の思うつぼになり、再びウクライナはロシアの実質的な支配下に置かれることになるでしょう

そこまでウクライナ西部の人達が反ロシアを打ち出しているのかというと、歴史的にヨーロッパ支配(特にポーランドやリトアニアの支配)が長かったというのもあるのですけど、旧ソ連のくびきから脱したいというのもあるでしょう。旧ソ連(この場合ロシア)に従属するのは、ウクライナ人というアイデンティティを失いかねないという感情が働いているものと考えられます。またEUに加盟すれば豊かな地域への移動も容易になるというメリットもあります。


今後は、親ヨーロッパ派の政権が、いかに東部の人達にEU加盟のメリットと東部への妥協ができるかに掛かっているでしょう。現状でも血で血を洗うふうになっているのに、今後さらなる血を流す事態は避けたいものと思っているでしょうから・・・。


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Posted by alexey_calvanov at 23:51Comments(0)TrackBack(0)