2016年11月09日

実業家からの大統領誕生へ

アメリカの大統領選挙が日本時間昨日(11/8)夜から投票開始になり、今日(11/9)の朝から開票が始まりました
かねてから接戦になるだろうと言われていた中でも、民主党のヒラリー・クリントン候補が勝ち上がるだろうという大方の予想でしたが、それに反し、共和党のドナルド・トランプ候補の当選になりました。


アメリカ国内の目で見れば、大方の予想では、共和党の中でも反トランプの指示を出していた有権者がクリントン候補に流れて差を広げる、ヒスパニック(中南米系)や黒人の支持を集めクリントン候補有利というふうでした。しかし、既存の政治家への怒り・アメリカの現状への不満・所得が上がらない層による変化の欲求が想像以上に強かったことに加えて、クリントン候補のメール問題が最後まで尾を引いたとも取れます。また、これまで選挙に行かなかった層が選挙に行った可能性もあります(このあたりは投票率を見ないとわからないが)。トランプ候補も失言問題で窮地に陥ったこともありましたが、支持者にとってはどこ吹く風、かつバッシングにもブレない人という好印象まで与えていたのではないかと感じています。

そして、私個人が感じたのは、トランプ候補が大統領になれたのは、アジアの2ヶ国の大統領がアメリカに大きな影響を与えたのではないかと。これを見てもしかしたらトランプに・・・というふうな流れになったかもしれないと思っています。

一つは、フィリピンのドゥテルテ大統領
フィリピン南部にある街ダバオの市長を務め、実績を上げた人ですが、過激な言動で物議を醸した人でもありました。大統領選でもそれを披露しながら、当選しています。
就任後、彼の過激な言動はフィリピンに大きな影響を与えるのではないかと不安視していた人が多かったものの、実際は不安定になるどころか、功績の方が現状多く、中国とも対等に渡り歩く、麻薬など社会問題に(やり方には問題があるものの)解決の糸口を付けたことから、就任前より支持が増えたと言われています。
これを見たアメリカ人が、多少言動に不満があっても、きちんとした実績を出せば問題ないと判断したのではないかと思います。それは、トランプ候補が(政治の実績はゼロでも)実業家として名を馳せている点でほぼ共通しています

もう一つは韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領
彼女は現在、長い間の友人が絡む大規模な政治機密漏えい事件と汚職事件で解任の危機に晒されていますが、この問題を見たアメリカ人は、先述したメール問題とオーバーラップしたのではないのでしょうか。
クリントン候補のメール問題も、私的なメールアドレスで国家機密を読んでいたことに端を発しています。長い間の友人は絡んでいませんが、一般の人も読める可能性のある中で自分のメールアドレスを使っていることは大変な問題事項でしょう。ましてやサイバーテロの対象になりかねません持っているスマホがコンピューターウイルスに罹っていたらと思うとぞっとします。プロセスは違えど、問題点は共通しています。セキュリティに対する考えが甘いのです。
そして、女性大統領だったというのも、考えさせられるきっかけになったのではと思います。性差別的と言われるかもしれませんが、恐れずに書けば、女性大統領だからこうなってしまったと捉われても文句は言えないでしょう。懸命に性差別を無くそうとしている人達から見れば、彼女の行動はそれを閉ざしかねない事件だったのです。そんな女性首長のイメージ低下がクリントン候補への不支持に繋がった可能性も考えられます(それをトランプ候補が例として明示しなかったのは不思議ですが、失言や国際問題になったらと思って控えたとも)。


いずれにしても、トランプ候補は大統領として何をやってくれるのかは全くの未知数国際社会も彼が大統領になるなんてと狼狽しているほどです。冷静を装っているロシアや中国も本音では無いと見ていたでしょう。


果たして、トランプ候補はモンロー主義のように、国内にだけ目を向けて、国際的な問題には軽視するのでしょうか、それとも世界の大国よろしく積極的に外国の諸問題に干渉するのでしょうか。それも協力的なのか独善的なのかという問題も含めて


最後に言いたいのは、トランプ候補は『アメリカ合衆国の大統領』として振る舞ってほしいです。決して『アメリカ帝国の皇帝』になるんだというふうには思わないでほしいものです。アメリカ合衆国がアメリカ帝国になった時、世界の終わりがやって来るかもしれません。


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Posted by alexey_calvanov at 22:49Comments(0)TrackBack(0)

2012年12月18日

激動の2012年の政治は韓国で締められる

実は、2012年は政治の世界ではかなり大きく動く年とも言われていました。
1月の台湾総統選挙を皮切りに、国家元首ないしは事実上の国家運営者の変わる選挙を挙げていっても、ロシア大統領選挙・フランス大統領選挙・ギリシャ議会選挙・エジプト大統領選挙・ベネズエラ大統領選挙・アメリカ大統領選挙、そして先日行われた日本の総選挙もこの激動の2012年の政治の中に加えられました

しかし、まだ政治の世界の2012年はまだ終わっていません。この激動ともいえる年の締めに行われるのが韓国の大統領選挙
韓国では5年に1度大統領選挙が行われますが、再選は禁止されているため、基本的にはドラスティックに政治が変わることがあります。特に民政移管が始まった1988年以降、保守勢力と革新勢力の政権交代劇が起こっています。かく言う前回の大統領選挙では保守系のイ・ミョンバク大統領が革新系の候補を破り当選しています。


韓国大統領選の立候補者は6人(当初は7人だったが、1人は公示直後に辞退している)ですが、実質パク・クネ候補とムン・ジェイン候補の一騎打ちと言われています。このうちパク候補は保守系、ムン候補は革新系と言われています。


韓国で最大の争点は格差問題およびそれに繋がってくる財閥問題。
立候補時にはイ・ミョンバク大統領は格差解消を訴えて当選しましたが、実際は財閥に利益が集中し、国民に回ってこない、その国民の中でも回ってくるものとそうでない者との差がこれまで以上に広がって、格差がますます広がったと言われています。また日本以上に非正規雇用の人数も多いと言われたいます(ともすればハイレベルすぎる就職活動も大きな要因)
そして財閥問題
この問題は過去何度も言われていたのですが、現在でも三星(サムスン)・LG・現代(ヒュンダイ)などといった財閥が韓国経済の7割とも8割とも言われる割合を占めています。確かに左記に挙げた財閥が国際経済で無双的な活躍を見せているため、韓国経済の成長は上向きとも言えるのですが、先述の通り、国民の末節にまで行き渡っていない現状を加味すれば、日本の戦前によく言われた四大財閥による寡占状態とよく似ているとも言えます。また財閥が中小企業のテリトリーを侵し始めたために中小企業が価格競争に付いていけず廃業するという事態にもなっています。
この事態にパク候補は規制緩和でさらなる自由化を計りながら雇用の拡大を訴え、ムン候補は行き過ぎた財閥への規制を訴えています
その他急遽浮上してきた北朝鮮対策もあり、ますます当選者が読めない状況になっています。さらに韓国のビル・ゲイツとも呼ばれているアン・チョルスさんが出馬辞退を表明し、ムン候補に付いたことで、更なる混迷を与えたとも言われています


韓国大統領選挙は明日投票が行われます。日本と時差のない国のため、当日の夜には情勢が判明するとは言われていますが、混線模様になっていることから当日中に決まらないのではないかとも言われています。

日本への風当たりは、国民感情もあってか、どちらが当選してもまだまだ厳しいものになると言われていますが、双方の候補とも日本との対話をしていきたいという状況ではあるようです。


個人的には、財閥解体に至れば、韓国も少しはよくなっていくのではないかと思うのですが、あまりにも財閥の力が強いために、当分それは難しいとも考えています。そのため少しでも骨抜きにできる候補が当選して、国の利益が国民の末節にまで行き渡るよう動いてほしいものです。


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)