2013年02月20日

レスリングで世界平和をもたらせる?

世界の180ヶ国・地域で行われているレスリング。古代オリンピックから競技として行われており、近代オリンピックでも1回目(男子。女子は2004年のアテネオリンピック)から行われている伝統ある競技でもあります。

しかし、今回の競技入れ替えの会議の際、落とされると目されていたテコンドーや近代五種ではなく、レスリングが2020年の入れ替え種目の一つとして回されることになりました。この中には、かねてから復活を希望していた野球・ソフトボールだけでなく、空手やウェイクボードといった新種目とも戦うことになり、ここで選外となれば、当分の間は復帰は難しいとされる状況に陥ります


こうなった原因は、レスリング協会の脇の甘さ、つまりはロビー活動を行わず、伝統競技だから大丈夫だろうということであぐらをかいていたこととされます。実際消滅の危機を免れたテコンドーは韓国次期大統領であるパク・ウネさんがIOC(国際オリンピック委員会)のロゲ会長との会談の際に猛アピール(ルール改正やテレビ放映に映えるような形式の変更を行ったことをアピールするなど)をしていますし、近代五種も組織委員会が必死の働きかけを行っていたとされています(なお、IOCが発言している不人気さやわかりにくさも一端にはなっているようですが、競技人口の多さから鑑みれば、急速に普及しているとされるテコンドー(推定競技人口5000万)よりかは多いしそれなりにわかりやすいと思われます)。


ところで、今回の不可解とも言える決定で、日本もお家芸ということ、オリンピックの東京招致を行っている関係上、さらに東京招致の顔とも言える吉田沙保里選手が女子レスリングで活躍していることなどから、必死に競技として残れるよう活動していくことを決めました。それだけでなく、意外な場所からも猛抗議の声が上がっています

まずはアメリカ。日本ほど強い国ではないものの、競技人口の多さからおかしいという声が挙がっています。
そしてロシアロシアは旧ソ連時代からのレスリング大国の一つ。吉田選手に抜かれるまで、世界選手権連続連覇数はカレリンさんが持っていました。また、カレリンさんは今回の一件で引責辞任した会長の代わりに代行として就任しています


さらに、最も意外とも言えるのがイラン。実はイランはオリンピックで獲得しているメダルの約半分がレスリングという古豪の一つで、今回の競技削減の危機で日本以上に怒っているともされています。そして、『敵国』と目しているアメリカとの『共闘』を図ろうとしているとさえ言われているのです。

ご存知の通り、イランは1979年のイラン革命以来、アメリカとの関係は最悪。さらに核兵器の開発を行っているのではないかと目されているため、ジョージ・W・ブッシュ元大統領時代には(サダム・フセイン元大統領時代の)イラク・北朝鮮と並んで悪の枢軸国と名指しで非難を浴びたほどでした。
仮にレスリングがオリンピックの競技で残ることになれば、もしかする、かつて中国とアメリカがピンポン(卓球)外交といわれるスポーツ交流で国交を回復させたように、イランとアメリカがレスリング外交で国交回復の道を開いていくかもしれません。ということは、今回の消滅の危機が逆に世界平和に繋がる出来事になれば、オリンピックの精神とも相まっていい影響を与えられると思いますし、レスリングが大きく普及するきっかけにもなるのではないのでしょうか

「雨降って地固まる」ということわざの通りになってくれることを祈らずにいられません。


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Posted by alexey_calvanov at 23:36Comments(0)TrackBack(0)