2012年04月27日

ドル箱かパンドラの箱か?

今期、1981年に連結業績で決算を公表してから、暴力的に言えば、ファミコンを販売(注:ファミコンの販売は1983年)し始めてから初の赤字(▲432億円。▲はマイナスの意味)に陥った任天堂。昨今のスマートフォンの隆盛である意味家庭用ゲーム機(特に据え置き機)は危機的状況に陥る中、起死回生になるのかというのが、今回のこの発表。
創業以来初の大転換になるダウンロード販売を開始することになったということです。


ダウンロード販売というのは、プリペイドカードないしはクレジットカードで支払いを行うことで、対象のソフトを購入できるというもの。最大の利点はパッケージ販売と違い、プログラム部分以外のコストが全くかからないという点。そのために通常の価格よりかなり安くなります(とはいえ、その差額はまちまちなので、何とも言えない(苦笑))。ただ、取扱説明書がないことから、同じようにダウンロードとなるために、扱いにくいという欠点もあります。


さて、ダウンロード販売に舵を切ることになった任天堂。その販売方式がまた変わっていて、いかにも任天堂らしい方式に。

一般的な方式(SCEやアップルなど)はメーカーから消費者への直売方式になっていて、いわゆる仲介問屋や二次問屋を通さない方式を採っています。これが飲食関係であれば、食肉類など生産地から農協や市場などを介さずにスーパー・小売店(もっとダイレクトな方式だと移動販売車)で販売される産地直送方式がありますけれども、その方式と同じものと言ってもいいでしょう。

ところが、任天堂の販売方式はこれまでと同じ方式デジタルだろうがアナログだろうが、二次問屋(この場合は小売販売店)を経由して消費者へ販売される方式になっています。
この方式のメリットは小売店サイドで自由な価格設定ができる、インターネットのない環境でも購入が可能、在庫を持たなくていい、かつ在庫ロス(チャンスロス)の可能性を限りなくゼロにできるというものが主にありますが、逆にインターネットが無い環境ではこの小売店でしかダウンロードができない(つまり、そこにしか頼れない)ため、直売より色を付けられる可能性も否定できないわけです。これは過去の販売方式を見ていれば火を見るより明らかなことでしょう。
これに関しては、任天堂が希望小売価格を設定して、それより高値での販売をさせないという『制裁措置』を採ってもらうしかないのですけれども、「小売価格は小売店様が決定し、任天堂は関与しない(原文ママ)」と謳(うた)っている限り、これは厳しいのかもしれません小売店の自浄能力が富に求められることになるでしょう。


ちなみに、今回のダウンロード販売、記録するのは付属または別で買ってきたメモリーカードで対応するのですが、ダウンロード時に識別番号を振ってあるのか、ダウンロード先の本体以外では起動不可となっています。そのため、同じ家族や友人などの3DSでは遊べないので、貸し借りは不可にもなるわけです。そういうケースの場合は従来通りパッケージソフトで購入することになりますので、家族でソフトを共有させている人は十分にご注意下さい。
そして、店頭でダウンロードソフトを購入する場合、16ケタの引き換え番号を入力して、ニンテンドーeショップでダウンロードという流れになっています。本体を一緒に持って行くという必要性が出てくるものの、先述の通り、インターネット環境が無い人でも対応ができるようになります
さらに、今年末に発売予定のWii Uもこの方式で進めていくということですが、この場合インターネットのない環境の人はどうするのかが気になります。
あと心強かったのが、「追加コンテンツ販売を意識するあまり、パッケージとして未完成と受け止められるような商品を提案するつもりはない」、「構造的に射幸心を煽り、高額課金を誘発するガチャ課金型のビジネスは、今後とも行うつもりはまったくない」(共に発言の一部を抜粋)という点。ソーシャルゲームでかなり問題になっているのと、あくまで任天堂のメインビジネスは子供とその親にあるという基本を忘れてほしくなかったので、ぜひともこの初心は貫いてほしいと思います。


今回の販売方式は8月発売予定の「Newスーパーマリオブラザーズ2」から。一刻も早く手に入れたい人は、物は試しでこの方式を利用して見てもいいでしょう。


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Posted by alexey_calvanov at 23:53Comments(0)TrackBack(0)