2019年05月07日

平成最後の東北に向かう⑥ 鵜住居駅にて 前編

SHV39_4906田老駅からおよそ1時間50分。随分長いこと揺られたり待たされたりした中、鵜住居駅で途中下車
旧JR山田線の駅の一つで、今回旧JR山田線で唯一下車した駅です。
島式の2面ホームで、踏切を渡って外へないしはホーム内に入ります。



SHV39_4939待合室はとても華やかに仕上がっており、愛称である「トライステーション」の文字が。

三陸鉄道リアス線は全てに愛称が付いており、今回立ち寄った駅では、十府ヶ浦海岸駅には「はまなす香る砂浜」、島越駅には「カルボナード」(宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」に出てくる舞台の一つであるカルボナード火山島から)、田老駅には「銀色のしぶき」、宮古駅には「リアスの港」という愛称があります。



SHV39_4999しかし、ここで困ったことが。
降りたのはいいけど、ここで降りるとおよそ2時間半の待ちになってしまう(黄色く囲ったところが、鵜住居駅の時刻表の一部。赤字が今回乗ってきた列車の発車時刻、青字は次に乗りたい列車の発車時刻)。見に行くところはたかが知れているし、さすがにこんなに時間は潰せまい・・・と、この時ばかりは思っておりました。



SHV39_4918とりあえず、見に行きたいところに行こう。


最初は、釜石祈りのパークというところ。まだまだ整備中の様相を呈していますが、東日本大震災の日である3/11(2019年)に開園しています。
貼り紙が貼ってありますけど、あれは落とし物の案内。



SHV39_4910入ってすぐのところにあるのは、この鵜住居地区で犠牲になった人達の慰霊碑
ものすごく多くの方が亡くなった、あるいは行方不明になっていますが、この理由は後程。



SHV39_4911少し上がったところには、釜石市の防災市民憲章が掲げられています。
これは、「備える」・「逃げる」・「戻らない」・「語り継ぐ」からなっており、東日本大震災の時に味わった問題点を洗い出して作られた、いわば教訓のようなものです。避難訓練の大切さ・安全な場所へ早く逃げることの重要性・戻らないかつ戻らせない決断力・災害から学んだ生き抜く知恵を後世に伝えることを解いています。



SHV39_4917そこまで徹底しているのは、ここが鵜住居地区の防災センターのあった場所だからです。
自然災害から守るために設置されたこの防災センターでしたが、地震の時の避難設備として整備されたわけではなく、あくまで災害時の対策本部としての役割しか持っていなかったと言われています。ところが、普段から避難訓練の避難先としてこの場所が選ばれ、かつ『防災』という名称も仇になり、実際東日本大震災の時も大勢の住民がこの場所に避難してきました
そして、地震発生後に起こった大津波によって建物のほとんどが水をかぶる形になり、わずかな隙間に息も絶え絶えで浮かんでいた人達も、掴むものが無かったり体力の限界、水が引いても衛生面や低体温症などで命を落としていったと言われています。何ともやるせない話です。



SHV39_4920そしてこちらが、いのちつなぐ未来館という東日本大震災の被害を後世に伝える施設
先程の話は、この中で詳細が語られています。内容を見るだけで、何とも私達は名前だけで安全だと思ってしまったのかと嘆いてしまうほどです。この場所へ逃げた人には罪はないですが、慢心で亡くなっていったのだと思うと、やはり心の中で何か引っ掛かってしまうのよ。



SHV39_4921ここには、近くにある釜石東中学校の生徒が作った課題が展示されています。



SHV39_4923この鵜住居で忘れてはならないのは、津波てんでんこの伝承を守り、自主的に高いところへ避難した「釜石の奇跡」と呼ばれる行動です。




SHV39_4924これは、東日本大震災が発生した際、津波が来る可能性を予見し、高いところへ逃げることを決めたものの、その避難先も危険だということで、さらに高いところへ逃げたという話です。その際には、鵜住居小学校・釜石東中学校、そして鵜住居保育園と近所の方々や教員達が力を合わせて助け合いながら高台へ逃げるという連携も取れていたそうです。
当時の子供達は、奇跡でも何でもなく、当たり前のことをやっただけ、普段訓練で行ったことをやっただけと述べており、釜石市自体も奇跡ではないと認識しています。ただ、普段から防災を意識し、訓練を積み重ねることの重要性という点、そして自主的に行動するという点では、この出来事は非常に重要だと思います。



SHV39_4908ちなみに、まだ駅前広場は建設の真っ只中。
隣には釜石市民体育館が完成する予定です。この規模から考えるに、B3リーグに所属している岩手ビッグブルズの試合会場一つになるんじゃなかろうかと。
そういえば、J3のいわてグルージャ盛岡もこの岩手ビッグブルズもあまり宣伝が無かったなぁ・・・。
盛岡は旧ロゴの自販機を久慈駅で、岩手ビッグブルズも久慈駅でのぼりを見ただけだったわ・・・。岩手県は本州一広い県とはいえ頑張って宣伝しないと。



この後も、鵜住居駅で見に行くところがある。新聞で見て行っておこうと思ったんですよねぇ。次回はそこを見てきます。そして、お腹空いたんでメシ食います。


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Posted by alexey_calvanov at 23:18Comments(0)