2012年09月26日

地方の声より派閥の声

今日、自由民主党(以下自民党)の総裁選挙が行われ、安倍晋三議員が決選投票の末、他の4候補を破って総裁に返り咲きました
総裁選挙が決選投票に至ったのは1972年以来40年ぶり、逆転勝利を収めたのは56年ぶり。そして総裁経験者が再度総裁を担うのは史上初の出来事となりました。奇しくも、逆転勝利に関しては今回の件を含めて2回しかなく、その1回は過去に安倍議員の祖父にあたる岸信介さんが逆の立場でなったことがあり、祖父の汚点を孫が癒したとも言えるでしょう(とは言うものの、岸さんは後の総裁・首相を担っているので、その時点でそんなことはないのだろうが)。

ただ、選挙の内容はほぼ石破茂議員の圧勝と言ってもよかったくらいです。というのも、1回目の選挙で石破議員は地方票の過半数を抑えていたからです。つまり、地方は石破議員を推していたのにもかかわらず、決選投票では、議員のみの投票になったがために、「安倍議員の方がマシ」という取捨選択が働いて、結果的には20票近い差で安倍議員が当選したというわけです。

ちなみに、安倍議員は議員投票では2位(54票)、石破議員は同3位(34票)とあまりよくはありません議員票の1位は石原伸晃議員。いわゆる派閥で固めた、ある種本命と言われていた一人でした。しかし、彼が決選投票に進めなかったのは、「谷垣おろし」(谷垣前総裁との候補者調整に応じなかったため)を計ったのが裏目に出たのではないかと推測しています。自分達の本割(+重鎮のご機嫌取りにも成功して)を固めることはできたものの、地方票では大きく差を広げられてしまっているのがその証左でしょう。


先述の通り、決選投票は議員のみでの投票になりました。そしてこの議員投票というのは派閥の意向が大きく働くという一昔前の自民党の論理が大きく働いていました。特に残った2人は党内でもアレルギーが多かったとも言われていました。前者は過去総裁になった経験と首相を(病気によるものとはいえ)投げだしたというイメージが強かった、後者は無派閥かつ一匹狼というイメージと他者を相容れないという部分があった点、さらに党の重鎮には好印象を持たれていないという点などが挙げられるでしょう。

しかし、先述の「安倍議員の方がマシ」という点、選挙で安倍議員がかわいがっていた保守派が残っていた点が幸いして安倍議員は当選できたのかもしれません。個人的には石原議員の票がほとんど安倍議員に流れたのではないかと推測しています。


私自身、石破議員が新総裁になると思っていたので、安倍議員の逆転劇は意外だったと思うだけでなく、数の論理や派閥の論理がまだまだ自民党では強いのだという印象が残りましたね。同時に(これは石破議員がなっても石原議員がなってもそうだったと思いますが)自民党がますます極右化しているのだと痛感しています。
ナショナリズムに訴えるのもいいのですが、国民や支持者の声を反映できない今の自民党は、一部の人のための党に成り下がってしまうのではないかと思います。


安倍議員が大阪維新の会(今は日本維新の会)の幹部クラスの誘いに乗らなかったのは、勝算があったからなのかもしれないのですが、仮に負けていたらどうしていたんでしょうねぇ・・・。そして安倍議員が頭に立ったということは、日本維新の会との連携を模索して第1党への返り咲きを狙うのでしょうか。


今後の自民党が変われるのか、そのままなのか、ますます硬直化していくのか、今後の動向には目が離せないですね。


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Posted by alexey_calvanov at 23:02Comments(0)TrackBack(0)