2019年05月08日

平成最後の東北に向かう⑦ 鵜住居駅にて 後編

SHV39_4922駅周辺を巡った後、鵜住居駅から歩いて10分弱にある釜石鵜住居復興スタジアムに向かうことに。
こちらは、いのちをつなぐ未来館にある手書きのアクセス。え、こんなに大回りしないといけないの・・・と思われたでしょうけど、半分当たりで半分ハズレ
実際は、そこまで大回りしなくてもいい。ただ実際に直行で行けるようにはなっていないのも事実
私は建設中の釜石市民体育館の脇道を通って、坂になっている鎧坂橋へ向かう道を少し下がるような格好で向かい、あるところでUターンして坂を上り、踏切を越えて、鎧坂橋を渡る流れで釜石鵜住居復興スタジアムに向かいました。もっとも、大勢の人達が同じ場所に向かう際には、このルートは現実的ではないわけで(基本的に道が狭く、往来が難しい)。ゆえに、今回のようなルートが推奨されたのでしょう。



SHV39_4926というわけで、今回の目的の一つ、釜石鵜住居復興スタジアムにやって来ました2018年に完成した球技専用のスタジアムです。



SHV39_4932この日は天気がよく、スタジアムの掲揚塔にはこいのぼりが、こどもの日(5/5)よりも6日ほど早く掲げられていました。



SHV39_4928こちらがメインスタンド。


このスタジアムは、2018年に完成。2019年に開催するラグビーのワールドカップの予選会場(国内唯一の新設)として使われます。新国立競技場は完成までに間に合わなかったから、会場に選定されなかったんだよね・・・。
とはいえ、現在も建設中で、この先開催日までに仮設席の設置などが行われます最大で16,000席、仮設席撤去後は6,000席になります。席は地元の木材の他、旧国立競技場や東京ドームなどの座席を譲り受けております。なお、ラグビーワールドカップを開催する関係上、席は全て個席になります。
普段は、釜石市に本拠のあるラグビージャパントップチャレンジリーグ(2部)の釜石市シーウェイブスが本拠地として構える他、サッカーJ3のいわてグルージャ盛岡も開催地として利用する予定を表明しています。
ただ、ラグビーとサッカーは芝のコンディションでも異なっているので、先日秩父宮ラグビー場でサッカーの試合をやった時のような苦労をするのではないかなとも。



SHV39_4931こちらが、その問題になる芝。丁度伸びた芝の刈り取りが行われていました。
実は、この芝はハイブリット芝と呼ばれるもので、天然芝に人工芝を絡ませて天然芝を強化する方式が採られています。この方式を採ることで、ラグビーのように激しい動きをするスポーツでも芝が剥げにくくするような工夫がなされています。サッカーでもノエビアスタジアムでこの方式が特例で採られており、建物の構造上の理由で天然芝の育ちにくいスタジアムで天然芝を守るためにも活用されているのです。



SHV39_4935そして、ラグビーの街釜石らしいものが、こんなところにも。
自動販売機には、ラグビーのイラストなどラグビーを盛り上げるプリントが施されています。



SHV39_4936この釜石鵜住居復興スタジアムから眺められるのは、鵜住居小学校・釜石東中学校および鵜住居保育園
実は釜石鵜住居復興スタジアムは、鵜住居小学校・釜石東中学校および鵜住居保育園跡地に建っていたのです。東日本大震災によって建物が破壊されたため、更地にしてスポーツ公園建設用地として充てられたのです。



SHV39_4937再び鵜住居駅前に。
お腹が空いていたので、鵜の郷交流館にある食堂の汐折(しおり)で腹ごしらえ。
色々あったけど、贅沢と清水の舞台から飛び降りるを両方体験したく、「いくら丼定食」に。



漁協産直ということなので、鮮度は悪くない。そしてほやなどの海鮮の付け合わせも美味かったです。


SHV39_4938もう少し食べたいと思って、隣にあるつるりで「鵜潮めし」をチョイス。あ、つるりは麺類の店で、そばやうどん、釜石ラーメンやラガーラーメン(辛味噌ラーメン)といういかにもラグビーの街らしいものが頂けます



鵜住居は漁港もあったということで、このような名前になったんでしょうね。素朴な味の海鮮風味のおにぎりと言っていいのでしょうか。奇をてらったものではないですが、悪くないですよ。


いやぁ、あっという間に2時間半経っちゃった。もっと時間があってもいいかなとも思ってしまった。だって土産も売ってるから、じっくり選びたかったもんねぇ。まさかこのことを見越して三陸鉄道は時間を大きく取っているのではないかと邪推してしまいましたよ。


鵜住居駅周辺を思い切り堪能して、いよいよ南の起終点になる盛駅を目指していきます


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Posted by alexey_calvanov at 23:36Comments(0)

2019年05月07日

平成最後の東北に向かう⑥ 鵜住居駅にて 前編

SHV39_4906田老駅からおよそ1時間50分。随分長いこと揺られたり待たされたりした中、鵜住居駅で途中下車
旧JR山田線の駅の一つで、今回旧JR山田線で唯一下車した駅です。
島式の2面ホームで、踏切を渡って外へないしはホーム内に入ります。



SHV39_4939待合室はとても華やかに仕上がっており、愛称である「トライステーション」の文字が。

三陸鉄道リアス線は全てに愛称が付いており、今回立ち寄った駅では、十府ヶ浦海岸駅には「はまなす香る砂浜」、島越駅には「カルボナード」(宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」に出てくる舞台の一つであるカルボナード火山島から)、田老駅には「銀色のしぶき」、宮古駅には「リアスの港」という愛称があります。



SHV39_4999しかし、ここで困ったことが。
降りたのはいいけど、ここで降りるとおよそ2時間半の待ちになってしまう(黄色く囲ったところが、鵜住居駅の時刻表の一部。赤字が今回乗ってきた列車の発車時刻、青字は次に乗りたい列車の発車時刻)。見に行くところはたかが知れているし、さすがにこんなに時間は潰せまい・・・と、この時ばかりは思っておりました。



SHV39_4918とりあえず、見に行きたいところに行こう。


最初は、釜石祈りのパークというところ。まだまだ整備中の様相を呈していますが、東日本大震災の日である3/11(2019年)に開園しています。
貼り紙が貼ってありますけど、あれは落とし物の案内。



SHV39_4910入ってすぐのところにあるのは、この鵜住居地区で犠牲になった人達の慰霊碑
ものすごく多くの方が亡くなった、あるいは行方不明になっていますが、この理由は後程。



SHV39_4911少し上がったところには、釜石市の防災市民憲章が掲げられています。
これは、「備える」・「逃げる」・「戻らない」・「語り継ぐ」からなっており、東日本大震災の時に味わった問題点を洗い出して作られた、いわば教訓のようなものです。避難訓練の大切さ・安全な場所へ早く逃げることの重要性・戻らないかつ戻らせない決断力・災害から学んだ生き抜く知恵を後世に伝えることを解いています。



SHV39_4917そこまで徹底しているのは、ここが鵜住居地区の防災センターのあった場所だからです。
自然災害から守るために設置されたこの防災センターでしたが、地震の時の避難設備として整備されたわけではなく、あくまで災害時の対策本部としての役割しか持っていなかったと言われています。ところが、普段から避難訓練の避難先としてこの場所が選ばれ、かつ『防災』という名称も仇になり、実際東日本大震災の時も大勢の住民がこの場所に避難してきました
そして、地震発生後に起こった大津波によって建物のほとんどが水をかぶる形になり、わずかな隙間に息も絶え絶えで浮かんでいた人達も、掴むものが無かったり体力の限界、水が引いても衛生面や低体温症などで命を落としていったと言われています。何ともやるせない話です。



SHV39_4920そしてこちらが、いのちつなぐ未来館という東日本大震災の被害を後世に伝える施設
先程の話は、この中で詳細が語られています。内容を見るだけで、何とも私達は名前だけで安全だと思ってしまったのかと嘆いてしまうほどです。この場所へ逃げた人には罪はないですが、慢心で亡くなっていったのだと思うと、やはり心の中で何か引っ掛かってしまうのよ。



SHV39_4921ここには、近くにある釜石東中学校の生徒が作った課題が展示されています。



SHV39_4923この鵜住居で忘れてはならないのは、津波てんでんこの伝承を守り、自主的に高いところへ避難した「釜石の奇跡」と呼ばれる行動です。




SHV39_4924これは、東日本大震災が発生した際、津波が来る可能性を予見し、高いところへ逃げることを決めたものの、その避難先も危険だということで、さらに高いところへ逃げたという話です。その際には、鵜住居小学校・釜石東中学校、そして鵜住居保育園と近所の方々や教員達が力を合わせて助け合いながら高台へ逃げるという連携も取れていたそうです。
当時の子供達は、奇跡でも何でもなく、当たり前のことをやっただけ、普段訓練で行ったことをやっただけと述べており、釜石市自体も奇跡ではないと認識しています。ただ、普段から防災を意識し、訓練を積み重ねることの重要性という点、そして自主的に行動するという点では、この出来事は非常に重要だと思います。



SHV39_4908ちなみに、まだ駅前広場は建設の真っ只中。
隣には釜石市民体育館が完成する予定です。この規模から考えるに、B3リーグに所属している岩手ビッグブルズの試合会場一つになるんじゃなかろうかと。
そういえば、J3のいわてグルージャ盛岡もこの岩手ビッグブルズもあまり宣伝が無かったなぁ・・・。
盛岡は旧ロゴの自販機を久慈駅で、岩手ビッグブルズも久慈駅でのぼりを見ただけだったわ・・・。岩手県は本州一広い県とはいえ頑張って宣伝しないと。



この後も、鵜住居駅で見に行くところがある。新聞で見て行っておこうと思ったんですよねぇ。次回はそこを見てきます。そして、お腹空いたんでメシ食います。


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Posted by alexey_calvanov at 23:18Comments(0)