2017年12月14日

参入するからには、2012年の失敗を繰り返してはならない

今日、楽天が携帯電話事業(キャリア、つまりMNO(移動体通信事業者))に参入することを発表しました。
現在のキャリアは、NTTドコモ・au(KDDI)・ソフトバンク・ワイモバイルの4ブランドあるものの、ソフトバンクとワイモバイルは、ソフトバンクグループの一つとなっているため、1社で2ブランドあるという、かつてのauとツーカーのような関係になっていますので、事実上は3社になります。


今回楽天が獲得に乗り出したのは、1.7GHz帯と3.4GHz帯(どちらも4G向け)来年1~2月に募集が掛かるとのことで、楽天は、その募集に応募する形になりました。異論が出なければ、3月には割り当てを取得でき、その後子会社の設立・基地局の整備を約1年掛けて行って、2019年の新規参入を目指すそうです。
ちなみに、目標加入者数は1500万人。恐らくワイモバイルの加入数の1.5倍くらいを狙っているのかなと思います(個人的推測ですが、ワイモバイルの加入者数は800万~1000万くらいと思っている。ちなみに、2017年9月現在、NTTドコモが約7500万、auが約5000万、ソフトバンクが約4000万で、ソフトバンクはワイモバイルを含めたものと推測)。


では、現在の携帯電話事業はどうなっているのでしょうか。
先述の通り、キャリアに関しては、NTTドコモ・au(KDDI)・ソフトバンク・ワイモバイルの4ブランドあり、全体の約9割を握っています。残りの約1割は、そこから電波を借りて運営しているMVNO(仮想移動体通信事業者)で、様々な業者が多数参入し、低価格をウリにした過当競争が起こっています。中には、FREETELのように事実上の倒産に追い込まれ、楽天に買収されるといったMVNOも現れており、体力勝負の様相も呈しています
それゆえに、既にMVNOで名を馳せた楽天(楽天モバイル)でさえも、将来生き残れるか不安な点やさらなる安価競争に巻き込まれるのならば、電波を持っておいた方がやりやすいと判断したのでしょう。現在NTTドコモに払っている使用料もバカにならないんでしょうね。


この新規参入の流れは、過去にもありました。2005年にまでさかのぼります。
今回と同じように、新規周波数の割り当てが行われ、最終的にイー・アクセス(イーモバイルで参入)、ソフトバンク(BBモバイルで参入)、アイピーモバイルの3社が参入することになりました。しかし、ソフトバンクは日本でサービスを行っていたボーダフォンを買収、アイピーモバイルはサービス開始前に破綻、残ったイーモバイルはサービス開始まで漕ぎ着けたものの、既にあったキャリアの壁を破れず、最終的にソフトバンクに買収されます(詳細は、こちら)。左記に書かれたイーモバイルの買収劇は2012年に行われました。事実上新規参入事業は失敗に終わったのです。
前回のような失敗を防ぐためにも、政府(総務省)は楽天に対して様々なアドバイスを送るべきだと思いますし、可能な限りキャリア3社とタイマンを張れるだけのハンデを取らせるべきだと思います。ある程度自立ができるようになれば、自分達でやればいいと思うので、とにかく楽天を含めた4社での公正な競争を促してあげてほしいです。これで楽天のキャリア事業がどこかに買収されるようなことになれば、日本の携帯電話事業はもう終わりでしょう。3社で思い通りになる寡占事業が染み付くような形態でしかないというふうなら、永遠に日本から生まれるケータイはガラパゴス(つまり世界では通用しない状態)になると思います。


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Posted by alexey_calvanov at 22:42Comments(0)