2019年06月25日

三菱「ワイだけでは何ともならなんだ」

初の国産ジェット機(リージョナルジェット機)を開発中の三菱重工業は、カナダの航空機製造メーカーであるボンバルディアのリージョナルジェット機事業(保守・販売部門)を取得することを明らかにしました。
三菱重工業は国産ジェット機スペースジェット(旧称MRJ(三菱リージョナルジェット))を開発中ではあるものの、開発の難航に伴う相次ぐトラブルによって納期遅れを頻発し、一部の航空会社からはキャンセルを食らう事態にもなっています。これ以上の遅れは販売などの面で致命的になると判断した三菱重工業は、既にCRJというリージョナルジェット機を製造しており、ノウハウのあるボンバルディアからリージョナルジェット事業を買収することで乗り切ろうと思ったわけです。ただし製造に関しては、あくまで三菱重工業で行うというふうで、ボンバルディアにあるリージョナルジェットの製造部門は買収の対象外になっています。


今回の件でまず言えるのは、国産ジェット機を製造するのは結構大変だったこと。かつ戦後の影響が、いまだ残っているのだと痛感させられた点でしょう。
かつて日本は飛行機製造はトップクラスとされました。特に戦闘機の製造で有名になり、ゼロ戦などは相手が恐れる機体だったとも言われています。
そのため、戦後すぐに航空機の製造がGHQにより禁止され、海外がジャンボジェット機の開発に乗り出す中、日本はその開発に取り残され、航空機開発は自由にできるようになった後も、結果製造できたのはYSモデル(YS-11など)と言われるプロペラ機のみでした。戦闘機時代からのノウハウが継承されずに霧散してしまったことや開発費の高さが二の足を踏む結果となったのです。

そして、ボンバルディアからはリージョナルジェット事業の債務を引き継いでいます今回5億5000万ドル(約594億円)で買収するとともに、約2億ドル(約216億円)の債務も引き継ぐことになりました(ボンバルディアはカナダの会社だが、アメリカドル(1ドル=108円)で換算)。名よりも実を取る格好となったわけで、同時に可食部分の少ないながらもほんの少しある旨味だけでもと思ったのかもしれません。まぁ、捨て身で挑んでますわね。
となると、この買収後でもトラブルが散見されると、三菱重工業は国産ジェット機製造でかなり苦しむ格好になり、かつ買収後に残った債務で苦しむという二重の苦痛を味わうわけです。実際機体トラブルも散見しているようなので、この買収は本当に吉となるのか不安です。


今後無事に飛行するためには、何としても手に入れたノウハウを自身が扱いやすいように手直しし、かつトラブルの内容にしていかなければなりません。ミッションとしては苦しいですけど、やるしかないですわ。


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Posted by alexey_calvanov at 23:57Comments(0)

2016年08月27日

MRJ「恥ずかしながら帰って参りました」

事実上日本初の国産ジェット機として現在開発中のMRJ(Mitsubishi Regional Jet)。三菱航空機という三菱重工業の子会社として、このプロジェクトのために設立された会社が製造を手掛けている小型ジェット機ですが、今日(8/27)アメリカでのテスト飛行に向かうため、県営名古屋空港を飛び立ったわけです。
ところが、1時間後に再び県営名古屋空港に「出戻り」。一体何があったんだと思ったら、何と空調トラブル経由地だった新千歳空港に向かう途中に発覚したのだそうな。


これまで、開発段階でも様々なトラブルがあって、運行まで何回も延期を重ねているこの飛行機、既に海外の会社が製造依頼を出しているだけに、これ以上の延期は避けてほしいとは思うのよねぇ。現状このトラブルが更なる延期に繋がるものなのかわからないとはいえ、仮に延期に繋がれば、ライバル企業の飛行機に受注が移ってしまうのではないかと戦々恐々として見ております。

同時に『産みの苦しみ』に翻弄されているなと。
前述の通り、日本がジェット機の製造を手掛けるのは事実上初めてそれ以前はプロペラ機のYS-11を手掛けているだけなんですね。なので、飛行機製造という見方をすれば2台目になるのです。
どうしてこうなったのかというと、太平洋戦争前は数多くの軍用機(いわゆるゼロ戦など)を手掛けていたものの、戦後軍事力を削ぐために、GHQの命令で飛行機開発をできなくしてしまったわけなんですね。その後飛行機開発は再開できるようにはなったものの、技術者がほとんどいなくなり、飛行機のメインはジャンボジェットのような大型飛行機になってきて、開発レベルに差ができてしまったというわけ。もし、戦後も開発ができるようになっていれば、恐らくロッキードやボンバルディアに次ぐ巨大飛行機製造メーカーが日本から生まれていたかもしれません。


とにかく今は、安全に確実に開発を進めてほしいですわ。もちろんこれ以上の延期は避けるべきなんでしょうけど、人の命を預かるものに回り道は存在しないですから。


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Posted by alexey_calvanov at 23:04Comments(0)TrackBack(0)