簡単に言うと、これからは企業再生支援機構仲介の下、国との間で経営再建を図っていくことになったわけです。事前調整になったのは、連鎖倒産などの今後の損出をできるだけ抑えるための措置とされています。
その中で、関連企業の売却などによる削減というのがありまして。当然この中にはスポンサー支援も含まれることでしょう。特に大口スポンサーになっているようなので、支援されているチームや球団によっては大打撃・・・という可能性もあります。
そして、JALを最も有名にした、かつ有力なスポンサード番組があります。・・・いやそういう表現でいうのは非常におこがましいので、『関連企業』としておいた方がいいでしょう。
そう、JALの有力な『関連企業』として、月曜~金曜の24:00より55分間全国放送されている番組「JET STREAM」があります。
まだTOKYO FMがFM東京と呼ばれる前、つまり社会実験として東海大学が放送していたFM局FM東海から放送されている番組で、1967年の放送開始から43年と民放FM番組の中では最も長いものになっています。
様々な方が届けていますけど、中でも初代機長(番組におけるパーソナリティの位置付け。現在は5代目になる大沢たかおさん)だった城達也さんの、フランク・プゥルセル・グランド・オーケストラ(現在は溝口肇(はじめ)さん)の演奏する♪ミスター・ロンリーに乗せて話す以下のナレーションがあまりにも有名ではないでしょうか。
遥か雲海の上を音もなく流れ去る気流は、限りない宇宙の営みを告げています。
満天の星を頂く果てしない光の海を、豊かに流れゆく風に心を開けば、
きらめく星座の物語も聞こえてくる夜の静寂(しじま)の何と饒舌(じょうぜつ)なことでしょうか。
光と影の境に消えていった遥かな地平線も、まぶたに浮かんで参ります。
番組の内容は、イージーリスニングを聞かせる大人向けの番組としても有名で、その中にJALのパッケージツアーの宣伝を噛ませていくという構成になっています。
放送が始まったきっかけは、終夜放送化に置ける対策と、ほぼ同じ時期に始まったオールナイトニッポン(25:00~29:00。2部制を経て現在は25:00~27:00)への対抗策もあったとされています。
長い間JALの一社提供番組として、またJALの看板番組として、そしてまだまだ海外旅行が夢のまた夢だった時代から外国への憧れを掻き立てる番組として、1959年から放送を開始していたテレビ番組「兼高かおる世界の旅(当時は同世界飛び歩き)」と同じくらいに大きな貢献を果たした、お金では測れない非常に多くの利益を与えた『関連企業』ではないかと思います。
そんな番組が、JALの経営再建の中で消えていくかもしれないのです。
一部報道によれば、2010年3月まではスポンサーの契約はあるものの、4月以降の状態はまだ不明というふうになっているらしいとのことだそうです。
かつて、同じようにスポンサーが付かないことで終わった番組として、映画のサントラなどを流すこの番組と似た感じの音楽番組「バックグラウンドミュージック」(TBSラジオ)があります。
できることなら、スポンサーがなくなりましたからこの番組もラストフライトになりました・・・のようなことがないよう祈りたいものです。
特に今の民放FMはアーティストによる音楽番組のみになったと言っても過言ではなく、イージーリスニングやクラシックを聞かせるような番組はほぼ皆無になったことも併せれば、FM史を語る上でも貴重な証言をしている番組、そして普遍的価値を持つ番組だと思うので、限りなく存続の方向に舵を切ってもらいたいものです。