このところ、AM・FM問わず東京発の番組の比率が多くなってきているラジオ。
今年から約半年間の期間限定ながらも、東京と大阪の放送局が、南関東圏と関西圏の一部でPCを介したIPラジオのradiko(ラジコ)というサイマル放送サービスを、またコミュニティFMや一部のFMやAMでも似たようなサイマル放送サービスを始めています。
しかし、そんな中事実上の倒産を迎えるラジオ局があるもの事実。
かつては、簿外債務事件・イトマン事件・後継経営者人選の難航をきっかけに、1994年京都にあるラジオ・テレビ兼営局の近畿放送(KBS京都。現在の京都放送)は会社更生法を申請しましたが、何とか経営を立て直しました。
その後も、2008年に開局以来赤字が続き、遂には資本金を使いきったことで、会社更生法を申請、その後新旧分離方式(注:負債などを旧会社に残し弁済・清算させ、新しく建てた会社に事業を移す方式)で再建を図っているCROSS FM(清算された会社はエフエム九州)と、意外にラジオ放送は破綻と紙一重の状態になっています。
しかし、今回ラジオ局としては3番目の経営破綻になる可能性が出てきました。それは兵庫にあるKiss-FM KOBE。
元々は独立局として個性的な番組を届けていたものの、阪神淡路大震災以降徐々に経営が悪化。そのため2003年にJFN(全国FM放送協議会)に加盟し東京発のネット番組を増やし支出の削減を行ってきました。
ところが、同局内で2007・2008年度に黒字の水増しを行った粉飾決算が判明。そして不明瞭な増資も行われ、経営陣への不信感も高まっていました。
それがきっかけで、筆頭株主のTOKYO FMが同局の経営陣に難色を示し、緊急理事会で解任するという事態にまで陥りました。それでも粉飾疑惑への回答が旧経営陣から行われなかった(実際旧経営陣は解任無効として居座っている状態)ため、今回JFNの除名、そして5月末までにTOKYO FMキー番組を含む全ての番組の引き上げを通達してきました。
除名と配信停止というこれらの出来事は、実質放送局としての死亡宣告を出されたものに等しいと思っています。なぜなら、独立局でやっていけないからJFNに入ったわけで、それが切れるとなると、存在することが難しくなると判断してのことです。
今後独立局になっても破綻ということになれば、新旧分離で復旧するのか、会社更生法で復活を図るのか、はたまた放送局としての事業を停止する(すなわち廃局する)のか、それともTOKYO FMが経営支援を行っていて大阪にあるFM OSAKAが一部を引き取るのか、予断を許さない状況が続いています。
本来なら独立局に戻るのがいいことなのかもしれないのですが、それで上手くやっていけないわけで・・・。そういうことを鑑み、JFNに残りたいのであれば、自社制作比率をできるだけ増やし、多くを若手や地元出身のDJを育成・起用していくのが生き残りの常ではないのでしょうか。実際、三重にあるradio CUBE FM三重は、これで名古屋の放送局との差別化を図っているといういい事例があるのですから。