今や当たり前のサービス、そして一般名詞化したものの一つで『着メロ』(以下権利上の場合は「『』」で表示)というのがあります。
1996年サービスを開始し、1998年にPHS業者で当時のアステルグループの一つアステル東京が、今回話題になった『着メロ』の商標を取ったわけです(ちなみに同社が着メロのサービスを始めたのは1997年)。
その後、アステルグループは九州を皮切りに崩壊。アステル東京はYOZANという通信儀業者に引き継がれたものの、立ち上げた事業はことごとく失敗。遂にはYOZANという会社そのものも名目上の会社扱いになってしまい、赤字を垂れ流す会社だったそうな。
そのため法人税(都税)が払えなくなり、『着メロ』の商標権を差し押さえられてしまうハメに。
その後商標はYahoo!オークションにかけられたのですが、そこで乗り出してきたのがKeyやI've(もしくはI've Sound)をブランド傘下に置くビジュアルアーツ。2250万円で落札したことが今日発表されました。
この2250万円という金額は、これまでYOZANの動産・不動産を切り売りして得た額の35%相当にあたる額なのだそうだ。
しかも『着メロ』のオークション開始持の見積もり価格は200万ほどだったというから、なぜこれだけ釣り上った理由が全くわからないとのこと。ちなみにビジュアルアーツ側は「(一般名詞化している関係上)徴収目的(使用料の有料化)はない」としているものの、この釣り上げてまで買った『着メロ』の権利をどういう形で行使していくかが不明瞭なため、権利を使う側は戦々恐々としてるのが現状なのだそうな。
ところで、よく企業が使う手として、『箔付け』、つまりは会社としての偉業を見せるため、に有名なものを買い取るということを行っています。そのことは世の昔から行われているわけです。
例えば、とある日本企業がピカソの絵を買ったとかニューヨークのロックフェラーセンタービルを買収するとかなどのバブル期の買収騒動はとみに記憶に新しいかと。
今回の買収劇もその一環じゃないのかなとは思うものの、買収決定日に急に額が釣り上がっているのも納得できないし、そもそも何でそんな金額なのとも。自社消費だけだったらこれほどの金額でなくとも還元できるはずだし・・・。
全く意図の見えない買収騒動です、はい。今後の動向に注視していくしかないですね。
ちなみに、この『着メロ』、商標上は2種類あるのは初めて知ったわ(笑)。『着メロ』と書いて『ちゃくめろ』・『きめろ』という2つの権利があるそうな。それを1600万と950万で買収しているのだからますますわからない・・・。