2010年02月18日

どうなるウィルコム?

ウィルコムの経営が思わしくないと以前にも書きましたが、今回遂に大きな動きが出た模様です。


ウィルコム自身が自主再建をあきらめ、会社更生法の下での再建(日本航空の際と同じ事前調整型)を目指すということを決めたそうです。
負債総額は2060億円で、通信事業者としては史上最大。今後は大方の噂通りソフトバンクと投資会社(アドバンテッジパートナーズ)の下での再建を目指すことになりそうです。

この更生法にまで至った背景は、PHSの利用者減少ということに集約されていくのでしょう。

1996年をピークに暫時減少を繰り返していたPHS業界。
かつて3社あったPHS会社も現在はウィルコムのみになり、かつて優勢と言われていたデータ通信定額では高速化を図りそれをウリにした携帯電話事業者、そしてそれを定額および低額化に導いたイーモバイル・UQコミュニケーションの台頭により群雄割拠化。ウィルコムのアドバンテージはたちまち薄れていきました。
頼みの綱にしていた音声通話定額もソフトバンクのホワイトプラン(ボーダフォン時代にも行ってはいたが、オプションサービス扱い)を皮切りにこれも一部各社追随。加入者面でも金額面でも優勢を打ち出せなくなったため苦境に立たされていました。
起死回生のためWILLCOM COREという次世代PHSを展開したものの、暫時減少のPHS事業が足を引っ張る形になり、思った以上の設備投資ができず、遂にはNTTドコモのFOMA回線を利用したWILLCOM CORE 3Gという『暫定的なサービス』(結果としては携帯電話事業者としての信頼を失墜させたと個人的には思っている)を始めざるを得ないところになりました


正直PHSのアドバンテージはもうほとんど残されていないというのは私自身何回も言ったのではなかったかと。唯一医療関係での部分のみだと思っても、十把一絡(ひとから)げ的に『携帯禁止』を掲げられている以上、挽回できる場所はもはやないと言ってもよかったかもしれません。
ましてやデータ通信に関しては、高速化・大容量化がメインになったため、旧式のデータ通信ではもう勝ち目は薄いことも明白だったかと思います。もはやPHSそのものが『過去の遺産』となりつつあっただけに、この展開は大方予想できたものと思っています。


今後は経営陣が総退陣して新スポンサーを迎えることになるのだそうです。また一部報道(地元の新聞でも取り上げられていましたが)では、現在資本関係にあるカーライルグループ・KDDIの100%減資(つまりは撤退)、現行PHSサービスとWILLCOM COREサービスとの2社分割が提示されています(2社分割に関してはウィルコムサイドが否定)


今回の件を見て一番に思ったのは、やはりソフトバンクがしゃしゃり出てきたなと。言葉は悪いですが、死体に群がるハゲタカのようですね。
かねてから次世代分野を欲していただけに、ウィルコムの再建で関与を深め、最終的にはWILLCOM COREのサービスをソフトバンクの関連会社ソフトバンクモバイルのサービスに組み込もうという魂胆があるのではないかと思います。そうなると現状ドコモとの協力関係にあるWILLCOM CORE 3Gがどうなるかが注目すべきところになるでしょう。
しかし、一番批判すべきは次世代通信規格に免許を与えた総務省ではないかと。今回の事態は予測可能だったことを考えれば、なぜ最終的にウィルコムに免許を与えたのか説明を求めたいところではあります。



Posted by alexey_calvanov at 23:58│Comments(0)TrackBack(0) ケータイ系 

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