2009年02月12日

イスラエルよ、どこへ行く?

2/10に世界が注目する中、イスラエルの総選挙が行われました。
なぜこの選挙が注目されたのかというと、去年末に行われた(2008年および2009年)ガザ侵攻によって、それまで野党リクード(中道右派政党)が優勢になっていた支持率を何とか現在政権与党の一つであるカディマ(中道政党)が五分に持ち込んだ形でスタートすることになったからです。
そのため、(2008年および2009年)ガザ侵攻がなければ、圧倒的な差で野党の政権奪取が行われ、ガザを含めたパレスチナ情勢が混沌化する恐れがあったからでもあります。つまりは今後のパレスチナ情勢が強硬策に転じるのか、穏健策に転じるのかの試金石になる選挙だったからです。


結果はというと、120議席あるクネセト(一院制立法院とも一院制議会とも言う。元々は基本法の名前)で過半数を占めた党が存在しないどころか、第一党だったカディマが28議席・第四党で優勢が伝えられていたリクードが第二党になる27議席というほぼ互角な結果に終わりました
そのため、両党とも勝利宣言を出すという異常事態に発展。まだまだ予断を許さない状況に陥っているわけです。


で、なぜ両党が勝利宣言を出したのかというと、こういう理由があるからです。

まず、カディマが出した理由は、第一党の地位を守ったから
イスラエルでは、ペレス大統領の意向により、首相を選出や組閣ができるのは第一党からといふうにしているため、連立工作に成功すれば、引き続き政権を担当できるからです。
ところが、穏健派とされる政党は、主だったところでは13議席に落ち込んだ労働党(中道左派政党)くらいで、仮に政権に組しないとされるその他諸政党を組み合わせても55議席しかないという事態になっています。そうなると、右派政党の切り崩しは必至で、そうなるとカディマが推し進めたい対パレスチナ政策に滞りが出る可能性があるのは言うまでもありません。
実は、カディマは、過半数を獲得するために我が家イスラエル(世俗的な極右政党)と連立を組んで振り回された苦い経験があるため、今回政権を組むためには、右派政党のセレクトに大きなウエイトがかかってくるものと思われます。

そしてリクードが勝利宣言した理由は、その過半数を握れたという点から
イスラエルには様々な右派政党があるわけですが、先述のリクードが27議席、我が家イスラエルが15議席となり、特に我が家イスラエルは結党以来初の第三党に躍り出ています。そしてシャス(極右宗教政党)が11議席で前回より議席数は落としたものの、安定した議席数を獲得しました。それ以外の右派系諸政党を組み合わせると計65議席となり、政権運営に支障のない過半数を獲得できたことになるわけです。
ただ、唯一の誤算だったのは、有権者の右派アレルギーがそれなりに残っていたことで、組閣のできる第一党になれなかったことでしょうか。

結局のところ、どちらも痛み分けの状況で硬直状態になっているのです。


そしてこれからどうなるかなんですが、カディマが強引に穏健右派政党を取り込んでいびつな連立体制を発足させるとも、リクードを中心とした右派政党連合が成立するとも、はたまた識者の間では、カディマ・リクードの大連立政権(挙国一致内閣)が発足するのではと考える人もいます。

一番ありえそうなのは右派連合政権なんでしょうけど、実は宗教極右政党のシャスと世俗派極右政党の我が家イスラエルとは深い対立があるとされ、これにリクードが嫌気を示せば、カディマとの大連立を模索するものと考えています
しかしながら、カディマ自身も右派のリクードから袂を分けた人と左派の労働党から袂を分けた人の寄せ集め(さしずめ日本の民主党にそっくり)なので、連立交渉が不調に終われば、リクードがカディマの旧リクード系議員の切り崩しという強攻策に出てくる可能性も考えられます


いずれにしても、消極的和平になるのか強硬策に転じるのか、全ては今後の連立交渉次第でしょう。




参考:2009年イスラエル総選挙 獲得議席数(2/12現在での開票率99%)
総議席数120(過半数61)

<中道および左派勢力>
・カディマ(中道) 28
・労働党(中道左派) 13
・メレツ(左派) 5

<右派勢力>
・リクード(中道右派) 27
・我が家イスラエル(世俗派極右) 15
・シャス(極右宗教政党) 11
・ユダヤ教連合(右派宗教政党) 5
・ユダヤの家(右派宗教政党) 3
・国家統一党(右派) 4

<その他>
・アラブ系3政党 計11





Posted by alexey_calvanov at 23:04│Comments(0)TrackBack(0) 真面目なモノ 

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