ロシアのインタファクス通信がロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィン氏の死去を発表。死因は心臓疾患とのこと。
エリツィン氏といえば、改革派の先鋒として非常に名を馳せた時期(その絶頂期はソ連の対保守派クーデター、いわゆる8月クーデター)と強行に政権を進めていった時期(その絶頂もやはり1994年10月の最高会議ビル立てこもり事件での戦車突入)、そしてロシアを急速に失墜させた時期が思い起こされる。
特にエリツィン氏は大の酒好き(ウォッカやウィスキーをよく呑んでいたことでも知られている)で、その酒好きがたたって心臓病が慢性化して一時は生命の危機に陥っていたという話もあった程だ(特に有名なのは、遊説中に元気さをアピールするために闊達なダンスを披露したのがたたって心臓発作を起こし病院に担がれたという話)。
彼の一生を見ていると、ソ連崩壊後からはいいイメージがない。しかしながら、彼がいなければソ連の崩壊は起こらなかっただろうし、その後の急速な経済変化も起こらなかったのかもしれない。
だからといって、このままソ連保守派のクーデターが成功していれば、急速に混沌とした情勢になり、その後独立していった旧ソ連共和国との血みどろの内戦になっていたかもしれない(そのことはロシア連邦内の共和国で起こっている内戦に象徴されるかもしれない)。その最悪の流れを阻止したことが彼の大きな功績だろう。
ロシア時代ではこれといった力を発揮できなかったが、冷戦の終結に奔走した主役の一人として、後々同じロシアのゴルバチョフ氏と共に語られるのかもしれない。
偉大な政治家の逝去に心からご冥福を祈りたい。