2007年01月22日

日本人にとって外国のマイナーな物事を殴り書く その3

お久しぶりのこのシリーズ、3回目は国家連合にも極右の芽が出てきた話についてです。


先日のヨーロッパ連合(以下EU)の国会にあたるヨーロッパ議会(以下EU議会)で、ヨーロッパ各国で次々に起こってきていた極右政党が遂に発足したのだ。

発足政党名は「アイデンティティー・伝統・主権(原語:Identity, Tradition, Sovereignty 略称:ITS)」。主にフランスの極右政党「国民戦線(以下FN)」が中心になって発足したもの。ルーマニア・ブルガリアが今年(2007年に)加盟したことで、政党としての活動規約となる「5加盟国・20議席」をギリギリクリアした。

構成国はフランス・イタリア・ベルギー・ルーマニア・ブルガリア

フランスは先述の通り、FNの議員が参加しており、ITS党首としてFN党員のゴルニッシュ氏、ITS党員としてFN党首のルペン氏(最近のフランス大統領選で決選投票にまで持ち込んで話題になった)が中心メンバー。

イタリアはファシストを結成したムッソリーニの孫娘(アレッサンドラ・ムッソリーニ)がITSに参加。

ベルギーはフラマン語族地域(フランドル、我々日本人にはフランダースと言うとわかりやすいか)の独立を掲げる極右政党「フラームス・ブロック(VB)」から3議席が参加。

ルーマニアに至っては5議席と、同国内で配分される35議席の14%強が極右勢力という異常事態にまでなっている。


EU議会は総議席数が785議席あり、EU内の保守・中道右派系が中心とした勢力とEU内の中道左派(社会民主主義派)が中心となった勢力とが2大勢力となっているため、議決等への直接的な影響はないとされているが、問題は、ITSが民族主義勢力や統合反対派との連合を模索し始めた場合である。

仮に民族主義勢力と統合反対派との連合が成立した場合、議席数は87となる。そうなるとEU議会で第4党となり、キャスティングボードを握る場合もある


現状はまだまだ弱小政党ではあるが、近年ではオーストリアで極右政党が第1党になり大きな話題になったことがある。また、かつての例ではあのナチスという例がある。

ナチスは実は最初、超弱小政党としてスタートしている。しかし、国内の危機的な状況に乗じてみるみるうちに躍進、1930年代には第1党になり一党独裁となっていく


EU各国はかつてのナチスが起こした民族主義・極右主義の出来事をもう一度思い起こすべきだと、極東の島国、かつて軍国主義に勤しんだ過ちを持つ国の住民のひとりがここに記す。




欧州議会の勢力図(Wikipediaより)
総議席数785(過半数393以上)


・「ヨーロッパ人民・民主党グループ」(EPP-ED) - 277 
・「ヨーロッパ社会主義グループ」(PES) - 218 
※「ヨーロッパ社会党」という時もある。
・「ヨーロッパ自由民主連盟」(ALDE) - 106
・「諸国民のヨーロッパ」(UEN) - 44(民族主義政党、統合反対派)
・「ヨーロッパ緑の党・ヨーロッパ自由同盟」(Greens-EFA) - 42
・「ヨーロッパ統一左翼」(GUE/NGL) - 41
・「独立・民主主義グループ」(IND/DEM) - 23(統合反対派)
・「アイデンティティー・伝統・主権」(原語:Identity, Tradition, Sovereignty 略称:ITS)- 20(極右政党)
・「無所属」 - 14


Posted by alexey_calvanov at 22:44│Comments(0)TrackBack(0) 真面目なモノ 

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