2011年06月21日

「参加することに意義がある」を履き違えてないか?

タレント・お笑い芸人の猫ひろしさんが、2012年に開催されるロンドンオリンピックに挑戦するのだそうな。


猫ひろしさんと言えば、やはりマラソン
TBS系列で放送されている「オールスター感謝祭」で驚異的な早さで注目を浴び、下手をしたら本家であるはずのお笑い芸人やタレントとしての活動よりも、マラソンランナーとしての経歴の方が注目を浴びてしまうのではないかというぐらいに有名になっています。ある意味「走る男」として有名になった森脇健児さんと同じくらい上手いアピール方法ではあると思うんですけど・・・。


ところで、ロンドンオリンピックに挑戦すると言えば、南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代さんがアマチュアボクシングのミドル級での挑戦が有名な話ですが、現在強化合宿に参加し、最終選考にまで残ろうと必死になっているとのこと。
そのロンドンオリンピックに挑戦する芸能人がもう一人増えたわけですが、既に日本代表は世界陸上を経て決まるはずなのでは・・・と思っていたわけですよ。

ところがどっこい、猫ひろしさんは思わぬルートで挑戦することになったそうな。何と外国籍を取得し、その国のマラソンランナーとして出場するとのことだそうな。


その国はカンボジア
ご存知の通り、カンボジアは世界遺産のアンコールワットが有名で、独立から1990年初めまでは内戦などで政情不安定な国家だったことも知られています(特に有名なのが、1975年に成立したポルポト政権時代と1979年以降に起こった第二次になるカンボジア内戦)。最近では国境線を巡ってタイときな臭い争いを起こしているのも話題になりました。

そのカンボジアで猫ひろしさんは同国で昨年12月に行われたハーフマラソン大会で3位、同じく今月行われたハーフマラソン大会で現役のオリンピック候補選手に次いで入賞(2位)するなど、カンボジア国内では『目覚ましい活躍』を見せ、同国のオリンピック委員会も高評価を挙げたほどでした。

じゃあ、今後猫さんはどうするのかというと、カンボジア国籍を取得した場合は、仕事があるので日本に定住。そのため日本での活動の際のためにビザを取得していくとのこと。なお、カンボジア国籍取得は本人だけで、奥さんと子供は日本国籍のままにするとのこと。そのため「国際結婚になって、子供はハーフですね」というジョークをかますほど。


しかし、待ってほしい。それでいいのだろうか。
確かにオリンピックに出たいという願望はよくわかる。でも、「参加することに意義がある」というクーベルタン男爵の言葉は、彼のために向けられた言葉ではないはずなのだ。


しばしば挙がる国籍問題。
近年では、ナショナリズムを高める(国に箔を付ける)ためにアフリカやヨーロッパの選手をカネで引っこ抜いて自国の選手として出場させるという事態が多く発生し問題になっています(特に有名なのは、カタールの長距離走選手であるシャヒーン選手やシャミ選手)。
今回のケースは単純に『出たい』という動機だけで動いているのだろうが、裏を返せば、『自国のレベルが高すぎて出られないから、出場できるハードルの低い国を選んで出場する』と取られてもおかしくない

「参加することに意義がある」の本当の意味は、国内の参加標準記録がオリンピックの定めた記録に届いていなくても、特別に参加させようというものだったはず。
過去の例を挙げていけば、赤道ギニアの水泳選手はシドニーオリンピックで100m自由形で参加しダントツの最下位だったにもかかわらず、一生懸命に溺れそうになりながらも100mを泳ぎ切った
確かこの事例はオリンピックではなかったと思ったが、エリトリアの女子陸上選手は、女子用のユニフォームがなく、男子用のユニフォームを借り、胸をはだけさせながらもゴールまで走り抜いた。それが私が思う本当の意味での「参加することに意義のある」選手ではなかろうか。


応援はしたい。しかし、これで本当に「参加することに意義のある」カンボジア国内の選手の出場権が奪われるのは腑に落ちないし、いい気分がしない
本当の意味で「参加することに意義のある」選手として必死になっているしずちゃんのほうが遥かに尊敬できる存在ではないかと私は思う。


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Posted by alexey_calvanov at 23:39│Comments(0)TrackBack(0) スポーツ | 真面目なモノ

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