昨年末から大規模な食品汚染事件として話題に上ることの多かった農薬混入事件。
この一連の事件は、マルハニチロの子会社であるアクリフーズの群馬工場で生産された冷凍食品から農薬(殺虫剤)の一種であるマラチオンが検出されたことで起こったもので、同社同工場で製造していたプライベートブランド商品も含む大規模な回収騒ぎになりました。このことは、アクリフーズ・マルハニチロが事態を軽視し後手後手の対応になってしまい2800人以上に上る食中毒患者が出たにもかかわらず、2008年に起こったJTフーズの商品で起こった毒入りギョーザ事件の時のように、意識不明といった重篤者や死者といった最悪のケースが出なかったことだけが唯一の救いでした。
さて、この農薬混入事件はなかなか捜査が進展しないのではないかと思われていましたが、製造記号から割り出された時間と従業員のスケジュールなどから分析して、やっと犯人を割り出し、遂に今日夕方犯人(49歳の男性)が埼玉県幸手市内で捕まったとのことだそうです。
犯人はピザ生地形成班だったとのことだそうで、他の製造ラインに行けるのかどうかの状況は全く不明(恐らく行けないのではないかと推測されている)です。この犯人は1/14以降欠勤だったので、家族からも捜索依頼が出ていたそうです。
ところで、この犯人だけが犯行に及んだのかという点がまだぬぐい去れません。
前述の通り、彼がピザ生地形成班だったので、他に移動できる機会があったかどうかが不明であること。ピザ生地以外にも揚げものなど様々な製造商品からも検出されていることから、自由に動ける立場の人間ではないかという推測がなされていました。もし自由に動ける立場の人間でなければ、複数の人物が関わっているというのがスジになってくるからです。
もう一つは、どうやって農薬を持ちこんだ・混入したのかという点。
結果的には犯人の作業着から検出されたのが決め手になったようですけれども、従業員は私物が持ち込めないようにポケットがないということだそうです。ただ、すり抜けられるケースもあるとのことなので、そのあたりの詳細を突き詰めないといけないと思います。また、不審な動きは監視カメラや他の従業員の目がありできないとも言われていました。この点でも前述の複数犯の可能性と併せきちんと調べてほしいものです。
犯人は覚えていないと事実上容疑を否認しています。この点も捜査を難航させるものになりかねません。
消費者である私達にとっては、詳細な事件の解明を含め、企業側・犯人共に真相を明かしてほしいというのがせめてもの願いです。既にアクリフーズは(事件の影響前から考慮されていたものと思われますが)マルハニチロに吸収されることが決まっています。この過程でうやむやにせずに、きちんとした説明・対策を行うことが今後マルハニチロの信用に関わってくると思います。