この緒戦で、ウクライナ兵が40人ほど犠牲になっている他、住宅など民間施設への『誤爆』も起こったようで、男児が亡くなったとの報道もあります。
恐れていたことが遂に起きたと述べておきましょう。アメリカの外交政策が失敗に終わったという見方もできなくはないですけど、それ以上にロシアのプーチン大統領が、したたかで知略家だっただけなのでしょう。用意周到に事を運んで、最大限の利益を得る算段を、もしかしたら8年前のクリミア併合から組んでいたのではないかと思えるほどです。ほぼ同時期に今回独立を認めたドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の範囲を抑え、そこにいる住民の中でロシアにシンパシーを持つ人達を際立たせる(ある意味『純化』)という作業をじっくりと行っていたのかもしれません。それが最近になって、質のいいワインのように、いい醸造となったので事を起こしたとも考えれば、すっきりします。
今後、日本を含めた欧米諸国は一致団結してロシアの行為を明確な侵略と位置付け、国際世論を味方に付けなければならないでしょう。かつ国連の安全保障理事会ではロシアと中国の拒否権で握り潰されると思うので、総会で非難決議を行うべきでしょう。そうなると中国にすり寄らなければならない国々をどう説得するかに掛かってきます。ロシアとの外交チャンネルは実質絶たれた(恐らく聞く耳を持っていない)と思われるので、中国にすり寄らなければならない国々(第三国)の説得にウエイトを置いた方が得策です。
そして、この間にやらなければならないのは、他に飛び火させないこと。
一番の懸念は、中国がこの事態を見て、台湾や香港に何かしらのアクションを起こさないか心配です。前者に対しては軍事侵攻も視野に入れた揺さぶり、後者に対しては一国二制度の撤廃(香港議会で『平和裏』に進められると思われる)し、中国国内の中に組み込んでしまうという動きです。中国が動けば、ドミノ式で北朝鮮も動く可能性があります。ロシアとも関係が深い国ではあるので、一気に東アジアが緊迫化する可能性もあります。決してウクライナは『対岸の火事』では済まされない可能性があり、思いたくは無いですが、第三次世界大戦の可能性も無きにしも非ずとなるかもしれません。
可能であれば、ロシアが苦戦して、ロシア国内で厭戦(えんせん)ムードに持って来られれば、早く終わらせることができるのでしょう。ただ、それはウクライナ軍だけでは無理で、欧米の軍隊による支援を仰ぐ格好となるかもしれません。

