そんな事態に手をこまねているばかりではなく、何とか現状を維持、脱却しようと立ち向かっているところもあるのです。今日の「NHKニュースおはよう日本」の中で、その取り組みが取り上げられていました。
愛媛県松山市にある松山三越。地上8階・地下1階で構成されているこの百貨店は、大規模な改修を施したのです。
これまでレストランのあった7・8階を高級ホテルに改装し、その下(5・6階)はエステやフィットネスを行える施設に改装したのです。さらに1階を地元の人間が立ち寄れるようなフードコートに改装し、地元料理も提供されることから、観光客も伺えそうな作りになっているようでもあります。なお、従来の売り場は、食料品売り場を除いて2~4階に集約され、規模も小さいものになっているとのこと。
本来なら、最上階にあるレストランで食事をした後、階下の売り場で買い物をするというシャワー効果を狙った作りにするのですが、先述の説明の通り、高級路線・体感路線・地元客の憩いの場に大きく割いて分割し、従来の売り場は1/3ほどにまで圧縮したのです。
ここまで思い切った策を練ったのは、中途半端な改装を止め、徹底的な改装を行わなければいけないと悟ったため。客導線の分析を徹底して行った結果、その結論に至ったのだそうです。1階と立体駐車場にある7階のカメラで服装と持ち物を分析したところ、下の階から入るのは主に地元の人間で、上の階から入るのは主に富裕層という結果が出たからです。
リニューアルオープンから1ヶ月ほど経った現在、来場客数は2倍以上になっているとのこと。この試みは、三越伊勢丹グループも注視しており、この松山三越の政策が成功したら、続々と他の地方でも試されるのではないのかなと思います。
地域ニーズに合わせた百貨店作りというのは、生き残りのために必須だと思います。それでも上手くいかない場合もあるので、ある種劇薬ではあるものの、何もやらずに、はいおしまい・・・というのもあまりに切なすぎます。高級路線を維持しながら、庶民路線に立てるか。さらにニーズを上手く見抜ける目があるかが今後の生き残りの課題になるのかもしれません。

