2015年06月17日

ジンバブエドルってまだあったんだ

その昔、世界史の授業で習った人は多いと思いますが、第1次世界大戦後のドイツで、急激なインフレが起こったことで、当時の通貨だったレンテンマルクが急激にはね上がり、遂には1兆にまでなったレンテンマルクをデノミネーション(デノミ。通貨切り下げ)しなければならなくなった・・・なんてことを習ったことでしょう。その時の写真で、旧レンテンマルクを積み木遊びの材料にしたり、紙くず同然になってしまった100億レンテンマルク紙幣なんてのが掲載されていて、ああこんなことが起こらなくてよかったな・・・と思った人もいらっしゃるかもしれません。
その後、日本でも戦後すぐにハイパーインフレに巻き込まれたこともありますし、1980年代には主に南米諸国でハイパーインフレが起こり、旧レンテンマルクと同じような事態が起こっています。

そして、2000年代にハイパーインフレに巻き込まれたのが、アフリカ南部にあるジンバブエ1980年にイギリスから独立して以降、ムガベ大統領(独立当時は首相)の長期独裁政権が続いており、民主的な国家とは程遠いと揶揄されることもあります。


そんなハイパーインフレが起こったジンバブエは、元々農業国で非常に豊かな国でした。イギリスが持ち込んだ農業システムが上手く機能していたからです。ムガベ大統領も当初はこのシステムを維持していたものの、2000年代に白人が支配人になっている土地を接収し黒人達に分け与えたあたりから徐々にシステムが維持できなくなり、最終的には崩壊することとなりました。
当然ながら経済システムにも大きな影響を与える結果になり、経済も崩壊。遂にはジンバブエドルが急激にインフレを起こすこととなったのです。
インフレ真っ盛りの頃には、100兆ジンバブエドルというレンテンマルクも真っ青な紙幣が登場し、買い物をするにも札束が舞う事態になってしまいました。


もうにっちもさっちもいかなくなったジンバブエ政府は奇策に打って出ます。何とジンバブエドルの流通を停止し、アメリカドルと南アフリカの通貨ランドなど9種類のみを流通させるとしたのです。それにより、インフレに関しては現在非常に落ち着いたものになっているそうです。
確か、ジンバブエドルの流通停止は2009年頃だったと思うのですが、その時に廃止にしていなかったのね(苦笑)。それゆえに、今回廃止するという事態に至ったのは、私個人の意見としては「遅ぇーよ」という感じです。


ちなみに、流通停止後もアメリカドルとの交換は行われていたようで、1アメリカドル=3京5000兆ジンバブエドルという、やはりハイパーインフレは止まってなかったのかと思ってしまうほどの呆れた為替レートを叩き出していました。


このジンバブエドルは9月までに回収するということもあり、アマゾンやヤフオクなどで100兆ジンバブエドルが複数登場価格もハイパーインフレ状態(笑)。まさか最後の最後までインフレに悩ませることになろうとは・・・。
まぁ、現地でも紙くず同然なのをいいことにアートの材料にしてしまってるとのことだし、いずれ落ち付くに違いない。

ただ、アメリカドルや南アフリカランドをそのままにしておく策は大丈夫なの?という人もいらっしゃるかもしれません。この状態になると、独自の経済政策は打てなくなるのですが、国家経済を安定させることのできるメリットはあるとのこと。アメリカや南アフリカの国家情勢だけを心配すればいいので、その間に国の経済を立て直せばいいのですから、気楽なものです。実際、一部の国では独自通貨を設けないか並立させる形で、規模の大きい国の通貨に依存するスタイルを採っています。


そういえば、この事態になってから小銭が足りないというふうになって、お釣りが飴玉になっているなんてテレビでやってましたけど、アメリカドルがメインになると、飴玉が飛び交う事態になってしまわないか心配ですわ(苦笑)。


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Posted by alexey_calvanov at 23:39Comments(0)TrackBack(0)