2016年11月26日

さらばフィデル

キューバの元国家評議会議長だったフィデル・カストロ氏が亡くなったそうです。90歳の大往生。今のキューバは彼無しでは語れないでしょう。


フィデル・カストロ元議長はキューバで生まれ育ち、弁護士として活動していました。しかし、当時のキューバは貧富の差の激しい国でもありました。
若くして弱者の救済に明け暮れ、理想の国家造りを目指していたフィデル・カストロ元議長は、政治家になろうとしたものの、軍人上がりの政治家でクーデターを起こしたバティスタ元大統領に政権が移行したことで、選挙が無効になったため、武装蜂起を起こしますが、捕まってしまいます最終的には恩赦で釈放されるものの、国を追われる格好になり、メキシコに亡命しました。その時に出会ったのが、チェ・ゲバラ氏だったのです。

ゲバラと共に再び革命を起こすことを決めたフィデル・カストロ元議長は、キューバ南東部から武装蜂起を起こし、国中に浸透。最終的にバティスタ政権を倒し、キューバ革命を成し遂げました

その後も類稀なるカリスマ性を発揮し、社会主義化を目指しますソ連との関係を重視し、アメリカと断交し、キューバ危機に陥っても、バランス感覚のある外交で乗り切るばかりか、キューバのインフラや民族間の隔たりも整備し、安定した国にしたのです。

ソ連崩壊後はアメリカからの厳しい経済制裁がボディーブローのように効いていたものの、国が崩壊することもなく、亡命者が増えてもむしろ支持者の結束力は強まったとも言えます。

しかし、身体的な衰えが目立ったため、2008年に政権を弟のラウル・カストロ議長に譲ることになります(実際は2006年から暫定的という形で政権移行が進んでいた)。政権移行後もカリスマ性は衰えず、国営テレビや党機関紙などで動向が伝えられることもあり、影響力は大きく残っていました。
そして、今日国営テレビでラウル・カストロ議長を通じて死去が伝えられたのです。もっとも、2016年4月にフィデル・カストロ元議長は地震の最期を悟ったかのような発言をしていますから、覚悟はできていたものと思われます。

ちなみに、日本の安倍晋三首相との会談(2016年9月)が、公式の最後の外国首脳との会見になりました。


イデオロギーは違えど、信念を曲げず、最後まで清貧を貫いた類稀なる政治家だったと思います。社会主義国ながら、他の社会主義国に見られた自身の肖像画や銅像を建てるのを嫌がったと言います。彼の決して偉ぶらなかった点は、他の政治家も見習うべきところでしょう。
そして、キューバを平等に均(なら)しただけでなく、医療などでは惜しみなく他の発展途上国に援助を行っています軍事面での援助(いわゆる革命の輸出)ばかりが目立つのですが、ソフト面でも大きな貢献をしています。


今後のキューバがラウル・カストロ議長で回るのかどうか、世界が注目することでしょう。アメリカ大統領がキューバに対しても厳しい人と思われるドナルド・トランプ氏になったため、特にアメリカとの友好ムードに水が差されないか心配です。今はアメリカ無くしてキューバも動かないと思っているので、なおのことです。


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Posted by alexey_calvanov at 22:47Comments(0)TrackBack(0)