2017年12月22日

カストロからの変化

キューバが大きく変わるかもしれません。


キューバの事実上の国家元首であるラウル・カストロ国家評議会議長が来年4月で退任することが明らかになりました。本来は来年2月に任期が切れ、そこで退任という予定でしたけど、9月に行われる予定だった人民権力全国会議(国会)がハリケーン襲来により遅延し、2ヶ月任期が延びたためでもあります。


ご存じのように、キューバは1959年にキューバ革命によって故フィデル・カストロ元国家評議会議長が実権を握りました(革命達成当初は首相)フィデル・カストロ元国家評議会議長は、健康問題を理由に2008年に弟であるラウル・カストロ国家評議会議長に譲渡するまで実に半世紀近く実権を握っていました。10年経過し、ラウル・カストロ国家評議会議長も86歳兄も82歳で政権を譲渡したことを考えると、そろそろだったのかもしれません。
ラウル・カストロ国家評議会議長は国家評議会議長への再任は望まないものの、2021年まで任期のあるキューバ共産党の第一書記は留まるとのことだそうです。しかし、いずれにしても約60年続いたカストロ一家の時代が終わり、キューバは大きく変わる時期に差し掛かることになるかもしれません。


後任は、57歳の第一副議長日本から見ると無名の人物が就任することになります。当然政治手腕は未知数ですが、ラウル・カストロ国家評議会議長に見出されたのですから、きっとキューバを導けると判断したのでしょう。


来年、キューバは大きなターニングポイントに差し掛かることになりました。アメリカとの関係はどうなるのか、キューバ国内の情勢に大きな変化が訪れるのか、もし大きな変化が来た場合、今のキューバ共産党による独裁政権はどうなるのか、もしかするとラテンアメリカを含めた西半球に大きな変化をもたらすことになるのかもしれません


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Posted by alexey_calvanov at 23:20Comments(0)

2016年11月26日

さらばフィデル

キューバの元国家評議会議長だったフィデル・カストロ氏が亡くなったそうです。90歳の大往生。今のキューバは彼無しでは語れないでしょう。


フィデル・カストロ元議長はキューバで生まれ育ち、弁護士として活動していました。しかし、当時のキューバは貧富の差の激しい国でもありました。
若くして弱者の救済に明け暮れ、理想の国家造りを目指していたフィデル・カストロ元議長は、政治家になろうとしたものの、軍人上がりの政治家でクーデターを起こしたバティスタ元大統領に政権が移行したことで、選挙が無効になったため、武装蜂起を起こしますが、捕まってしまいます最終的には恩赦で釈放されるものの、国を追われる格好になり、メキシコに亡命しました。その時に出会ったのが、チェ・ゲバラ氏だったのです。

ゲバラと共に再び革命を起こすことを決めたフィデル・カストロ元議長は、キューバ南東部から武装蜂起を起こし、国中に浸透。最終的にバティスタ政権を倒し、キューバ革命を成し遂げました

その後も類稀なるカリスマ性を発揮し、社会主義化を目指しますソ連との関係を重視し、アメリカと断交し、キューバ危機に陥っても、バランス感覚のある外交で乗り切るばかりか、キューバのインフラや民族間の隔たりも整備し、安定した国にしたのです。

ソ連崩壊後はアメリカからの厳しい経済制裁がボディーブローのように効いていたものの、国が崩壊することもなく、亡命者が増えてもむしろ支持者の結束力は強まったとも言えます。

しかし、身体的な衰えが目立ったため、2008年に政権を弟のラウル・カストロ議長に譲ることになります(実際は2006年から暫定的という形で政権移行が進んでいた)。政権移行後もカリスマ性は衰えず、国営テレビや党機関紙などで動向が伝えられることもあり、影響力は大きく残っていました。
そして、今日国営テレビでラウル・カストロ議長を通じて死去が伝えられたのです。もっとも、2016年4月にフィデル・カストロ元議長は地震の最期を悟ったかのような発言をしていますから、覚悟はできていたものと思われます。

ちなみに、日本の安倍晋三首相との会談(2016年9月)が、公式の最後の外国首脳との会見になりました。


イデオロギーは違えど、信念を曲げず、最後まで清貧を貫いた類稀なる政治家だったと思います。社会主義国ながら、他の社会主義国に見られた自身の肖像画や銅像を建てるのを嫌がったと言います。彼の決して偉ぶらなかった点は、他の政治家も見習うべきところでしょう。
そして、キューバを平等に均(なら)しただけでなく、医療などでは惜しみなく他の発展途上国に援助を行っています軍事面での援助(いわゆる革命の輸出)ばかりが目立つのですが、ソフト面でも大きな貢献をしています。


今後のキューバがラウル・カストロ議長で回るのかどうか、世界が注目することでしょう。アメリカ大統領がキューバに対しても厳しい人と思われるドナルド・トランプ氏になったため、特にアメリカとの友好ムードに水が差されないか心配です。今はアメリカ無くしてキューバも動かないと思っているので、なおのことです。


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2014年12月18日

歴史的大転換

アメリカ・フロリダ半島から145kmほどにある島国キューバ。アメリカには非常に近いにもかかわらず、その歴史的経緯から非常に遠い国になっていました。


キューバは元々スペインが支配していたのですが、1898年の米西戦争で独立を果たしたものの、独立後はアメリカの保護国下に置かれ、1952年からはバティスタという軍人上がりの政治家による独裁政権(過去1940年から1944年まで大統領に就任していた)が続きました。アメリカの保護下に置かれていたこともあり反共政策を実施したため、社会主義革命を目指していたフィデル・カストロなどの活動家を弾圧していきました。
しかし、弾圧されたフィデル・カストロを中心として1959年にキューバ革命が起こると、バティスタ政権は崩壊。彼を中心とする社会主義政権が発足しました。当初はアメリカとの友好関係を維持しようとしたものの、ソ連寄りとの烙印を押され、反共勢力によるピッグス湾事件をきっかけに1961年断交することとなり、その緊張感は1962年のキューバ危機(キューバに核ミサイルが持ち込まれる可能性のあった事件で、状況次第では第3次世界大戦・核戦争になりかねない一触即発の危機でもあった)でマックスとなります。

アメリカはフィデル・カストロが政権を取って以降、経済制裁を実施。外部から揺さぶりを掛けたものの、ソ連・中国の援助により政権は盤石のまま迎えます。ところが、1991年にソ連が崩壊すると一気に経済制裁の効果が現れ、映像で見た人も多いかと思いますが、クラシックなアメリカ車が疾走する何とも言えない光景が見られるほど困窮状態に陥りました。それでもラテン気質なのか、キューバ政府のアメリカドル所持や私有財産の認可といった平等政策にひびの入る『劇薬』を施行したこともあってか、政権崩壊には至っていないふうで、2008年にフィデル・カストロは弟のラウル・カストロに政権を『禅譲』した現在でも健在となっています。

そして、12/18にオバマ大統領が長年続けていたキューバへの経済制裁を『時代遅れの政策』と称し、解除を決定。同時に国交正常化を図るべく交渉に入っていることを明らかにしました。既にキューバとは今年の6月からカナダなどで高官レベルでの交渉に入っていたとのこと。
これにより、キューバには国交回復だけでなく人的交流の推進・資金の自由な流入などプラス面が多くなり、困窮状態から脱出するものと考えられます。同時に政権の軟化も考えられます。


正直、ムダな制裁だったと思えてならなかったですね。結果的にはメリットもそうは無かったわけですし、北朝鮮とは違い国際社会に悪影響を与えていた国(特に1990年代以降)ではなかったので、日本人から見た場合、同情的な目でキューバを見ていたのではないかと思いますね。しかもキューバは逆に社会主義でそれなりの成功を収めていると思えるので、むしろ下手な不均等を巻き起こすより、軟着陸をさせて段階的に民主化を図った方が双方のためになるんじゃないかと思えたほどです。


しかし、今回の決定はきちんと通るのかが問題です。
今回の決定はレームダック(死に体)化したオバマ大統領が打ち出したレガシー作りの一環なのではと思っています。経済制裁解除に過半数の賛成があるとはいえ、自身の保身のためのように写らなくもないです。
そして政権与党になっている共和党の対応反キューバ政権を採っている共和党が上下両院を握っている中、今回の決定を軸にした法案を通せるかどうかで今後が決まるとも言え、オバマ政権にとってはまだまだ修羅場が続くというふうです。しかし、国際社会のほとんどがこの考えを歓迎すると見られ、国際世論の味方を材料にして今回の考えを押し通すしかないでしょうね。


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Posted by alexey_calvanov at 23:58Comments(0)TrackBack(0)

2014年08月24日

キューバ選手は急場しのぎ?

今シーズンから、プロ野球にキューバ選手が本格的に解禁されました。
過去にもキューバ選手がやって来ることはありましたけれども、過去の中日に在籍していたリナレスのように、ピークを過ぎた時期での来日だったり、キューバ政府の厳しい統制のために、亡命して大リーグなどを経由して入団するというケースが多かったです。


その解禁された今シーズンは巨人・DeNA・ロッテで4選手が入団しています。しかし、この選手が同じ球団にいられるのかどうかは、今シーズン終了後に掛かっているようなのです。
実は、契約権限は選手個人にあるのではなく、キューバ政府(スポーツ庁)にあるようで、契約を更新する時も政府の意向によって行われる入札制なのだそうで(新規獲得時も似たような感じになるらしい)。というのも、キューバ選手は国家公務員という扱いになっているからだそうです。
新規入団時には、球団が欲しいポジションや選手のタイプを要望として伝え、政府が出したリストから選ぶかキューバ国内で行われるトライアウトを経て選手を獲得するのだそうな。
で、契約更新時には、球団の意向よりも契約金を1円でも高く出した球団に派遣するというふうになるそうです。まるでキューバ政府が派遣会社の長みたいなふうですな。

ここまでカネにうるさい体勢なのはただ一つ。キューバ政府にカネが無いからです。
ご存知の通り、キューバはアメリカの経済制裁下に置かれています。旧ソ連が崩壊した後は厳しい経済状況の下に置かれていました。首都のハバナのワンシーンでクラシックカーが走る姿を見た人も多いのではないのでしょうか。よくも悪くも非常に貧しい状況なのです。今は開放政策で何とか持ちこたえているふうですね。
その開放政策の一環でプロ野球への派遣を行っているのです。プロ契約時には国庫に20%納めるという事情ゆえに、カネには結構シビアなわけですね。


果たして、来年は今年入団した選手が同じユニフォームで登場するのか、まだ来年の話をするのは早いのですが、そう思ってしまいましたよ。


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)

2013年07月18日

砂糖の中にあったのに、甘くならなかった

正直キューバという国がわからなくなってきました。


先日、パナマ運河を通過中のキューバ発北朝鮮行きの北朝鮮船籍から、ミグ21(旧ソ連の戦闘機)や地対空ミサイルシステムなどの部品が出てきたとのこと。その出てきたところがすごく、満載の砂糖の袋の底、まるで隠すかのようにコンテナの中に入っていたのだそうな。
実際に、NHKの番組「NEWS WEB」でその映像を見たのですが、砂糖の中にあったコンテナ、ちょっと凹んでたな。あまりの重みでなったのか、耐久性に難があったのか、元々そういうふうになっていたのかわからんのですけど、重要ならそんなもろそうなものに入れなくても・・・


で、今回見つかったものは、キューバ政府(外務省)に言わせると、「旧世紀の兵器」だそうで、「国家主権を守る(注:社会主義国であるキューバにとって、国家主権を守るために戦う相手はアメリカになる)ために、防衛能力を保つ必要がある」ということで、北朝鮮にわざわざ持って行って修繕をしてもらうんだということだそうで、やましいこと(つまり北朝鮮への武器供与をすること)はないと主張しています。
それにしても、砂糖満載の船に隠すかのように入れてたりとか、船長が自殺しようとしていたとか腑に落ちないなぁ・・・。それに国連から北朝鮮への武器禁輸措置があるからなおさらです。


ところで、キューバという国は、言論統制等はあっても、社会主義の中ではそれなりによかった国とされています。ソ連の崩壊で窮してはいるものの、北朝鮮のように締めつけもない、むしろラテンの人達(楽天的な正確な人達)の国ということもあってか、(格差が広がっているとは言われながらも)大きな不満は漏れてきません。それに、どちらかというと中南米諸国とも友好的、日本との間柄も(アメリカべったりとも揶揄される中でも、意外なことに)悪くはない。それゆえに、今回の一件はキューバにとって大きなマイナスポイントになるのではないのかなと思っています。

今後の回答次第では、北朝鮮はもちろん(これは当然の成り行きだから結構なこと)、とばっちりを受ける形でキューバの締め付けもさらに厳しくなると思います。これ以上国としての形態が保てなくなる前に、なぜこういった経緯になったのかをきちんと説明すべきだと思います。それがキューバの人達のためになると信じております。


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Posted by alexey_calvanov at 23:13Comments(0)TrackBack(0)