サッカーには、期限付き移籍ないしは育成型期限付き移籍というシステムがあります。選手にとっては出場機会を増やしながらも、相手チームには期限付きにすることで、懐を傷めないようにしているのです。その代わり、期限が来たら返却するのが原則となっております。ただし、双方(提供元のチームと相手チーム)が同意した場合は、翌年も期限付きというふうになったり、完全移籍という形で仲間入りすることもできるのです。
そんな期限付き移籍を果たした選手が、急遽提供元のチームに戻ることがありました。数ヶ月とかは、ままあるパターンですけど、15日は今まで聞いたことが無かった。しかも1試合その間に出てるんだよね・・・。移籍を受け入れたチームにはたまったもんじゃないのですけど、これをできるのは、ちゃんとした理由があるんです。
J3に所属する福島ユナイテッドFCからアマチュア(同じアマチュアリーグのJFLの更に下にある地域リーグ)の関東リーグ1部の東京ユナイテッドFCに育成型期限付き移籍した上川琢選手。彼は、ゴールキーパーとして入団したのですが、福島では1試合も出場できないまま、自身の成長のために期限付き移籍を決めたようです。
東京ユナイテッドFCに入団後、早速キーパーとして出場を果たした上川選手。このまま、リーグの残り試合をスタメンで出場し、経験を積むのとチームのJFL昇格に挑むのかな・・・と思っていた矢先、突如福島から呼び戻しを食らったのです。本人も「突然のことで、動揺している」とコメントしているので、寝耳に水だったようです。
何でこの事態になったのかというと、福島側でゴールキーパーが相次いで負傷し、リザーブメンバーが足りなくなったから。最終手段としてゴールキーパーコーチやゴールキーパーの経験のあるスタッフが急遽選手登録して挑むということもできたのでしょうけど、上川選手が出場した試合を見た福島の関係者がスーパーセーブを連発する彼を見て使えると判断したのでしょう。急遽呼び戻すことにしたようです。
実は、期限付き移籍・育成型期限付き移籍には、もう一つ条件があって、今回のように提供元の球団が戻ってほしいと言えば、相手チームは有無を言わずに返却しないといけないのです。それがシーズン終了時とか半年くらいとかは、たまにあります。数ヶ月・1ヶ月というのもままあります。しかし、今回のように2週間ちょっとで帰って来いという事態は、聞いたことがありません。ゴールキーパーという特殊なポジションというのもあるのでしょうけど、全ての人が困るわなぁ・・・。
もっとも、他のゴールキーパーがケガから復帰したら、上川選手はどうするんだろうね。先述のコーチやスタッフが選手登録だった場合は、抹消して終わりですけど、選手を呼び戻した場合は、また期限付き移籍させるのでしょうかねぇ・・・。同じクラブに戻ったとしたら、どのツラ下げて・・・とかならないかのぉ。ましてや同じリーグのライバルチームだった時には目も当てられない(苦笑)。
・・・それだったら、仮パク(期限付き移籍の選手が完全移籍すること)の方が、精神的ダメージは少ない(と思う(ニヤニヤ))。