2022年にジャパネットたかたが始めた衛星放送事業が、BSJapanextというテレビ局。元々ジャパネットたかたは衛星放送には積極的で、自前の衛星放送チャンネルを持っていたほどです。ご存じ「ジャパネットたかたテレビショッピング」を自前の衛星放送チャンネルで流し、それを各ケーブルテレビ局に卸すという流れを採っていました。他にはショップチャンネルやQVCもありますが、実はショップチャンネルが初めて行った事業でもあるのは、日本ではあまり知られていません(ショップチャンネルはアメリカのジュピターショップチャンネルと住友商事の合弁会社、QVCはアメリカの通販会社)。
しかし、自前の放送局を持つというふうになったのは、ジャパネットたかたが初めてで、地上波・衛星テレビがインターネット配信に押され気味の中、画期的な挑戦とも言われました。ちなみに、BS12ことTwellV(トゥエルビ)はQVCのサイマル放送を受け持っていますが、QVCが運営しているというふうではありません。
BS松竹東急・BSよしもとと共に2022年に放送を開始したものの、2008年に放送を始めたBS11(日本BS放送)・BS12よりも厳しいものとなりました。
まずは、BSチャンネルがテレビリモコンに収まる場所ではなく、BSボタンなどを押して放送切り替えを行わないといけない点が挙げられます。放送切り替えを行う局の例としては、放送大学・アニマックス・J SPORTS・ディズニーチャンネルが挙げられますけど、あの中に放り込まれてしまうのです。しかし、放り込まれても映るならマシ。視聴世帯の中には、直接BSを受信せずにケーブルテレビを介して受信しているところもあります。そのケーブルテレビ局の中には、BS松竹東急・BSよしもとと共に契約をしていないケースもあるのです。主な理由は帯域不足というふうなんでしょうけど、J:COMのように大手が契約をしていないケースもあるので、これは先述の3局にとっては痛いでしょうね。ちなみに、名古屋市をメインにしているケーブルテレビ局のスターキャットも契約していないようです。
そんなこともあり、BSJapanextは専用アプリを作って、スマートフォンを介しての視聴を試みたのですけど、なかなか視聴者数が伸びなかったんでしょうね。そうなると、今までのようにライバル局に番組販売をすることで収益を繋げるという皮肉なスタンスを維持どころか強化することとなってしまいました。
そして、BSJapanextは最終手段とも言える策を打ち出します。衛星テレビ局の一つで、映画専門で放送していたスターチャンネル(有料放送)を買収し、BSJapanextに吸収してしまったのです。これに伴い、それまで263chで放送していたBSJapanextを10chのメインに変更し、放送局名をBS10に変更することも発表しています。スターチャンネルに関しては、これまでどおり有料放送となりますが、BS10のサブチャンネル扱いになるそうです。専門チャンネルがサブとなる異例の事態になるわけですね。もちろん無料放送と有料放送のハイブリットも史上初です。
これによって、今まで見たくても見られなかった視聴者層の掘り起こしができる反面、スターチャンネルのクオリティが落ちないか心配にはなります。サブチャンネル扱いになるので、映像クオリティが落ちる可能性があり、それをウリにしている映画にとっては死活問題になるんじゃないかとも。ましてや有料放送なので、クオリティが落ちれば、それだけ契約者数の減少にも繋がり、視聴者数の増加と比例する形で有料放送の契約者数が減るという矛盾や問題を突き付けられないかとも思えてなりません。
現状ジャパネットたかたの事業が好調なので、これから噴き出してくるであろう問題は見えなくなっていますけど、今後実績悪化が見られるようになると、それらの問題や機器の更新の問題など様々な局面の打開のために東奔西走させられるのではないか、それが事業の危機に陥らないか、通販会社としてはチャレンジブルで共感を持てる部分があるだけに心配です。