ストライキ(労働争議)は日本国憲法でも認められた立派な権利ですけど、公務員に関しては当初認められていたものの、冷戦が進むに従って、共産主義浸透の脅威から、GHQが一転して禁止しており、実質民間企業のみになっています。
一昔前は、労使交渉がこじれてストライキに発展することは、しょっちゅうあり、大手企業でも半ば当たり前にありました。公営企業だった国鉄(現在のJRグループ)でも深刻なストライキが行われて、乗客に大きな影響を与えたこともあります。
しかし、次第に労使交渉で労働者の要求がまとまることが多くなり、去年や一昨年あたりから満額回答が多くなった気がします。
そんな中で、そごう・西武では西武百貨店池袋本店を舞台に大規模なストライキに発展する可能性が出てきました。百貨店に限って言えば、実に60年ぶりのストライキになるということなので、その意味の大きさがわかります。
なぜこうなったのかというと、そごう・西武と親会社になるセブン&アイホールディングスとの関係が最たる要因になります。
2022年11月にセブン&アイホールディングスがアメリカの投資ファンドにそごう・西武の売却を決定しました。その際、西武池袋本店下層テナントにヨドバシカメラの入店を決めていました。しかし、池袋のイメージが悪くなると豊島区とそごう・西武の労働組合が反発し、一時譲渡時期が未定になってしまったのです(最終的には今年9月初めに譲渡予定としている)。
さらに、投資ファンドに移ることによって、百貨店事業の継続と雇用維持が図られるのかも争点になりました。百貨店事業の継続と雇用維持を要求したそごう・西武の労働組合は、権利確立のため、これまで無かったストライキ権の確立を決定し、セブン&アイホールディングスとの対決姿勢を鮮明にして今に至ったのです。
セブン&アイホールディングスとしては、コンビニ事業に集中したいというのも、わからなくはないです。百貨店事業もイトーヨーカドーのようなスーパー事業は、なかなか儲けを見出せなくなっていますからね。ただ、地域インフラの側面もあるので、スーパー事業は残してもいいと思うんですよね。地域に欠かせないところもあるし・・・。
そごう・西武側の主張もわかります。自分達の仕事場が無くなれば死活問題でしょう。ただ、それならヨドバシカメラの入居は認めるべきではないかと。
名古屋でも松坂屋でヨドバシカメラが入居しましたけど、地域イメージが落ちたとは全く思って無いですし、人によっては結構便利になったと思っているでしょう。外国人観光客のインバウンド需要も見込めるようになるので、百貨店側としても、相乗効果の狙えるいいコンテンツになるのではとも思っています。
早くても8/31にストライキが行われ、休業の可能性もあります。このストライキが支持されるか否かで、日本のストライキの行く末も決まるのではないかとも個人的には思っており、非常に気になるところです。