『しぐれ』というのは『時雨』と書き、この名前の語源は、この時雨のよう短時間で煮込まれて作られた料理だからという説もある。また色々な風味が口の中を過ぎ去るというふうからこの名が付いたという説もある。
このしぐれ煮、今日では牛肉をしょうがで煮込んだものをしぐれ煮と呼ぶことが多い。しかし東海3県では、アサリをしょうがで煮込んだものをしぐれ煮と呼ぶのが一般的なのだ。

どうしてこうなった・・・と言われても、推測でしか物事を語れないのだが、東海3県でアサリが一般的になったのは、しぐれ煮の名前のルーツになったハマグリの獲れる三重県桑名市と関係があるのではないかと思われる。
元々しぐれ煮というのは、桑名名産の「時雨蛤」の名から名付けられたからだ。そのため同じ貝類であるアサリから・・・というのも納得できる。それにハマグリは高級食材なため、一般的なアサリを使用したというふうになるのもわかる。
ちなみに、牛肉のしぐれ煮は三重県松阪市ではお土産で買うこともできる。三重県には語源となったハマグリと一般的になった牛肉のものとが両方頂ける稀有な地域なのだ。来年はサミットが三重県志摩市で開催されるので、三重県による人が増えるものと考えられる。お土産に困った際に、両方のしぐれ煮を買って楽しむのもまた一興だろう。

