2018年06月14日

『北』と付ければ、万事解決?

そんな簡単に行くのかと思うのだが・・・。


ヨーロッパ・旧ユーゴスラビア(以下旧ユーゴ)の構成国の一つ、マケドニア共和国の国名問題で、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国とギリシャはマケドニアの名称を「北マケドニア共和国」にすることで双方合意したと発表しました。


マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国(これが暫定的ながらも国際的な正式名称)は、1991年に独立し、国内にアルバニア人問題があったにもかかわらず、紛争などの武力衝突が起こらず、旧ユーゴの構成国の中では極めて安定した国家運営がなされていました

ところが、国名と国旗がネックになり、特にギリシャが猛反発したのです。
というのも、マケドニアという地域は現在のマケドニア・旧ユーゴスラビア共和国だけでなく、ギリシャの北部にあり、同国にも接しているマケドニア地方(中心地はテッサロニキ)も含まれるからです。そのため、アレクサンダー(アレクサンドロス)大王の子孫は俺達だとマケドニア地方のギリシャ人は反発しているわけです。彼らにとっては、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国に住んでいる人達は、後に移住したスラブ系の民族でしかないという解釈なのです。ゆえに、『スラボマケドニア(スラブ人のマケドニア)』という呼び方をしているとも呼び方をすればいいとも言われています。
ちなみに、国旗に関しては一足先に解決しており、赤地に16本の光を放つ黄色の太陽を指す「ヴェルギナの星」(元々古代マケドニア王国の象徴)を独立当初から掲げていたものの、ギリシャの猛反発と経済封鎖に至ったため、妥協策として、国家に歌われている「新しい自由の太陽」を表したものに切り替えています


今回の国名変更により、ギリシャが懸念していた国旗と憲法(「マケドニア共和国政府は周辺国に住むマケドニア人の権利にも関心を持つ」という文言があり、削除を求めていた)の改定が既に行なわれているので、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国がヨーロッパの一員(EUやNATOなどの加盟)に加わる障壁が無くなったとも取れます。


今後、双方の首相が合意した文言を盛り込んだ新しい憲法をマケドニア・旧ユーゴスラビア共和国の国民投票によって賛成多数を得て、双方の国の議会が承認すれば、晴れて成立となるのですけれども、既にマケドニア・旧ユーゴスラビア共和国の大統領が成立しても署名を拒否すると述べているなど不穏な空気が漂い始めています。双方の民族主義者の説得も難しいことでしょう。ただ、経済的に苦しい双方にとって、経済活性化という面では両国の国交回復も兼ねる国名変更はプラスになると思います。特にマケドニア・旧ユーゴスラビア共和国にとっては、先述の通り、ヨーロッパの一員になることで、大きな経済的活路を見いだせるとも考えられます。既に「腐っても鯛」な状態でも、彼らにとってはオイシイのです。


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Posted by alexey_calvanov at 22:48Comments(0)