2021年06月14日

28年前の日本の政治のようだ

イスラエルの政権が交代となりました。
これまでリクードの党首であるネタニヤフ氏による政権が12年にわたって担ってきましたけれども、ここ数年は総選挙を行いながらも政権を組むことができず、ネタニヤフ氏が暫定でやっと回してきた格好になっていました。
しかし今年に入り、『反ネタニヤフ』で動いた中道政党イェシュ・アティッドが中心になって連立政権を模索。その結果、左派・中道・右派だけでなくアラブ人の政党も加わった大連立政権が樹立されました。これに伴い、ネタニヤフ氏は退陣に追い込まれ、リクードも下野する格好になりました。


この体制、どこかで聞いたことがあると思ったのです。そう、今から28年前に成立した細川護熙(もりひろ)政権の時です。
この時の日本は、55年体制と呼ばれる時代になっており、自由民主党が30年以上政権を担ってきましたこの中で汚職などの腐敗が進み、政権交代が声高に叫ばれていました。実際、その前に行われた参議院議員選挙では野党が躍進しています。
細川政権は1993年の衆議院議員選挙以降に生まれた新党を中心に、非自民で結束した8党(日本社会党・公明党・新生党・日本新党・民社党・新党さきがけ・民主改革連合・社会民主連合)で連立を組んでいました。この時の連立政権も中道・右派・左派が混ざった大連立政権で、第1党の自民党が野党だったと思います。

政治改革を是として挑んだ細川内閣は、一定の成果は上げたものの、最後は佐川急便の借入金問題を端に自民党が徹底追及を図り、辞任に追い込まれます在任期間はわずか8ヶ月ほどです。その後の羽田孜(つとむ)内閣を経て、羽田政権時に連立を離脱した社会党とさきがけが自民党と連立を組んだことにより、非自民政権の時代はわずか10ヶ月ほどで幕を閉じることになります。
恐らくこの時は、左右の連立が上手く行かなかったのと政治経験がほとんどない細川氏と壊し屋ともキングメーカーとも言われる小沢一郎氏の仲が悪いこともあったのではないかと。


その点を考えると、イスラエルの新政権は左右どころかアラブ系の政党まで入っており、特に首相を輩出した右派は極右の政治連合で、アラブ人なんて・・・と言う人達の集まり。上手くいくわけないだろう・・・と思いたいところではあります。
しかし、このパワーバランスは上手くやれば、不安定の中から安定を見出せるのではないかとも思えるのです。
首相が極右出身者でも、自分の政策を押し通せば、左派やアラブ系にそっぽを向かれる。そこをリクードに突かれたら一巻の終わり今回新政権に加わった政党の中には、ネタニヤフ政権に関わっていた政党もあるので、下手な手は打てないわけです。今度リクード主導の政権に戻れる可能性はほぼないと思われるので、政権を維持するために、ある程度の妥協を強いられることでしょう。
となると、パレスチナ問題は現実的・穏健的な動きになるかもしれない。国内問題もネタニヤフ政権のいい部分をトレースしていくことになるでしょう。そこから徐々に自分達のカラーを出していくのでしょうけど、しばらくは距離感を図るために上手く決まらないでしょうねぇ・・・。


左右・アラブとの対立軸が残った中での政権運営になっていくでしょうけど、過度に自分達のアイデンティティを出してしまえば、リクードにさらわれかねないので、いかに各党が大人になれるかがポイントになるでしょうね。


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Posted by alexey_calvanov at 23:35Comments(0)