アゼルバイジャン航空の飛行機が、カザフスタン西部にあるアクタウで墜落し、67人の乗客・乗員のうち、38人が死亡しました。当初はバードストライクという離陸や着陸の際に鳥が機体にぶつかった事故なのではないかとされ、アゼルバイジャン航空も暫定ではあるものの以上の調査結果を発表しました。
ところが、機体をよく調べてみると、尾翼部分に弾痕のような跡がところどころに見受けられ、機体トラブルを捉えた映像でも主翼部分が破損している様子が映っていたことから、本当にそうなのか疑わしい状況にもなっていました。
そのため、改めて詳しく調査をしたところ、無数の弾痕のようなものは、防空ミサイルが付近で爆発した機体に残る痕跡と酷似していたことから、近くにあるロシア軍の防空システムに反応してしまい、撃ち落されたのではないかという可能性も出てきたのです。
この機体が、ウクライナ軍のドローンと間違えられた可能性がある点、アゼルバイジャン航空がロシアのチェチェン共和国の首都グロズヌイに向かう便の運航を禁止したことで、ロシア軍の誤射である可能性が高まってきました。しかも性質の悪いことに、ロシア側が誤射隠ぺいのためにアクタウに向かわせた(カスピ海上で力尽きるように促すためとも)のではないかという情報も出てきただけに、ロシアが人の命を顧みずに隠ぺいしようとしている節も見られ、昔中国で起こった新幹線事故を連想させられましたね。そして同じ穴の狢(むじな)なんだなとも。
実は、ロシアが起こした誤射は今回だけではないんですね。2014年に起こったウクライナ東部紛争では、ロシアが目に掛けている親ロシア勢力のミサイル攻撃により、マレーシア航空の飛行機が撃墜されてしまったこともありました。
今回の事故により、アゼルバイジャン人・カザフ人も犠牲になったことから、ロシアの友好国に影響を与えるだけでなく、ロシア人も犠牲になったことから、自国内での影響も避けられません。そのため、ペスコフ大統領報道官は「調査結果が出るまで仮説を立てることは正しくなく、誰もそのようなことをしてはならない」・アシムバエフ上院議長は「損傷についてあれやこれやの結果だと言うべきではない」と火消しに躍起です。独立国家共同体の非公式首脳会議にも影響が出て、プーチン大統領も苦虫を噛み潰したようになったことでしょう。
この事故が、ウクライナ情勢にも影響を与えるのか、ロシア国内でも影響が出てくるのか。全てはプーチン大統領の裁量次第でしょう。ただ、上手く切り抜ける能力は高いだけに、うやむやのままで終わる可能性が高いと思います。

