NECが携帯電話事業の事実上の撤退を決めました。今回撤退するのは携帯電話事業のスマートフォン部門。いわゆるガラケーと言われる一般的な携帯電話(フィーチャーフォンとも)・タブレットは採算が見込める(早い話が国内のみの展開だった)ため現状継続となっています。
今回撤退するのはNECが出資する子会社NECカシオモバイルコミュニケーションズ。NECだけでなく同じく出資するカシオ・日立のケータイも撤退を余儀なくされます。
NECといえば、かつては日本で最大のケータイ事業者でもありました。
スマートフォンが本格的に利用される前は、後にシャープが勢力を伸ばしても、NTTドコモの主要メーカーとして君臨し、一時はパナソニックと共に寡占状態を築いていました。カシオに関してもauで京セラに次いで大きな存在を示していました。しかし、スマートフォン登場後は海外メーカーの隆盛もあって、徐々に存在感を失っていきました。
NECが携帯電話事業の撤退を決めたと思われるのは、かつての盟友NTTドコモの裏切りとも取れるツートップ展開だったのではないのでしょうか。この措置でNTTドコモはソニーとサムスン電子の機種を優遇するようになり、他のメーカーは一転窮地に立たされてしまいました。また、この措置でパナソニックも撤退を検討する事態にまで陥っているのは、昨今の報道でご存知の方もいらっしゃることでしょう。
NECは今後を見据え、中国のメーカーであるレノボ(聯想)との売却交渉を行っていましたが、レノボサイドは魅力的ではない判断し、合意には至らなかったようです。
今回のNECの撤退で、国内のケータイはますます多様性を失い、ますます海外メーカーが隆盛を維持することになるようです。特にiPhoneシリーズが売れているアップル、NTTドコモのツートップ戦略に乗っかったサムスン電子は今後ますます勢いに乗って国内シェアを奪っていくことでしょう。
特に国内では、ケータイの多様性を維持するためにも、国内メーカーはオリジナリティ、つまり日本産のケータイだからこそできる機能を充実させ、ユーザーの顧客満足を高めていくしかないのではないかと思っています。
いずれにせよ、NECの撤退は残念で、日本の携帯メーカーが同じような結末をたどらなければと思っています。

