2011年01月30日

ベルギーの若者は偉い

先週月曜日にNHK BS1でやっていた「きょうの世界」での一コマ。


現在いまだに政権の樹立が達成されていないベルギー。実は複雑な国家構成が招いた要因でもあります。


チョコレートとダイヤモンドの加工技術と王室で有名なベルギーですけど、その内情はあまり知られていません。
ベルギーは北部オランダ系(フラマン人)と南部のフランス系(ワロン人)で国がほぼ二分(国の東部に若干ドイツ系も在住)されており、古くから言語戦争と呼ばれる冷戦状態が続いていました。
この言語戦争の原因は、19世紀の頃、つまりベルギーが植民地を有する帝国主義を形成していった頃は、フランス語の国際的地位が高かったためフランス語のみが公用語として定められました。しかし20世紀に入ると、帝国主義の衰退と共にオランダ系の地位向上を求める運動が活発化し、その結果北部地域はオランダ語が公用語として定められるようになりました
しかし結果的にはオランダ系の劣等感はぬぐい切れず、遂には北部の分離独立を求める政党が登場。今回(といっても半年以上前に行われたもの)の選挙で大躍進を遂げたわけです。

北部地域は教育水準も経済レベルも高いとされ、外国語話者も多いとされます。対して南部地域では教育水準も経済レベルも低いとされ、北部地域の経済をあてにしているという不満が北部地域の住民にうずまいています。これが今回の選挙での躍進と分離独立の原動力になっているのです。

しかし、過半数が取れていないのとオランダ系とフランス系双方が政権に入らないといけないというルールがあるため、連立交渉でいまだにもめているわけですよ。


そんな日本以上に政争が長引いていることに業を煮やした国民が首都のブリュッセルで大規模なデモ行進が行われたんですけれども、その中で叫ばれたのが「ベルギー統一」と「政権を組めない政治家共は恥を知れ」状況では再選挙を求めるデモにも見えます。
そしてそれを指揮したのが民族を超えた若者達。彼らが主導して平和的なデモを行ったのですから非常に偉い。彼らは熱く政治のことを語り、国を憂い、ベルギーの分裂を必死で阻止しようと動いていましたよ。


同じ政治に閉塞感を抱いている日本でも、こういった若者達が出てくれば、少しは政治も変わってくるんじゃないかなと思いたいんですけど、国が豊かなままだとそういう感覚も鈍ってしまうのかしらねぇ・・・。  

Posted by alexey_calvanov at 23:51Comments(0)TrackBack(0)