2013年12月06日

さらば南アフリカ解放の闘士、ネルソン・マンデラ

今日、南アフリカ元大統領で、南アフリカの黒人を中心に組織された政党アフリカ民族会議(ANC)の議長でもあったネルソン・マンデラさんが亡くなったと同国のズマ大統領から発表されました。


ネルソン・マンデラ元大統領はトランスカイ地方で生まれ、大学時代からANCに所属。それと共に南アフリカを席巻していたアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃運動に参加していました。
弁護士になったマンデラ元大統領はANCの軍事組織の司令官になっていたものの、その活動がきっかけで1962年に逮捕され、以後はケープタウン沖に浮かぶロベン島にある刑務所に収監されていました。その間、南アフリカではANCを中心に反アパルトヘイト運動が展開され、1976年に起こったソウェト蜂起を始め、血を血で洗う武力闘争が頻発し、徐々に南アフリカの白人中心の社会を疲弊させていきます

マンデラ元大統領は1982年に別の刑務所に移送された後、1990年に釈放。以後はアパルトヘイト撤廃とその後に発足する新体制(暫定政権・新憲法(当時は暫定憲法)・選挙制度改革など)の枠組み作りに尽力。その功績が認められ、1993年にはノーベル平和賞を受賞しています。1994年の南アフリカ史上初の全人種による国政選挙を経て、南アフリカの大統領に就任し、人種間格差の是正や人種による差別の禁止など後に虹の国と呼ばれる政策を制定・実行していきました。

マンデラ元大統領は1999年に大統領職を退任。同時に政治家としても引退したものの、事実上の国父として南アフリカだけでなく世界で活躍しました。2010年に行われたFIFAワールドカップの閉会式に出席したのが公に現れた最後となり、それ以降は自宅で平穏な生活を送っていたとされています。2000年代からは身体の不調が相次ぎ、前立腺がん治療・肺炎の治療などで入退院を繰り返していたとも言われています。今年に入ってからは体調悪化が報じられ、一時危篤状態に陥ったとされていました。


マンデラ元大統領は偉人や賢人を通り越した何かと言える人だと思います。アパルトヘイトに翻弄され、その政策で子供を亡くしながらも毅然として制度廃止を訴え、収監中も基本的には穏健的な活動に終始したのは特筆に値します。また大統領になってからも復讐による統治ではなく融和による統治を徹底し、格差解消に腐心したことは敬意に値します。


アパルトヘイト廃止後の南アフリカは紆余曲折を歩みながらも民族間の格差は埋まってきており、民族融和も徐々にではありますが行われていると思います。しかしながら、犯罪発生率は世界の中でもトップクラスと言われており、特に同国の経済の中心地であるヨハネスブルクは昼間でも歩くのが危ないと言われている場所が方々にあると言われています。それでも着実に前進をする南アフリカをマンデラ元大統領はどう見ていたのでしょう。そして、独裁政権から開放される世界をどう見つめていたのでしょう。死した今そのことを聞くことはできなくなりました。もっと世界のために過去の経験を伝授して頂きたかったとも思いました。本当に惜しい人を亡くしたというのは彼のことを言うのでしょう。


最後に心よりご冥福をお祈りすると共に、彼の築いた新生南アフリカに今後も光あれと願いつつ締めたいと思います。


遠い夜明け [DVD]
遠い夜明け
南アフリカのアパルトヘイトの惨状を知る上で重要な作品。ちなみにこの時期、マンデラ本人はロベン島に収監中。



マンデラの名もなき看守 [DVD]
マンデラの名もなき看守
獄中生活を送っていたマンデラを共に過ごした看守の視点で描いた作品。



マンデラとデクラーク [DVD]
マンデラとデクラーク
獄中生活が終わり、当時の大統領だったデクラークと共に新しい南アフリカを築き上げる過程を描いた作品。



インビクタス / 負けざる者たち [Blu-ray]
インビクタス / 負けざる者たち(Blu-rayDVD
マンデラが大統領在任中に開催されたラグビーのワールドカップのエピソードを映画化した作品。白人と黒人の垣根を取り払う象徴として、当時白人のスポーツだったラグビー変革に選手の一人と共に尽力する。



人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ  

Posted by alexey_calvanov at 23:55Comments(0)TrackBack(0)

2013年02月14日

誤射で選手生命の危機

南アフリカの選手で、義足を付けて走る陸上選手として知られているオスカー・ピストリウス選手。彼は、陸上選手で初めてパラリンピックとオリンピックの両方で出場した選手としても知られ、ブレードランナーという通称でも知られています。

そんなピストリウス選手が、陸上での活躍ではなく銃を使用した犯罪者としての活躍を見せてしまいました
自宅に来たモデルの彼女を強盗と間違えて射殺してしまったらしいのです。彼女はサプライズということでピストリウス選手には内緒で来たようです。


正直こんなことで選手生命を断たれるのは本人も不遇ですし、彼を応援していたファンもやるせない気持ちでいっぱいでしょう。仮に陸上選手に復帰できたとしても、その咎は一生背負わないといけないわけで、選手生活に大きなダメージになるのは間違いありません。
ただ、今回の件はきちんと法の下で裁いてほしいといのも正直なところ。国は違えど、銃社会の根絶は世界の流れだと思うので、毅然とした対応をして頂きたいと思います。


この一件で思い出したのが、1992年にアメリカ・バトンルージュで起きた服部剛丈君射殺事件
当時留学生として滞在していた服部君はハロウィンパーティに行くために友人の家を訪ねたのですが、誤って隣人宅に行ってしまい、そこの住人に射殺されてしまったという事件がありました。今回のケースもその事態とよく似ています。本人は悪気はなくただパーティに来たことを説明しただけなのに殺されてしまったわけで・・・。


銃による犯罪根絶はもちろんのこと、銃を使う機会をなくすことを真剣に考えないと、また双方にとって悲劇になりかねないことが起こりかねません。日本では銃を持っている人はごくまれですが、決して対岸の火事ではなく、いずれ自分の身にも起こりかねないことを考えないといけません


人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ  
Posted by alexey_calvanov at 23:58Comments(0)TrackBack(0)