2011年03月14日

有権者は賢明だったか愚かだったか

3/13にリコールによる解散によって行われた名古屋市議会議員選挙が行われ、即日開票の結果、河村たかし市長率いる減税日本が定数75議席に対して28議席を獲得し第1党になったものの、目標としていた単独過半数の38議席には届きませんでした
既存政党は全て議席数を減らし(候補者を減らして出馬した政党も含む)、中でも市議会第1党だった民主党は11議席と半分近くに減らしたばかりか第4党に転落するという惨敗を喫しました。


一連の結果を絡めて言えば、市政としては最悪の4年になりかねないものの、状況次第によってはその最悪の度合いが緩められる可能性もあると考えられます。

なぜ『最悪』といえるのか?
それは河村市政というのが減税ありきで動いていってしまっているという点です。
その他の政策、一つ目の議員報酬の削減に関しては文句はありません。むしろその余った財政で市政がよくなるのであれば、それは諸手を挙げて歓迎すべきだと思いますし、既存政党の中で反対している人達はなぜそこまでカネにこだわっているのかを問い正したいです。
二つ目の地域委員会も進め方によっては有益だと思います。特に参政権の持たない外国人の受け皿組織になれば、市政がよりよい方向に進められるかもしれません。


しかし、市民税10%減税というのが全くわかりかねます
減税するのはいいのですが、財源がどこから沸いてくるのかがわからない。これはかつて河村市長が所属した民主党政権が陥った事態によく似た状況になるのではないかと思います。また実際に減税を行った愛知県半田市でも減税に伴って財政がひっ迫した事例が発生し、時限減税だったこともあって翌年あっさり行われなくなりました
次に全ての人達に行われるという点で、特に所得の多い人達に行っても効果がないばかりか逆にカネをため込まれる可能性があり、低所得者層にとって減税は10%といえども微々たるものに終わるのではないかとも推察されています。
そのため、行うのであれば、高所得者層への優遇を低減ないしは廃止、低所得者層への優遇を厚くするという所得差による均等を図らねければならないと思います。

また河村市政が借金を借金と思っていない部分も非常に気になります。河村理論としては、借金をすることで財政を回し、減税を行い、減税目当てで名古屋に来た企業から得た収益で借金を返す。以下それを繰り返す・・・というふうだそうです。
市長が再度選任されたということは、市政を再度承認されたと思われてもおかしくありません。この理論を振りかざし、市議会でも攻勢をかけてくるのではないかとも思います。

ただ、単独過半数が獲れなかったので、減税日本はパーシャル連合に追い込まれたとも言えます
現状考えられる相手は、政策がほぼ近く、盟友政党になる大村秀章愛知県知事が率いる日本一愛知の会の連立相手になる公明党、河村市長が所属していた民主党と考えられます。


「市長は河村で結構だが、議会運営まで持って行かれるのは怖い」と考えた市民の賢明な判断だと思いたいです。逆に言えば、既存政党が色目を使って何とか流れを食い止めたとも組織力がものをいったとも言えますが・・・。

その組織力という点では、自民党と公明党がその点をまざまざと見せつけました
自民党は4議席減らしたものの、壊滅的だった民主党と比べダメージは軽微だったとも取れます。出馬議員の24から見ても候補者数の当選率は高い方です。選挙と河村市長の圧倒的な得票率をにらみ、組織の引き締めで有権者や支持者の減税日本への流れを阻止したとも考えられます。
また第2党の座を維持したことも、今後の名古屋市での政権運営だけでなく愛知県を含めた地方政・国政にも影響を与えるでしょう。
さらに先日起こった東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)もその流れを加速させる可能性もあります

しかし最も脅威なのは公明党解散前より2つ議席を減らしたのにもかかわらず、出馬議員を全員当選させたばかりでなく、圧倒的な組織力で選挙を動かしていました。ともすればかなりのチート的な行為を働いたのではないかと邪推してしまいます。

逆に風頼みの面もあった民主党には、ここ1年半以上の政権運営のまずさや河村市長の『離反』も手伝って、壊滅的なダメージを受けたと言えます。また組織力はあっても退潮傾向の止まらない共産党も議席を減らしその流れが止まらないようにも取れます。
そして一時期の勢いのあったみんなの党は、今回議席を取れなかったことで、党の退潮傾向が決定的になったと言えます。今後の地方政・国政でも同様のケースが散見されるでしょう。万一衆議院が解散し選挙になった場合、党の議席が維持できるかも怪しいところです。


さて、これから市政がどう動くのか?混沌のまま再度進行するのか、妥協の果てに善政へと進められるのか。
ともすれば政治家としては素人だらけの減税日本がどこまで進められるのかが見ものでもあります


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Posted by alexey_calvanov at 23:58Comments(0)TrackBack(0)