2016年08月20日

戦前のアニメ映画を見行く

たまたま新聞を見て、やっていることを知ったというわけで、名駅西口にあるシネマスコーレに行って来ました。


その映画とは、「桃太郎 海の神兵」という作品。太平洋戦争末期に作成された国威発揚の映画(国策映画)で、1944年12月完成、1945年4月に公開されたものです。マンガ家の松本零士さんや手塚治虫さんらに多大な影響を与えた作品としても知られています。
今回はデジタル修正版として公開されており、同時上映で、こちらも戦前(1943年)に公開された「くもとちゅうりっぷ」も公開されました。


まず最初に、「くもとちゅうりっぷ」が上映されました。16分ほどの短編映画ですが、劣化が進んでいたとはいえ、登場人物の描写は現在でも通じるほどの活きのよさで、動きも(当時としては)珍しいセル画でありながらもコマ欠けすることはほとんどなく描かれておりました
あらすじはというと、蜘蛛の糸のハンモックに何とかして引っ掛けたい蜘蛛が近くにいたテントウムシの少女に声を掛けたものの、日が暮れてお月さん(三日月)が出てきたということで断られてしまう。しかし、あきらめきれない蜘蛛は執拗に追いかけ、チューリップの花の中に逃れたテントウムシを蜘蛛の糸でグルグル巻きにするものの・・・というふう。捉えようによっては、テントウムシの少女が幼女のようにも見え、蜘蛛がテントウムシの少女を誘うあたりが昨今起こっている事件にありそうで、どう見てもおまえら案件(笑)。
16分ながらも起承転結が非常によくできており、見ていて面白い作品でもありました。近日Blu-rayで発売予定なので、よろしければ。

そして、「桃太郎 海の神兵」。
こちらは、桃太郎隊長の部下達(犬・猿・雉・熊)が故郷の村で休暇を過ごす前半部分と南の島で訓練を行いながら、落下傘部隊として上陸作戦を展開する後半とに分かれています。
当時としては珍しいセル画ながらもコマ欠けは少なく、登場人物の生き生きした姿に圧巻でしたわ。総じて国策映画ということで、鬼畜米英的な要素も強い部分もありますが、特に前半部分はのどかな村の情景と子供達の姿、そして帽子を流してしまったのを必死に拾おうとする猿の弟の奮闘する姿とそれを助けようとする村の人達の姿が印象的でした。後半の戦闘シーンも息をのむ演出があり、クオリティの高さに驚かされます。戦地で接収したディズニー映画(日本では戦後に公開)を見て作ったとのことですが、負けず劣らずのレベルだったようにも。
こちらも前述の「くもとちゅうりっぷ」と一緒に収録されてBlu-rayで発売予定です。


映画そのものは、シネマスコーレで8/26まで。たた昼間の公開なので、仕事のある人はなかなか見えないかもしれないですね・・・。


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Posted by alexey_calvanov at 23:57Comments(0)TrackBack(0)