2014年03月19日

ここまで来ると潔いというのか問題だというのか・・・

大阪府を中心に京都府・奈良県・兵庫県をエリアにするFM局のFM COCOLO。阪神淡路大震災後、外国語放送へのニーズが急速に高まったことから免許が東京と大阪に割り当てられ、そのうちの大阪の免許を取得して設立されたのが、今回紹介するFM COCOLOなのです。

当初FM COCOLOは関西インターメディアという会社によって運営され、1995年開局、2003年から終夜放送を開始当初は外国人に向けた純粋な外国語放送ではありましたが、経営面で難しいこともあって徐々にエリア内の日本人にも対象を広げ、その方面へシフトしていったのでした。
それでも、慢性的な赤字を解消することができず、遂に2010年には大阪のFM局であるFM802(正確にはFM802の子会社)が経営に乗り出し、大規模な改編を実施。その後、FM802のDJを派遣するなどして徐々にFM802の第2放送局化していき、2012年には遂にFM COCOLOの放送事業をFM802が完全掌握。この頃放送法の改正もあり、ラジオNIKKEIに次ぐ2例目の1局2波体制を執ることとなりました。


この802化に伴って、番組編成が大きく変わったのですけれども、これまで種々の制約で実現できなかったことをやってのけています。

その一つとしてAM番組のネットが挙げられます。
基本的にAMで放送されている番組をFMで放送するということは放送体制の違い(AMにはJRN・NRN、FMにはJFN・JFL・MegaNetという放送ネットワークがある)によって、かなり難しいです(それでもできるのは、いわゆる番組販売というスポンサーが売り歩く番組くらい)。しかし、FM COCOLOでは2013年の10月から月イチ放送である「中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ」をネットするという離れ業を行ってきました。そして今回、4月から「オールナイトニッポンGOLD」のネットをこれまで行っていたABCラジオ(朝日放送)から引き継ぐ形で放送されることも決まりました。これも離れ業というより、かつてはあり得ないとさえ言われていたことでもあります。


どうして一介の外国語放送局ができるのかというと、出資会社になったFM802にその理由があるからです。

FM802はニッポン放送が大株主(10.00%の株を持っている)になっており、同局が開局の際にもニッポン放送関係者が関わっていることもあり、ニッポン放送の関係も深いわけです。しかしながら、それならば同じニッポン放送と関係の深いラジオ大阪でもいいわけですが、そうもいかないわけがあるわけです。

ラジオ大阪は、元々政治家前田久吉氏をはじめとする前田一族が握っていたため、ニッポン放送が所属するフジサンケイグループでも手が出せない状況でもありました。もちろん現在はその影響力は無く、やろうと思えばできるのですけれども、今度は在阪局に根深く残っているローカル重視路線が邪魔をするわけです。
過去に在阪局の一つMBSラジオ(毎日放送)は、東京の番組をネットしていました。しかしその聴取率は極めて悪かったため、以降一部を除き東京のネット番組を拒否する傾向が起こり、それが他の在阪局にも波及したとされています。「アクセス」というTBSラジオの番組がMBSラジオに一時期ネット寸前まで行ってご破算になったのもこれが原因といわれています。現在ABCラジオが東京の番組をネットしていますけれども、これは地デジ予算を作るために自社制作番組を減らさざるを得ないことから起こった副産物でもあるわけで、本音は自社制作番組をやりたいという流れがあったようです。
そこで、白羽の矢が立ったのがFM COCOLO。番組を流しても聞いてくれない、口悪く言えば電波の垂れ流し状態でもったいないと感じたFM802がその『空き電波』を有効活用したと言えるでしょう。


しかし、この編成は本当に正しいのでしょうか。
確かに経営面で行けば非常に正しいと言えるでしょう。しかし、外国語放送局という側面を考えれば、本来行わなければならない外国人への支援がないがしろになってしまわないかと危惧しているわけです。
これだけ日本人向けの放送ばかり流して、外国語放送局としての意義を忘れていないでしょうか。マイノリティに向けた放送がきちんとできなければ、この放送局の意義がわからなくなってしまいます。再考しろとまでは言いませんけれども、本当に外国語放送局の意義を忘れてはいないか、もう一度見つめ直すべき時ではないのでしょうか


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Posted by alexey_calvanov at 23:55Comments(0)TrackBack(0)

2013年08月19日

名古屋に再び外国語放送の種火が灯った

2010年9月30日、東海地方にあった外国語放送局、RADIO-i(愛知国際放送)が閉局。多額の負債を抱えていたのにもかかわらず、再建先も現れたのに、遅かったとして閉局への道を選んだとも言われています。その後、外国語放送はインターネットラジオに引き継がれていったものの、その約半年後に起こった東日本大震災により、再び手軽に聞けるラジオ放送による外国語放送へのニーズが問われていたとも言えます。
しかしながら、ラジオ離れが顕著な中、新しい担い手が名古屋の財界からは現れなかったというのも事実。それだけRADIO-iの残した負の遺産は大きかったのです。理想と道楽ではラジオはやれないと。

ところが、その風穴を開けようとしているところがあります。それは、かつてRADIO-iの所属していた外国語放送のネットワークMegaNetを率いる、事実上のキー局であるInterFM(エフエムインターウェーブ)昨年秋、RADIO-iの閉局から2年1ヶ月経った10月30日、2014年春に名古屋に外国語放送を設立することを突如発表しました。当時はテレビ東京の傘下に置かれていた同局、この時は親会社だったテレビ東京が打ち立てたTXNネットワークの拡大(2007年)よろしく、結局は机上の空論ではないかと思っていぶかしがっていた人もいたことでしょう。
この時のロードマップでは6~7月頃と言われていたのですが、結局そこでは何も音沙汰もなく、やはり机上の空論だったのではと言われ始めた8/6、総務省に免許の申請を行っていたことが発表されました。この瞬間、名古屋をはじめとした東海地方に再び外国語放送開局への第一歩を踏み出したのです。


実は、この外国語放送は再び1からのスタートになります
親会社であった興和に本局の放送施設があったのですが、それは既に撤去され、三国山にあった送信施設も撤去されています唯一残ったのは周波数(79.5MHz)のみで、今後はこの周波数から発信されるものと思います。ただ、この周波数では岐阜方面の送信に大きな影響を与えかねず、仮に申請エリアの中に岐阜県が入るようでは、この周波数がネックになると思われます。というのも、岐阜にはRadio80(岐阜エフエム放送)というFM局があり、その周波数が80.0MHzステップ差がが0.5しかないため、混信が激しくなってしまうのです(関東圏の人なら、TOKYO FM(80.0MHz)とFM NACK5(79.5MHz)との関係が有名でしょう)。できることなら、混信の少ないエリアの周波数がもらえればと思っていますが、どうなんでしょうねぇ・・・。
そういう点では、放送エリア、RADIO-i時代の愛知・静岡なのか、それとも東海3県になるのか、あるいは最大限のエリアをもらえるのかがどうなるのかも気になるところです。

また、仮に申請が認められた場合、番組構成がどうなるのかも注目ですあくまでInterFMの名古屋支局として東京発と同じ番組を垂れ流すのか、(InterFMの比率が若干あるものの)独自の番組編成を任せてもらえるのか、そのあたりも気になるところです。

そして最大の注目点は、平時の際の番組構成です。
外国語放送である以上、外国語をメインにしていかないといけないのですが、それではメインターゲットになる日本人の聴取層が離れてしまいます。それゆえに、日本語のバラエティ番組を増やさないといけないわけです。つまりは日本語のみの放送をどのくらい認めるのかという点が今後の放送運営の焦点になるのです。
また、ラジオショッピングのようなCMの比率も気になります。今のラジオ番組は通常のCM以外にラジオショッピングやインフォマーシャル的なものが雑多に混ざり、現在聴取しているリスナーの中からもその混在ぶりに閉口しているとも言われています(要は聞く意欲を削ぐような放送が増えているという点です)このCM・インフォマーシャルの比率を減らせば減らすほど、リスナーにとっては聞きやすい放送になるのですが、同時に経営面ではRADIO-i時代の二の舞になりかねません。どこまでCM・インフォマーシャルの比率を増やすか、新しい放送局はこのさじ加減で悩むことでしょう。


とはいえ、まずは総務省の申請が認められることが先決です。10月に発表されると言われるその結果を待つことにしましょう。



RADIO-iがモデルとなっている小説。閉局までの過程を描いているとされています。



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Posted by alexey_calvanov at 23:45Comments(0)TrackBack(0)

2012年10月31日

名古屋に外国語放送局の灯が再び灯るのか

外国語放送局、平時には洗練された洋楽や多言語放送の利点を生かして、生活情報をラジオの電波に乗せて届けること、緊急時には多言語による震災情報・救援情報・復興情報をラジオの電波に乗せて届けることを使命としています。ただ、それだけでは経営面で不利になりかねないので、時間帯によっては日本人リスナー向けの番組構成に切り替えているところもあります。

その外国語放送局のネットワークがMegaNet(メガロポリスネットワーク)
現在、東京を中心とした南関東圏をエリアとするInterFM(エフエムインターウェーブ)、関西圏を中心とするFM COCOLO(FM802の第二放送的な立ち位置)、福岡・佐賀を中心とするLove FM(ラブエフエム国際放送)の3局があります。
しかし、ここにはもう一つ放送局がありました。かつて愛知・静岡西部を中心としたRADIO-i(愛知国際放送)があったのです。
RADIO-iは愛知万博開催を見据えて、興和を中心とした東海地方の財界陣が出資して立ち上げたFM局で、東海地方に住む外国人のための放送局としてスタートを切りました。
ところが、開局後は慢性的な赤字が続き、あまりのひどさに興和の子会社として再スタートを切ろうとした矢先、リーマンショックに襲われ、興和の経営も危なくなる可能性があるということで、2010年9月末で放送の打ち切り、つまりは廃局になったのでした。この廃局は東海地方ではちょっとした話題になり、ローカルニュースでも取り上げられるほどでした。
それでもなお、一部からは外国語放送局再開の声はなかったわけではなかったようで、実際に元RADIO-iスタッフによるインターネット放送も立ち上げられたほどです。

その声がやっとInterFMを通じて届き、InterFMが2014年の春を目標に『復活』させることを発表しました。それによれば、来年の5~7月までには総務省に届け出を行うとのこと。


実際、存在的な需要が多いのは事実で、RADIO-i当時の公式エリアの愛知県や静岡県西部にはブラジル人コミュニティが多いのはよく知られていますし、同じく公式エリアから若干外れた美濃太田(多治見市)にもソニーの工場があった関係でブラジル人を中心にした外国人コミュニティがあります。また観光地である高山市や伊勢市のように、外国人が多く訪れる場所もあるので、今回の事実上の復活で東海3県(+浜松)へのエリア拡大を切に願っております
ただ、InterFMの支援もいつまで得られるかわからないものですできるだけ早い段階で自立できる(つまりは赤字にならない)組織作りをしていかないといけないと思います。
もっと早くという声もあったかもしれませんが、恐らくかつてRADIO-iに所属していた人が書いていた「閉店を知らせる張り紙をぎりぎりまで出さず、受け継ぎたいとせっかく手を挙げた人がいても、『遅すぎましたねぇ。』で済ませようとしています」にあたる部分だったのかもしれません。


外国語放送局の利点を生かしながら、かつ日本人リスナーへの魅力を引き出せないと、また廃局の危機に陥るのではないかと思えてなりません。
だからこそ、今のうちに言っておきたい、『No more RADIO-i』


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)