2012年07月12日

ベストを買うのが最善だったらしい

再編の進む家電販売業界。先月にはビックカメラがコジマを買収し子会社すると発表されました。
今度は九州に地盤を持つベスト電器を業界最大手のヤマダ電機が買収し、子会社化することが発表されました。


ヤマダ電機は業界最大手で、2兆円近くの売り上げを誇り、2位のビックカメラとコジマとの連合をダブルスコアで突き放すほどのガリバーでもあります。しかし、それでも買収に踏み切らざるを得なかったのは、今家電販売業を取り巻く事情があるからです。


元々不況でモノが売れない、少子高齢化で需要の先細りの可能性は否めない、2011年まで巻き起こった地デジ需要も落ち着いてしまい、かつ家電エコポイント制度も終了してしまいました。つまり今、家電販売業界は、これと言って大きく売り上げを伸ばせる状況ではないというふうなのです。
そのためか、ヤマダ電機も大きく売り上げを落としたとされています。これ以上大きく売り上げを落とさないためにも、かねてから子会社化を図りたかったベスト電器を買収し、運営力を強化したい、つまり攻めの経営に打って出たわけです。

対するベスト電器はというと、実は元々ヤマダ電機の買収には乗り気ではなく、実際2007年にベスト電器の株をヤマダ電機に買われた際には反発し、ビックカメラに援助(資本・業務提携)を求めたほどでした。しかし、それでもベスト電器の経営は苦しく、昨今の事情も相まって、やはり売り上げを落としていました。そのため、第三者割当増資(つまり資金注入して経営力を強化すること)を行って、この危機を乗り切ろうと思ったわけです。そこに目を付けたのは、かねてからベスト電器を子会社化したかったヤマダ電機・・・というわけで、以降はヤマダ電機の状況で書いた通り。


今回の第三者割当増資で7.4%と第2位の株主だったヤマダ電機が一気にベスト電器株の過半数を獲得。かねてから希望していた子会社化を果たすことになります。


ところで、15%と筆頭株主だったビックカメラはどうするのか?
今のところ、今回の買収劇には静観しているようで、もしかすると容認したのではないかとも受け取れるわけです。正直、ベストとの友好関係を保てていたと思っていただけに、今回動かなかったのは何か大きな問題を抱えていたのでしょうか?それとも、コジマを買収したことで経営体力を持って行かれた隙にやられてしまったということなのでしょうか?はたまた寝耳に水だったのでしょうか?


とにかく、今回のヤマダ電機の買収は、ベスト電器にとって、以前のような敵対的買収になるのではなく、通常の買収(ともすれば友好的買収)になるのかもしれません。黙認したとも静観したとも言えるビックカメラが今抱えているベスト電器の株を増やすのか減らすのか?業界の道筋を占ううえで、今後の動向が少々気になるところです。


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Posted by alexey_calvanov at 23:28Comments(0)TrackBack(0)