今回の選挙の注目の一つとして、第3極というのがあると思います。民主党の離脱組を中心とした勢力が新党を結成したケースや既にあった地域政党を軸に民主党・自民党などを離脱した議員が参加したケースに大きく分けられると思いますが、その後紆余曲折し15ほどあった政党は12ほどに集約されて来ています。
その第3極と言われる勢力、既存政党は含めないとしても民主・自民と一線を画すという意味もあるので、一緒に紹介していきます。
連立を組んでいる国民新党および一緒に行動している公明党以外で第3極を担うのは以下の通り。
- 日本未来の党
- みんなの党
- 日本維新の会
- 日本共産党
- 社会民主党
- 新党大地
- 新党改革
- 新党日本
このうち、新党として結成された2つの政党をピックアップすることに。
まず日本未来の党には、参議院にあるみどりの風の衆議院議員3名が共同候補として参加(選挙後に離脱予定。恐らく統一会派としての参加になる可能性が高い)しています。
日本未来の党は国民の生活が第一、減税日本・反TPP・脱原発を実現する党(脱原発)、みどりの風の衆議院議員が連合して参加した『(日本版)オリーブの木』的な政党の側面があります。基本的には女性の権利拡大および共同参画社会の実現、脱原発、増税反対、反TPPに集約されるかと思いますが、この中で脱原発に関しては足並みを揃えられるということで、今回の結党になったわけです。
国民の生活が第一の小沢代表が党内にいるため、小沢新党ではないかという見られ方をされるのがウィークポイントになりますが、ここは女性色を大きく打ち出してソフトなイメージを出していくのではないかと思います。もちろん、そうしないといけないのは、いわくつきの議員や共同参画者が多いという点もあります(例として国民の生活が第一の山岡賢次議員や脱原発の亀井静香議員と河村たかし名古屋市長、旧社会民主党出身で無所属だった阿部知子議員)。
ただ、脱原発を掲げていた政党がことごとく原発維持ないしはトーンダウンしていったことで有権者の投票行動が取りにくくなった中で、明確に反原発(卒原発)という表現を行う勢力が誕生したことと、現状61人の議員を有する第3勢力にまで躍り出たこともあり、今後選挙期間中は台風の目になると思います。
恐らく小沢議員のいる岩手・河村名古屋市長のいる愛知・嘉田滋賀県知事のいる滋賀では優勢になると思います。あとはそれ以外の地方でどれだけ勢力を維持・増進させられるかが気になるところです。
なお、新党大地は協力するということになり、みんなの党・社会民主党は一致すれば協力するという姿勢を見せています。
もう一つの第3極は日本維新の会。
選挙前はこちらが台風の目になるのではないかと言われていましたが、急遽決まった解散ということもあって過半数の候補者を立てることができなくなり、日本未来の党の結党もあって、状況によってはキャスティングボードも握れるか怪しい状態になりました。
日本維新の会は太陽の党を設立した石原慎太郎東京都知事が合流する形で生まれた党で、太陽の党は平沼赳夫衆議院議員が代表になっていた立ちあがれ日本が発展解消する形で生まれた党(石原東京都知事も特別顧問で参加した経緯がある)でもあります。旧(太陽の党合流前の)日本維新の会は地域政党である大阪維新の会から起こった政党で代表は橋下徹大阪市長。今回の合流で代表代行に就任しています。
当初は橋下カラーを打ち出していた政党でしたが、徐々に石原カラーに染まっていき、原発に関しては脱原発依存とも原発維持とも取れる発言をし始めています。また元々右的カラーの強い政党でしたが、石原東京都知事の参加でますます右色がキツくなったとも感じられます。ただ、中央集権打破という項目は石原・橋下両氏とも一致し、道州制といった地域主権主導の立ち位置は大きくぶれていないと思います。
恐らく、石原都知事のいる東京、橋下大阪市長のいる大阪、平沼赳夫議員のいる岡山では優勢になるのではないかと思います。
以上のことを踏まえて、議席獲得数を推測してみました。結果以下の通り(国民は国民新党、みなはみんなの党、日本は新党日本、無他は諸派・無所属)。
- 民主 90
- 国民 0
- 自民 200
- 公明 25
- 未来 80
- 維新 50
- みな 20
- 共産 10
- 社民 0
- 大地 3
- 改革 0
- 日本 0
- 無他 2
- 定数 480
個人的な推測ですが、当初は小政党の乱立で票分散が進むと、自民の地滑り的な勝利が起こるのではないかと見ていました。ただ、日本未来の党が結党したことで小政党が集約されたこともあり、脱原発で大きな勢力になった未来が大きく躍進すると思います。少なくとも現有の61に近い60は取ると思っています。
日本維新の会は当初小政党の中でも石原・橋下両氏の下で80近い議席は握るのではないかと思っていましたが、タカ色が鮮明になってきた点、石原・橋下両氏の連携が上手くいっていない点、脱原発の看板を下ろしてしまった点がマイナス効果になって来てしまっているのではないかと思います。
小政党の中でも躍進するのはみんなの党で脱原発を推進しかつTPP賛成派の受け皿として機能することでしょう。共産党は小選挙区では取れない代わりに比例で議席を伸ばすのではないかと思います。やはり脱原発や反TPPで、小沢議員のいる日本未来の党へのアレルギーが少なからず起こるのではないかと思います。
逆にその煽りを食らうのは議席数5以下の政党。国民新党は民主党の失態の煽りを食らう形で、社会民主党は福島体制の長期化で硬直化している点、脱原発・反TPPで日本未来の党や共産党とかぶる点、有名議員の離脱や長老議員の退任などで議席を取れるのも怪しいのではないかと思います。もしかするとこの選挙後に国民新党は無くなって民主党への合流を、社民党は無くなって日本未来の党への合流をそれぞれ強いられる可能性もあります。あとは露出の面で淘汰される可能性があり、新党改革や新党日本は議席を取れないもしくは失うと思います。
自民党は単独過半数は取れないものの、最低でも200は取ると思います。この後比例でどれだけ上積みできるのかが気になるところです。逆に民主党はかつてない逆風で3ケタは確実に取れないと思います。この90という数字も甘く見積もっている方で、実際は日本未来の党や日本維新の会より少ない議席数になる可能性もあります。
公明党に関しては某宗教団体の恩恵と何も知らない有権者が入れてしまう可能性を合わせると過去最高の議席数に届く可能性も。不況に強いのは自民ではなく公明なんですよね・・・。
他は無所属で出馬し続けている中村喜四郎衆議院議員が当選するのは確実で、それ以外で1つ取れるかどうかと思っています。
なお、これ以外の諸派扱いの政党として、幸福の科学が設立した幸福実現党、俳優の山本太郎さんが設立した新党今はひとりがあります。幸福実現党は一部の地域で出馬予定ですが、新党今はひとりに関しては具体的な活動がいまだ不透明なところもあります。
衆議院議員選挙は12/4告示、12/16投開票が行われます。私達のこれからの世の中を決める選挙になります。告示中に配られる選挙公報や政見放送を見聞きするなどして意中の候補者を決めていきましょう。