その中で、勝ち抜いたと言えるのは、与党でも野党でもない日本維新の会をまず挙げるべきでしょう。
かつての日本共産党のように、与党とも野党とも対峙し、軍隊式ともいえる集団戦法で戦い抜いてきました。大阪および関西圏の地域政党と言われていたのが、遂に関東圏(東京・神奈川)に議席を獲得。比例でも鈴木宗男議員が復権することになったのですけど、鈴木議員は元々新党大地という北海道の地域政党の代表だった人。まだ新党大地は地域政党として残っているので、他の地域政党との連携で議席を獲得しているのです。残念ながら、名古屋の地域政党である減税日本との連携は成功しなかったものの、維新の候補が一部地域で上位当選の候補者よりも上回ったことから、一定の成果はあったと言えるかもしれません。
そして、今回の本当の勝者は、諸派と言われた2組織。諸派と言われる組織が議席を獲得するのは初めてだそうです。
まずは、れいわ新選組。山本太郎元議員が結成した新党ですが、比例枠で今回採用された特例枠を障害者に充てて、本来の目的である合区対策や自分の応援ができないという点を逆手にとって上手く活用しただけでなく、選挙区でも社会弱者や注目の高い人物を据えて、注目度を上げてきました。山本元議員の注目度もあって、得票率を上げ、山本元議員の当選は果たせなかったものの、議席は2に増やし、政党案件もクリア。しかも今後特例枠で当選した2議員の注目度もあり、台風の目になることは間違いありません。
もう一つは、NHKから国民を守る党。NHKのスクランブル放送を目指す、いわゆるワンイシュー政党と言われるものです。
選挙区では議席を獲得できなかったものの、比例で最後の議席を獲得。しかも選挙区での得票率が2%を超えたため、1議席でありながら国政政党として認められることになりました。
この2組織は、これから国政政党として政党助成金を受け取ることもでき、報道関係でも政党名を名乗ることができます(逆に言えば、政党として報道が扱わないといけない)。少なくとも次回の改選(2022年)まで適用されるので、この間に党勢の拡大ができるかもポイントになってくるでしょう。
諸派でも、やろうと思えばできる点、やり方次第では議席を持てる点、ワンイシュー政党の誕生という点では、今回の選挙は大きな政治の転換点になったかもしれません。
かつては様々な会派が様々な政策をぶつけて、衆議院とは違う雰囲気を出していた参議院。今は衆議院のカーボンコピーとも揶揄されていますけど、今後今回のような組織が頑張れば、また昔の雰囲気を取り戻せるかもしれません。

