昨年からJリーグのチーム数が60で固定されることになり、J3ではJFLとの入れ替えないしは入れ替え戦が行われることも決まりました。
しかし、それ以前からJ参入は行われており、クラブ体制・財政・成績をクリアしても、観客動員数でつまづくなんてこともありました。当初この観客動員数はシーズン平均3000人以上だったのですが、J3開始以降はシーズン平均2000人に改められています。それでもシーズン平均2000人は厳しい数字のようで、最近では奈良クラブとFC大阪がJ参入の際に大きな壁になっていました。この時は三浦知良選手が鈴鹿ポイントゲッターズ(現在のアトレチコ鈴鹿)に加入していたので、カズ効果を発揮して一気に動員を稼いだというある意味チートだったんですね(苦笑)。
そして、去年JFLとの入れ替えが行われることになったので、観客動員の規約が改定されています。シーズン平均2000人が必達だったのが、『シーズン平均2000人を目指しているという努力が見られること』とやや曖昧な規定に変えられたのです。このおかげで、観客動員に厳しかったクラブ(ラインメール青森やレイラック滋賀など)は色めき立ったものの、最終的にはそれを生かせず、1位・2位ともにJ3ライセンスを取得していなかったチームが埋めてしまったので、昨年は入れ替えは行われなかったのです。
すると、JFL開幕を2週間前に控えた2/29にJリーグがJ参入の要件を再び改定したのです。いじったのは、また観客動員の部分。『シーズン平均2000人を目指しているという努力が見られること』とやや曖昧な規定だったものをシーズン平均2000人が必達と再度厳格化しただけでなく、入場料収入が1000万円以上(算出はJリーグが提供している様式で行う)必達とさらに厳しいものになりました。
この入場料収入1000万円以上が定められた理由は、恐らくタダ券をばらまいて集客するという方式をよしとしないためではないかと思われます。一番顕著だった例は、2019年にJ参入の掛かっていた東京武蔵野シティFC(現在の横河武蔵野FC)がシーズン平均2000人を達成するために、ホーム残り3試合で無料券を大量にばらまいて集客を図ろうとしたところ、5000人以上の集客を集めたものの、それでも6000人近くの集客を行わないといけない状況となり、消防法の観点などから他会場への移行も折り合いが付かずに断念した経緯がありました。もちろん過去にJ参入を果たしたチームの中にも、タダ券を配って集客したという経緯をたどったところもあるでしょう。
ただそれを行っても、今後の集客に繋がらない、そもそも論で長い目で見ると経営を圧迫しかねないという判断で、JリーグサイドがNOを叩きつけたのではないかと思います。お客を集めにくくなる半面、Jリーグの算段方法にもよりますが、2000円という設定にした場合、1試合平均667人集めれば、難なくクリアできる数字であるので、現実的な判断とも言えます。実際は席ごとにランクではないですけど、価格を変動させているので、だいたい1500人くらい集まれば、1000万円以上の入場料収入はクリアできるでしょう(ただしそれでは、シーズン平均2000人以上が未達になってしまうので、頑張って集客活動を行わないといけないわけで)。
今回の一件で、地方のクラブが厳しいのは明白で、都心部にあるクラブに有利に働くことでしょう。あれ、これってもしや、去年のクラブライセンス絡みで話題になったクリアソン新宿対策ですかね(ニヤニヤ)?一刻も早く23区内にJリーグチームを作りたいのでしょうか。都下にある武蔵野は結果的にNGにしておいてだな・・・。
さぁ、Jリーグの思惑通りに動いてくれるのか、地方のJFLクラブが努力して自力でJ参入を掴み取れるのか。今年は別の意味で見ものです。