このやりとりは、趣旨としては、「価値のない無名の人達の著作権が侵害されたからと言って訴訟を起こしても、賠償額は大したことがない。それゆえに、手あたり次第に安価な価値しかない同人誌を集め、その後そこから有名になった作家が出てきた時に、それを売って大儲けしようとするビジネスができ、実際に現れている」というふう。この中の「価値のない無名の人達」という意味で述べた「同人誌には価値がない」を一部の視聴者(ネットユーザー)が言葉尻を捕らえて曲解し、それをまとめサイトやツイッター上などで拡散され、ますます誤報が出回ったというふうになりました。
ここまで曲解を曲解として受け止められず、真実であるかのように広まっていった理由は大きく2つあると思います。
一つは、極度の民主党への不信感。発言者が民主党の一議員であったがために、アンチ民主と呼ばれる反民主支持者が、ここぞとばかりに叩きに走ったとも言えます。
もう一つは、ネトウヨの存在。前述のアンチ民主の人達とほぼ重なるのですが、とにかく民主党の失点は徹底的にあぶり出したいとばかりに、事の趣旨を見抜けず(いや、見抜こうとせず)叩いたとも言えます。
双方に言えるのは、もしかしたら同人誌への権利ひいてはコミックマーケットの開催維持にも舵を切ってくれているのにもかかわらず、短絡的な行動で、本来彼らもそうしたかったであろうと思うのに、自分たちの首を絞めてしまうことになっていたことを見抜けなかったのでしょうか。
あとは、同人誌=二次創作と思っている人達は、同人誌の本質をわかってないのではと。
同人誌は、本来はオリジナル(一次創作)を指す言葉であり、かつ一次創作に対して批評する書物もその対象になるのではと思います。昔は俳句や川柳を同友会が自費出版して出す物に対していうことが多かったように思います。その経緯を知らずに、二次創作を過剰に擁護するものだというのはナンセンスだと思えてならないのです。
言葉の趣旨を捕らえられなければ、結局は自分の首を絞めかねない。この事態を理解できるようにならなければ、再びこの事態が起こりかねないわけです。私も気を付けなければ。

