愛知県にあるテレビ東京系の放送局テレビ愛知。古くからアニメに力を入れており、平日夕方は「マンガのくに」と称して再放送枠を90年代半ばまで行っていました。そのおかげで「新世紀エヴァンゲリオン」が朝の7時半過ぎに放送されていたのは、愛知県やその周辺で見ていた人達の恨み節として語り継がれています(その後三重テレビで放送したのですが、こちらも平日の夕方で映りもあまりよくないため、愛知県民はエヴァに対していい記憶がないとも言える。しっかり見たのは旧劇場版公開前の深夜で放送した時という人も多かったかと)。
そして、深夜帯を利用したアニメ放送(いわゆる深夜アニメ)も1990年代半ばから受け入れている老舗局でもあります。
しかし、どうしてこうなったのかというと、放送局のエリアが深く絡んでいます。
例えば関東圏の場合は、以前は東京から見られるテレビ神奈川がその雄となり、積極的に放送を行っていました。ただ、テレビ神奈川だけでは他の関東圏のフォロー(大都市圏であるさいたま・千葉)ができないというのもあって、テレ玉(テレビ埼玉)・チバテレ(チバテレビ)へのネットもセットで行われていました。
ところが、TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)が開局し、2000年代半ばから積極的にアニメを放送するようになってから徐々にTOKYO MXへの比率が多くなり、送信所がスカイツリーに移行し、関東圏のほとんど(つまり、さいたま・千葉・横浜の大都市圏)をカバーできるようになってからは、一気にTOKYO MXでのみの放送が増えるようになってきました。
対して関西圏の場合は、大阪から見ることのできる古くからサンテレビとKBS京都(京都放送)が関東圏でいうテレビ神奈川と他のUHF局を担ってきました。しかし、公式的に大阪でも見られるとされるサンテレビが積極的に放送しており、テレビ大阪があまり乗り気ではなかったこととテレビ大阪自体が大阪のみの放送エリアだったことから、兵庫(神戸)もエリアにでき、放映権も安いサンテレビが有利に働いたとも取れます。ただ、以前と比べると、KBS京都とのセット販売があまり見られなくなったため、在阪テレビ局へ徐々に移行している感があります。ただ、放送枠のひっ迫している状況と放映権の高さがネックになっているようで、しばらくはサンテレビ優勢でしょう。
で、東海地方はどうなのかというと、2005年以降、テレビ愛知が深夜アニメを担うことが多くなり、以降その比率を伸ばして来ました。そしてその過程で、関西圏製作のアニメ(MBSテレビ(毎日放送)製作のUHFアニメ(TOKYO MXなどUHF局へネットするアニメ)・ABCテレビ製作の「水もん」の一部・読売テレビ製作の「MANPA」の一部)、TBSテレビが製作に関与しているアニメ、そして最近では日本テレビのアニメを中京テレビに取って代わって放送する事態にまでなりました。先述の「MANPA」も中京テレビからの移籍組です。そこに、テレビ東京系のアニメがプラスされ、まさにぎゅうぎゅう詰めの状態。他の番組もあるので、通販枠の整理が行われない限り、これ以上は難しいのかもしれません。
ここまでテレビ愛知が寡占状態になったのは、在名のテレビ局自身、放送枠がひっ迫しているというのもありますが、三重テレビとぎふチャン(岐阜放送)が愛知県全域をフォローできないと判断し、テレビ愛知をセレクトしているという部分もあります。
三重テレビは愛知県のほとんどをフォローできることはできるのですが、岐阜をカバーできない。それに対して、ぎふチャンは岐阜県しか事実上カバーできないので愛知県ではほとんど見られないというふうになっています。
でも、テレビ愛知って愛知県だけなんじゃないのという方、実は東海3県をカバーする4局とテレビ愛知のネット率は、あまり変わらないのです。テレビ愛知のカバー率は、東海3県の人口カバー率で見ると91%で、残り9%で岐阜や三重の本局の電波では届かない地域をフォローするというふうなのです。だったらば、放映権料の安くカバー率があまり変わらないテレビ愛知へ・・・という選択肢が出てくるわけですね。
実際、2011年以降土曜日の放送を常時行うようになり、2014年頃から日曜日の放送も常設されるようになりました。それだけ枠がひっ迫しているという現れです。
このままいくと、テレビ愛知での放送が多くなったため、流れない番組が増える傾向になっていくのではと思います。また、スプラッタ性の高い番組やセクシー路線の番組は、テレビ愛知では流れにくくなるのかもしれません(昔はこのあたりの路線は緩かったんですけどねぇ・・・。テレビ東京がうるさく言ってきたのでしょう)。他との兼ね合いがあるので、何とも言えませんが、そうなるとBS11(日本BS放送)やAT-X(アニメシアターX)がますます重要になってきますね。