2014年06月02日

王様辞めるわ

突然こう言われたら、ビックリしますわね。日本では明治以降あり得ない事態になってます(詳細は分からないものの、基本的には崩御(死去)しない限り交代は無い。江戸時代までは途中でやめることもしばしばだったのは、歴史の授業でご存知でしょう)。
その王様を辞めることになったのは、ヨーロッパの王制国家の一つスペイン1976年に国王に即位したフアン・カルロス1世です。
世界史に詳しい方ならご存知だと思いますが、スペインは一時期フランコ総統という独裁者が独裁国家を敷いていた時期があり、徹底的な言論弾圧を行っていましたそのフランコ体制が崩壊したのは1975年、自身の死去によるものです。その時王政(フアン・カルロス1世が名実ともに最高元首であったため)が復古され、フアン・カルロス1世がフランコ総統の統治をそのまま行うと思われていましたが、自身は立憲君主制による名誉君主に収まり、民主国家への移行を行っていきました。その過程で絶大な支持を集め、王室の権威向上に一役買っていました。

その潮目が変わって来たのがリーマンショック以降で、2012年には自身が健康不安かつスペイン自身が経済危機の困窮にあえぐ最中にボツワナに行って象狩りを行ったことがリークされた(結果的に国王は腰の骨を折るという大ケガを負う)だけでなく、王室のスキャンダル(中でも特に大きかったのが、2010年頃にクリスティナ王女と夫が関与した脱税およびマネーロンダリング容疑)で支持率が極端に低下。抜き差しならぬところまで来たのが要因だったと思われます。要は、自らの意思で辞任したというよりも、外的要因で、事実上の国家元首になるラホイ首相に引導を渡された、実質クビ扱い・・・ということではないでしょうか。
もっとも、スペインには(自ら退任した際の)移譲を定めた法律がないそうなので、慌てて法整備をするというどこかの国のやってることを地で行くような・・・いえ、何でもありません(苦笑)。


その移譲される次期国王となる人物は、フェリペ皇太子(国王就任以降はフェリペ6世となる予定)になるそうです。皇太子はオリンピックのヨット競技で出場経験もあるスポーツマンで知られており、結果的には失敗したものの、2020年のオリンピック招致にも尽力し大健闘しました。国民の支持も高いことも大きな要因でしょう。


スペインは国家分裂の危機でもあります。
バルセロナのあるカタルーニャ(カタロニア)州で独立運動が盛んになっています。今は落ち着いていますが、バスク地方にも独立の火種を抱えています。そして先述の王室スキャンダルに端を発した王室不要論も将来的に新国王の足かせになるでしょう。
新国王はいかに国をまとめていくのか、政治権力は無い中でいかに手腕を発揮するのか。状況によってはヨーロッパ全体(同じ独立運動を抱えるスコットランドや国王が統治している中で政治不安を抱えるベルギーなど)に大きな影響を与える事態になるので、今後の動向が注目されます。


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Posted by alexey_calvanov at 23:58Comments(0)TrackBack(0)