2011年10月27日

壮大な社会実験 その結末は・・・ 後編

10/21~10/23まで行われた「ちょい乗りバス」の社会実験。後編では、その課題に付いて触れていきたいと思います。


その1:片側通行のみの点
色々不満のある中で一番気になったのがこれ。
PA0_0576左の写真を見て頂くとわかるかと思いますが、ラシック前を起点にして、栄スカイル前、丸善前、科学館と美術館を経由して大須へ。大須のコメ兵・大須ういろのある界隈を抜け、大須観音へ。そして上前津駅西から大須301(万松寺商店街)に進んだ後、赤門交差点の細い道を抜け、ランの館・パルコ・松坂屋を抜けて再びラシック前に戻ってくるという流れです。

しかし、このルートは反時計回りのみいち早く大須の東側に行きたい人にはかなり不便になっているのです。



まぁ、時計回りのルートが設定されていないのは、地下鉄なりバスなりで行けという暗示ではないかと思うのですが、それでは何のために無料でやっているのかがわからない。いや無料そのものもどうかと思うのですが・・・(詳細は後述)。


その2:有料でもいいんじゃないのか?
正直あの人の多さで辟易した際に思ったのが、「これは有料の方が儲かる」と思った点
いや実際はここまでは儲からないと思うのですけど、『ふるい』に掛けられるメリットはあります。

実際名古屋人というのはタダにめっぽう弱い人種なんじゃないのかと思えるほどで、タダというものがあろうものなら、遠くでも飛んでいくという習慣があると思っています。もちろん低価格でも飛んでいく人達が多いのですけど、今回の「ちょい乗りバス」は「タダだから乗ろう」という人が大勢いたのではないのでしょうか
ならば、有料化することで、「タダでもないくせに、こんだけ遅けりゃ乗らんわい」という人達をふるいに掛け、『カネを払ってでも乗っていきたい』・『このくらいの金額なら妥当』と思われる人達だけを乗せるようにすれば、それなりに混んでかつ利便性も高まるのではないかと思います。

で、その際の価格は、200円ではなく、100円で運行するのがいいと思っています。
というのも、栄・大須の短い区間を回るわけですから、効率よい運行が求められることと手早く回したいということを考えれば、正直薄利多売形式で運行していった方がいいと思います。また何回も乗る可能性が出てくることも考えれば、200円なら1回しか乗らないかもしれないところを100円にすれば2回乗ってくれる可能性があります
なお、ほとんどのコミュニティバスは100円で運行されている場合が多いです。この「ちょい乗りバス」はコミュニティバス形式でも十分やっていけると思いますし、逆に儲けられる可能性もあります。


その3:ルートの見直しをしてほしい
その1に貼った写真をご覧いただいてわかるかと思いますが、わざわざ赤門~栄東交差点は久屋大通を走っています
これは10/23に行われた歩行者天国への対処ゆえの部分もありますけど、正直効率化を考えれば、大津通を突っ切った方がいいわけです。
また、本町通という細い道を抜けるルートより、国道19号のような広い道、つまりは大須の周辺を回るルートの方が、大須観音にも近く、周囲の商店街も回りやすいのではないかと思います。その際、科学館と美術館の停留所を統一して、大須ういろ前の停留所を廃止、伏見と大須郵便局の前に停留所を新設して、伏見と大須近辺の利便性を高めてもいいと思います。思いきってランの館前も廃止してもいいでしょう(というのも、ランの館は将来的に廃止の可能性があるからです)。

ちなみに、青いルートは名駅から来る市バスの758ルートおよそ半分が被ることになりますが、半額の価格設定にしておけば、重複しても十分やっていけると思いますし、逆に名駅から来たバス乗車の人をパルコ~スカイル前までの間で拾うことが可能になります。この部分で連携を図れると面白い相乗効果が出るかもしれません。


その4:歩行者天国をやるなら、ちょい乗りバスはいらない。ちょい乗りバスをやりたいなら、歩行者天国はいらない
今回声を大にして言いたいのはこの部分。
10/23は歩行者天国と「ちょい乗りバス」が重なったため、周辺道路で大渋滞が起こり、本来スケジュール通り運航できるはずのものが、大幅遅れを引き起こしグダグダの結果になりました。乗客の不満は大きなものになったでしょう。
なので、周りに迷惑をかけてまで歩行者天国をやるのであれば、その日は「ちょい乗りバス」をやめ、歩行することを促した方がいいです。逆に「ちょい乗りバス」をやりたいのであれば、正確な運行を守るために歩行者天国というものを辞めるべきです

私自身は、ちょい乗りバスも歩行者天国もいいコンセプトだと思ってますぜひとも双方継続してやっていってもらいたいものですが、詰めが甘いのが大いに気になります。そして二兎追うものは一兎も得ずということわざ通り、どちらかを立てる時は、どちらかを折る方が、この場合はいいと思います。


その5:ダイヤはフレキシブルにしてほしい点
恐らくピーク時はバスが満車になって、乗れない人が出てくると思います。そういう対策のために、10時~11時までや夕方には5分おき、逆に少なそうな時間帯は20分おきでもいいと思います。
なお、18時で終わるのは早すぎますアフター5の利用者も取り込む意味で19時ないしは20時まで、できることなら21時まで運行すべきなのではないのでしょうか。


その6:変なサプライズはいらない。音声も自動でいい
特に混みいった時、音楽でお出迎えされてもただ不快なだけです。また満席で立って乗ってぎゅうぎゅう詰めの時でも、バスガイドと称したボランティアが座ってのうのうとしているのは非常に違和感があります
観光バスの側面は薄めにして、音声は自動でも構わないと思いますし、乗務員のコミュニケーション能力を高めるためにも、乗務員に詳細な案内ができるようになってもいいのではないかと思います。その時には、この区間を長い間運行しているベテラン乗務員に任せてもいいでしょう


その7:三重交通のバスをわざわざ呼んでいる点
今回のちょい乗りバスは、わざわざ三重県から来ている可能性があったわけです。わざわざ遠方から呼んでバスを運行してもらうのならば、身近で借金の抱えている名古屋市バスで運行すればいいと思います。よほどのことがない限り、バスは余っていると思いますし、借金の削減になるドル箱路線を運航できるわけですから、数少ない黒字路線を運行できるメリットは大きいと思います。


その8:人数が多い場合は大型バスでもいい
今回のちょい乗りバスは恐らく小型ないしは中型バスだったかと思います。しかし、これでは乗せられる人数も限られますし、実は大きくても小さくても環境面ではあまり変わらないとも言われています。もちろん人件費は全く同じです。
それならば、一人でも多くの人を乗せ、取りこぼしの無いようにするのがベターだと思います。ならば大型化した方がいいのではと思います。


結論から言って、コンセプトは非常にいいです。しかし、今回の施策は詰めが甘すぎて本末転倒になっています
もっと割がよく、もっと連携を深めて練り直さないと、今のままなら私は必要ないと思います。


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)