北朝鮮で大きな話題になっているのがチョコパイ。
日本でもポピュラーなこのお菓子、韓国のロッテでも販売しています(注:韓国のロッテは、日本のロッテの海外子会社という位置付け。ちなみに創業者は在日韓国人の方)。
日本で食べる際には、たくさんあるお菓子のひとつなので、そう気にしないもの。恐らく韓国でもメジャーではあれ、ありがたく頂きますとまでは思わないでしょう。ところが、北朝鮮では労働者のステータスシンボルにまでなっているだけでなく、それ以上の価値を持っているのだとか。
詳細はこちらやこちらに譲りますが、北朝鮮労働者はチョコパイを『資本主義の象徴』のような位置付けをしているらしく、工場内で(労働者の生産意欲向上の名目で)もらっても、その場で食べずに持って帰る人が多く、子供や親せきと一緒に食べたり配ったりしているのだそうな。酷いと、それが結婚式の引き出物になったり、投機の対象(要はカネにするための道具)になったりと過激化。しまいにはチョコパイの闇市があるという噂まで流れるほどなのだそうな。
これだけ(移動制限の厳しいはずの)北朝鮮中を席巻してしまうのですから、当然(生物なのに)貨幣価値として高い価値を持ってしまうわけです。北朝鮮ではウォンではなく人民元がまかり通っているとか言われることもありますが、もしかすると韓国産なり日本産なりのチョコパイを持って行くとそれなりの待遇を受けられるのかもしれません。それこそ、社会主義国ではたばこや酒で十分賄賂になる(買収できる)ような社会ですから。
そんなこともあってか、韓国の企業側・北朝鮮サイド双方がチョコパイ対策に乗り出してきました。
韓国企業側は、工場によって配る枚数に差が生じているため、その配る枚数に基準を設けようと北朝鮮の工場管理サイドに指示する動きもあれば、北朝鮮サイドからはチョコパイを配らず現金支給(もちろん紙くず同然のウォン。しかしもらうのはアメリカドルでという算段)に切り替えてほしいと訴える始末。前者はともかく、後者の場合は労働者が大きく反発するんじゃないかということで、双方が対策を打てない格好になっています。
もしかすると、チョコパイを反体制ビラに紛れ込ませて「体制を倒せば、お腹いっぱい食べられますよ」とか一筆入れて配ってしまえば、あっという間に体制崩壊に繋がるんじゃないかと思うと何だか苦笑してしまいそうな話ですけど、たかがチョコパイでさえもピリピリしなきゃいけない北朝鮮は、何とも情けない国なんだなと。
ロッテ チョコパイ 6個入×5個